クリサのパガニーニなど・未聴LP(8月分)

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  • グラズノーフ:バレエ「お嬢さん女中」 ジュライティス/モスクワ放送SO (Melodiya C10-12565-66 [LP])
  • グラズノーフ:暗闇から光明へ、劇音楽「サロメ」 ラーフリン、ディミトリアディ/モスクワ放送SO (Melodiya D 9429-30 [10"mono])
  • グラズノーフ:弦楽四重奏のための組曲 ショスタコーヴィチQ (Melodiya C10-06661-62 [LP])
  • カバレーフスキイ:カンタータ「わが祖国」、J. S. バッハ:カンタータ第4番より二重唱、ブリテン:「キャロルの祭典」より第10曲「デオ・グラシアス」他 ストルーヴ/ピオネール児童合唱団 カバレーフスキイ/ソヴィエト国立SO他 (Melodiya C 01663-4 [LP])
  • ボロディーン:小組曲、カバレーフスキイ:ソナチネ第1番、プロコーフィエフ:「年とった祖母の物語」、「束の間の幻影」より第7曲、「サルカズム(風刺)」より第3曲、「10の小品」より第2、3、6、7、8、9曲 ソフロニーツキイ (Pf) (Melodiya D 016161-016162 [LP])
  • パガニーニ:ソナタ第2&6番 作品2-4&6 24のカプリースより第13、17、23番、ラ・カンパネラ(クライスラー編)、シニートケ:ア・パガニーニ、シマノフスキ:パガニーニの3つのカプリース クリサ (Vn) チェーキナ (Pf) (Melodiya C10 21869 001 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.から、8月到着分の荷物が届いた。今回は、ショスタコーヴィチ作品は皆無。ここのところ、ショスタコーヴィチ周辺の作曲家ばかり(といっても、ごく限られた数名だけだが)続けて聴いている。

まずは、グラズノーフが3枚。グラズノーフのバレエでは、先日初めて全曲を聴いた「ライモーンダ」も良かったが、この「お嬢さん女中」というのもなかなか珠玉の逸品揃い。全1幕とはいえ、演奏会形式で全曲を通して聴こうとは思わないが、自宅で寛ぎながら録音を聴く分には、品の良い美しさを湛えた音楽がとても魅力的である。大柄で濃密な歌心に溢れた演奏も、名演と言ってしまって良いだろう。

「暗闇から光明へ」(幻想曲)と劇音楽「サロメ」という2曲の管弦楽曲も、当然ながら初めて聴いた作品。よく知られた曲なのかどうかも分らない。前者は、まさに曲名通りの展開・構成であるが、どうも何を言いたいのかがはっきりとしない、晦渋な冗長さを感じさせる。「サロメ」も、第1曲「前奏曲」の方は似たような感じ。第2曲「サロメの踊り」では、グラズノーフ特有の濃厚ながらも上品な抒情が印象的だが、旋律にしろオーケストレイションにしろ、今一つ精彩を欠く。演奏は、いかにもなソ連型で、雰囲気は抜群だが少々荒っぽい。でも、あまり洗練された演奏だと、作品の退屈さが際立ってしまうような気もする。

弦楽四重奏のための作品も、毎月ぼちぼちと聴き進めている(実は、番号付きの作品は未聴なのだが…)。今回聴いた「組曲」は、あまり出来の良い作品ではないのだろう。そもそも全体の論理的な構成を云々するような作品ではないが、個々の楽曲自体にもとりたてて魅力は感じられない。独特の雰囲気が残り香のように漂うのだが、僕の趣味に合わないということもあるのだろう。ショスタコーヴィチQの演奏は、程良いロシア臭を漂わせた堅実なもの。

児童合唱のアルバムは、この団体のために書かれたカバレーフスキイ作品がメイン。平易な旋律、楽しげながらもどこか野卑な雰囲気、時折無駄に咆哮するオーケストラ、いかにもカバレーフスキイといった曲だが、これといった工夫があるわけではなく、一般には全くといって知られていないのも当然だろう。演奏は、特にオーケストラが魅力的だが、合唱も十分に健闘している。一方、B面は児童合唱用(?)の作品を集めたオムニバス。珍しい選曲ではあるが、ピアノやオルガンの薄い伴奏だと、致し方のないこととはいえ、技術的な弱さが露呈するのが残念。

ソフロニーツキイのオムニバス・アルバムは、何となく買ってしまった。恐らく、この盤に収録されている曲は、どれも国内盤CDで入手可能ではないだろうか?それはともかく、ボロディーン作品の深遠な単純さには、圧倒的な感銘を受けた。ソフロニーツキイにとっては晩年の録音だが、酒とドラッグに溺れたと言われるこの時期だからこそ達成され得た音楽なのかもしれない。もちろん、その他の作品も極めて高い水準の演奏である。

ベートーヴェンQの第1Vn(二代目)奏者であるクリサのパガニーニ・アルバムは、自身が初演したシニートケの「ア・パガニーニ」を目当てにオーダーしたもの。技巧的な冴えで圧倒するタイプの演奏ではないが、高水準の技術に裏打ちされた透明感溢れる響きは、清潔な気品を漂わせている。A面のパガニーニ・オリジナルも立派な仕上がりだが、やはりこのアルバムのメインはB面だろう。シニートケ作品は壮大なスケールを持った演奏で、凝りまくったクレーメルの演奏などと比べると、どこか風格のある深遠さすら感じられる。シマノフスキ作品は、一瞬原曲が分からなくなるほどの独特の響きを持っているが、これがクリサの音色とよく合う。とても気に入った。

最後に、パガニーニつながりで、映像を一つ。

パガニーニ:“God save the King”変奏曲(Vn:ツィンマーマン)
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Glazunov,A.K.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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