ピアノ連弾 2台ピアノの世界

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  • 名曲の花束 2006(モーツァルト:ラルゲットとアレグロ、ボクサ:グラン・デュエット、マルトゥッチ:主題と変奏、ショスタコーヴィチ:タランテラと前奏曲、陽気な行進曲、コンチェルティーノ、祝典序曲) 益子 徹、西原昌樹 (Pf) (日本著作権協会許諾番号R0681077 [CD-R])
  • 赤い絨緞の思い出~ソ連時代の2台ピアノ作品~(ショスタコーヴィチ:2台ピアノのための組曲、B. チャイコーフスキイ:2台ピアノのためのソナタ、シニートケ:ゴーゴリ組曲(修正社会主義者の物語)) 益子 徹、西原昌樹 (Pf) (日本著作権協会許諾番号R0720132 [CD-R])
  • 君が代は海を越えて(ボクサ:アレクサーンドル皇帝行進曲、サン=サーンス:英雄行進曲、ミヨー:フランス組曲、グラズノーフ:第一次世界大戦の連合国の国歌によるパラフレーズ) 益子 徹、西原昌樹 (Pf) (日本著作権協会許諾番号R0700142 [CD-R])
ピアノ連弾 2台ピアノの世界というサイトで頒布されているCD-Rを3枚購入。「2台のピアノの午後/夕べ」と題されたコンサートのライヴ録音だが、解説代わりに当日のプログラム冊子も同封されてきた。こういう心配りは、何気に嬉しいものだ。今回購入した3枚は、ショスタコーヴィチとグラズノーフの作品が収録されているものである。

上記サイト内に掲載されているコンサート履歴は、さながら2台ピアノのために書かれた作品リストのよう。洒落たテーマ設定と意欲的なプログラミングで、定期的に活動を継続していることが何より素晴らしい。

「名曲の花束 2006」は、2006年が生誕/没後の記念年であった作曲家の作品を集めたプログラム。ただ残念なことに、個々のパートもアンサンブルも随所で大きな乱れがある。当時のこのデュオの実力だったのか、単に当日のコンディションが悪かっただけなのかは判断できないが。さて、今回この団体のCD-Rを購入した最大の動機は、他に録音がない「前奏曲」が収録されていること。独奏ピアノのための楽曲を2台ピアノ用に編曲することで、何か興味深い効果があるのではないかと期待したが、どうやら難易度を下げる以外の意図はなさそうな感じ。鈍重なテンポで淡々と弾いているだけの演奏にも不満が残る。「陽気なマーチ」では、技術的な危なっかしさは感じられないが、いかにも安全運転といった雰囲気で、作品の持つ無邪気な快活さが表現されていない。「タランテラ」は、アンサンブルの精度に問題あり。「コンチェルティーノ」は有名曲だけに、丁寧に取り組んでいる様子が聴き取れるが、推進力のないテンポ設定と、速い部分での技術的な乱れが気になる。「祝典序曲」に関しては、申し訳ないが、内容を云々するような仕上がりではない。2台ピアノ用のオリジナル作品でもないのだし、演奏しなくてもよかったのではないか?

なお、ショスタコーヴィチ作品に関しては、曲目表記にいくつかの誤りがある。「陽気なマーチ」の作品番号が84aとされている根拠が不明な他、「前奏曲」が「24の前奏曲とフーガ」第15番の前奏曲の編曲というのは正しいが、編曲者はショスタコーヴィチ自身ではなく、E. ホーヴェンだと思われる。「タランテラ」は映画音楽「馬あぶ」からとされているが、正しくは映画音楽「忘れがたき1919年」から。これは、同曲を収録した他の2つのアルバムでも同様に表記されているので、おそらくは使用楽譜にそのように書かれているのだろう(未確認)。「祝典序曲」についても、ショスタコーヴィチ本人が編曲したという情報は確認できない(DSCH社の新全集第37巻もピアノ・スコアということなので、おそらくは2台ピアノ用ではないと思われる。そもそも、当該巻は未出版)ので、ヒュームのカタログにあるブベルニコフ版などの可能性が高い。

といった感じで、最初の1枚には大いに不満が残ったが、残る2枚の技術的な仕上がりは、それとは比較にならないもので、作品を楽しむには十分なもの。やはり上記のアルバムは、当日のコンディションが悪かったのだろうか。

「赤い絨緞の思い出」は、ソ連の有名作曲家3人の作品集。ショスタコーヴィチの組曲は、ライヴゆえのミスはあるものの、無難にまとめられている。ただ、テンポ設定(特に第2曲)には多少疑問が残る。良くも悪くも端正な印象に終始し、たとえば第3曲などでは、もっと踏み込んだ歌があってもよかっただろう。ボリース・チャイコーフスキイの作品は初めて聴いたが、とても美しく、作品としてはこのアルバムのメインと言えるかもしれない。演奏そのものに関しては、シニートケ作品がなかなかのもの。愉悦感と適度な熱気が楽しい。

「君が代は海を越えて」は、愛国的な旋律を用いた作品を集めたプログラム。作品としては、ミヨーのフランス組曲が一頭抜きん出てる感じだが、お目当てはグラズノーフの「君が代」である。原曲は管弦楽曲だが、そちらはまだ未聴。この2台ピアノ版は、グラズノーフ自身による編曲とのこと。君が代に限らず、よく耳にする旋律が次から次へと出てくるので、とにかく楽しい。演奏もよく整っているが、やはりより一層の色彩感が欲しいところ。

音質は、いずれも簡易な会場録音としては申し分のないもの。上記グラズノーフ作品については、YouTubeに当日の映像がアップされているので、以下にも貼り付けておく。

Part 1Part 2
Part 3
グラズノーフ:「君が代」の主題によるパラフレーズ(2007年9月29日)
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genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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