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年末年始のまとめ聴き2(グラズノーフ他)

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  • ショスタコーヴィチ:室内交響曲、ナシーゼ:ヴィオリンとチェロのための二重協奏曲 L. イサカージェ (Vn) E. イサカージェ (Vc) L. イサカージェ/グルジア室内O (Melodiya C10 24855 005 [LP])
  • グラズノーフ:ピアノ協奏曲第1番、演奏会用ワルツ第1&2番 リヒテル (Pf) コンドラーシン/モスクワ・ユースPO サモスード/モスクワ放送SO (Monarch MWL 321 [LP])
  • グラズノーフ:弦楽四重奏曲第6番 ショスタコーヴィチQ (Melodiya C10-17201-2 [LP])
  • グラズノーフ:弦楽四重奏曲第7番 ショスタコーヴィチQ (Melodiya C10-17179-80 [LP])
  • 「金曜日の曲集」第1集 リームスキイ=コールサコフQ (Melodiya 33 D 016167-68 [LP])
  • ファヂェーエフ,A.・黒田辰男訳:若き親衛隊(全5冊),青木文庫,1953.
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.から、1月到着予定の商品が12月中に届いた。

リアナ・イサカージェは、グルジア出身のヴァイオリニスト/指揮者である。ショスタコーヴィチの室内交響曲は、全体にゆったりとしたテンポで、陰鬱な雰囲気をじっくりと表出した佳演。第3楽章などは遅すぎて音楽の推進力に不足する感は否めないが、第1、4、5楽章といった緩徐楽章は立派な仕上がりである。グルジアの作曲家ナシーゼの作品は、難解な部分がない聴きやすい音楽だが、あまり新鮮味はない。イサカージェの凛としたヴァイオリンが印象的だった。

グラズノーフのピアノ協奏曲第1番は、同曲に並々ならぬ思い入れを寄せていたリヒテルによる演奏(ジャケットには、スタニスラフ・リヒターと表記されている)。CD化もされている有名な音源だが、僕は作品、演奏共に初めて聴いた。1950年代前半という録音年を考えれば仕方のないことではあるが、録音が悪すぎて、特に弱奏部のニュアンスなどはよく聴き取れない。そのせいか、甘く切なく盛り上がる部分での、リヒテルの強靭なタッチばかりが印象に残る。グラズノーフ後期の大作だが、霊感の枯渇が顕著な作品も少なくない中、円熟した作曲技法と瑞々しい旋律の美しさとがギリギリ共存した、なかなか魅力的な作品だと思う。機会があれば、他の演奏にもあたってみたいところ。

同じくグラズノーフの弦楽四重奏曲は、最晩年の第6番と第7番。これで、番号付きでは第2番と第5番を残すだけとなった。で、第6番だが、正直よくわからない。中間楽章がそれなりの魅力を持っているのと、妙に肥大した両端楽章で収拾がついていないところはいかにもグラズノーフらしいのだが、肝心の楽想から新鮮さが失われている(単に暗いとか明るいとかいう次元ではなく)。

それに比べると、第7番は「過ぎ去りし日々へのオマージュ」という副題に相応しい、どこか吹っ切れたような透明な明るさが漂う作品。全体にはっきりとしない冗長さは付き纏うものの、他の四重奏曲と比べれば、手堅いまとまりが感じられなくもない。気分的に連続している第1楽章と第2楽章では、いかにも最晩年の作品らしい澄んだ悟りと諦観が不思議と印象に残る。それに対して後半の楽章はやや平凡か。作品番号は第6番と続いているが、作曲時期には10年ほどの開きがあり、この間にグラズノーフはソ連から亡命している。

昨年11月5日付の本欄で少し触れた「金曜日の曲集」。その第1集がリストにあったので早速注文した。後で、同じ演奏が第2集と合わせてCD化されていることを知り、ちょっと損した気分(^^; 第1集の収録曲は以下の通り:
  1. 前奏曲とフーガ(グラズノーフ)
  2. セレナード(アルツィブーシェフ)
  3. ポルカ(N. A. ソコローフ、グラズノーフ、リャードフ)
  4. メヌエット(ヴィートル)
  5. カノン(N. A. ソコローフ)
  6. 子守歌(ドステン=ザッケン)
  7. マズルカ(リャードフ)
  8. サラバンド(ブルメンフェーリド)
  9. スケルツォ(N. A. ソコローフ)
この曲集の成り立ちを考えれば玉石混合なのは当然だが、どの曲も旋律自体は普通に綺麗なので、仲間内で四重奏を楽しむ時には腕慣らしに丁度良い作品集だろう。演奏会でのアンコールピースには……ちょっと軽過ぎるかな。リームスキイ=コールサコフQは初めて聴く団体だが、少々野暮ったいものの、手堅い演奏をしている。ただ、録音のせいか音がきついのが少し耳障り。

昨年末、「若き親衛隊」全5冊を、とある方から譲っていただいた。年末年始を使って一気に読了。これは、1947年の批判を受けて1951年に改作した方の邦訳であるが、各巻末には初版との相違点が詳細に記されているので、敢えて初版を入手しなくても大体のことは分かるようになっていて有難い。また、第5巻では訳者による長文の解説もあるので、ファヂェーエフという作家の概略、そして「若き親衛隊」の改作にまつわる諸々の事柄も、この一冊(というより、一セットと言うべきか)があれば十分理解できる。

ショスタコーヴィチが音楽を担当した映画は初版に基づいたものだが、改作の焦点は「若き親衛隊」が組織され、活動していく過程における党の教育的指導的役割を強調するところにあったことを考えると、少なくとも現代の日本にいる我々にとっては、(いささか乱暴ではあるが)それほど大きな違いはないとも言える。それよりも、どうにも救いようのない話に、新年早々暗い気持ちになってしまった(^^; 主要な登場人物である少年少女達が純粋で高潔な者として描かれているだけに、否応無しに(もっとも本人達にとっては“進んで”なのだが)地下活動に巻き込まれていく様、そしてその活動が悲惨な最期を迎える様は、全体主義そして戦争の狂気以外の何物でもない。さらに、こうした悲劇に対してすら、リアリズムの名の下に偉大な党の正当性を刻印せずにはいられなかったソ連共産党の異常さには、ひたすら暗澹たる思いだけが残る。

【1945年版】
若き親衛隊〈上巻〉 (1952年)若き親衛隊〈上巻〉 (1952年)
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若き親衛隊〈下巻〉 (1952年)若き親衛隊〈下巻〉 (1952年)
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【1951年版】
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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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