コンドラーシンの「十月」・HMV(9月分)

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  • ショスタコーヴィチ:交響曲全集、交響詩「十月革命」、カンタータ「我が祖国に太陽は輝く」、ステパーン・ラージンの処刑、ヴァイオリン協奏曲第2番 オーイストラフ (Vn) グロマツキイ (B) コンドラーシン/モスクワPO他 (Melodiya MEL CD 10 01065)
  • スクリャービン:24の前奏曲、ショスタコーヴィチ:24の前奏曲 相沢吏江子 (Pf) (Altus ALT099)
  • グラズノーフ:ピアノ作品全集第1巻(「サーシャ」の名前による組曲、3つの小品、サロン・ワルツ、演奏会用大ワルツ、「サベラ」の名によるワルツ、小さなワルツ、ピアノ・ソナタ第1番) クームズ (Pf) (Hyperion CDH55221)
  • 近藤健児・木下 淳・田畑休八・鈴木晃志郎・鮫島奈津子:クラシックCD異稿・編曲のよろこび,青弓社,2007.
9月にオーダーした音盤が、HMVから届いた。8月オーダー分はまだ揃っていないために、到着順が逆転。大抵、入荷に時間のかかりそうな音盤と組み合わせて発注しているのだが、今回は早々に“廃盤”との連絡が入り、いきなり自宅に荷物が届いた次第。

今回のメインは、コンドラーシン指揮の交響曲全集。基本的に再発盤すべてを集めて音質の比較なんかをするつもりはないので、Victor盤で十分満足していたのだが、このMelodiya盤には、「十月革命」の未発表音源が含まれている。悩ましい気持ちはあったが、ようやくこの1曲のために全集を購入することを決意した次第。

で、お目当ての「十月革命」。スタイリッシュにさりげなく始まる冒頭から、どこかゴツゴツした感触の響きが印象的である。コンドラーシンの手堅い音楽作りは、この作品にもショスタコーヴィチらしい職人的な構成美があったことを思い出させてくれる。闇から勝利へ向かうドラマトゥルギーの設計も万全で、凄まじいまでのコーダに必然性すら感じられる辺りは、コンドラーシンの本領発揮といったところ。コーダではアンサンブルが乱れまくり、小太鼓はバランスを逸してやみくもな打撃音を轟かせている(録音技術上の問題も大きいのだろうが)。ライヴゆえの仕上がりではあろうが、この作品の精神をこれほどまでに伝えてくれる演奏は、少なくとも今の時点ではないし、今後現れる可能性も高くhはないだろう。この曲には“決定盤”と言える録音がなかったのだが、コンドラーシン盤の出現でその悩みも解消された。意を決して購入に踏み切って、本当によかった。

他の収録曲については、今さら改めてコメントするまでもないだろう。極めて高水準の名演揃いで、依然として交響曲全集のファーストチョイスの座は揺らいでいない。ただ、ものすごくCDの取り出し辛い紙ジャケットは大問題。ほんのちょっとだけサイズを大きくすれば済むことなのに、これではせっかくの盤に傷をつけかねない。こういう安っぽい作りがロシアらしいと言えばそうなのだけれども。

日本人演奏家による「24の前奏曲」は、まだ未架蔵のものが何点かあるのだが、とりあえず今回は相沢盤を。清潔な音楽性と技術がとても気持ちよい。ただ、スクリャービンにしろショスタコーヴィチにしろ、陰影とか濃密さとかいったものはあまり感じられず、終始淡白に聴こえてしまうのが惜しい。

ここのところ、グラズノーフ作品が集まってきているので、この際ピアノ曲全集にも手を出してみることにした。まずは第1巻から。上品なロシア情緒を漂わせた小品の数々は、いかにもグラズノーフらしい。技術的にもさほど至難な作品群ではないので、もっと聴かれても良い。とはいえ、アンコールピースとしてならともかく、演奏会の中核を成す曲目にはなり得ないだろうが。残る3枚も楽しみ。

帰宅途中に、梅田の紀伊國屋書店をのぞいたら、“異稿・編曲”に焦点を絞った新刊を発見。ショスタコーヴィチにも1章が充てられていたので、その場で購入。一種のデータブックなので、冒頭から丁寧に読み進めるようなものではなく、帰りの電車の中でショスタコーヴィチの章のみを一気に読了した。ある作曲家のマニアなら、避けて通ることのできない版や稿の問題、多岐に渡る編曲の存在、といった事項に焦点を絞った企画は面白い。ただ、全体に読み辛いのが決定的な短所だろう。データ部分のレイアウトなどを工夫するだけで、もう少し見やすくなると思うのだが。他の作曲家についてはコメントできるような知識がないので、以下、鮫島氏が担当したショスタコーヴィチの項についてのみ。原曲のジャンルごとに分類した構成は、ごくオーソドックスなものだが、せっかく最初に異稿・編曲のパターン分けをしているのだから、それに従った構成の仕方もあっただろうと思う。結果として、総花的な羅列に終始したのは残念。また、交響曲の版については一切の言及がないのも物足りない。個々の記述については、この本の対象とする読者層などを考えるならば、まずは妥当なところといえるだろう。ただ、データに間違いがあるのが非常に残念。例えば、交響曲第15番のデレヴャンコ版の演奏者がバルシャイ/ヨーロッパCOになっていたりするのは、確かにカップリングの都合で逆にうまく見つかるのかもしれないが、全体の情報に対する信頼を落としかねない。また、同じ202ページの「このほかにも、リトアニアCOを率いるソンデツキスが……」という段落は、おそらく弦楽四重奏曲第8番の編曲版に対する記述だろうから、これは単なる版組のミスか。

クラシックCD異稿・編曲のよろこびクラシックCD異稿・編曲のよろこび
(2007/09/25)
近藤 健児木下 淳

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Glazunov,A.K.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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