ヴィーハンQ、ヴォールコフ、クレーメルetc.

univer-4724602.jpg
  • S. タネーエフ:弦楽四重奏曲第1番、ラフマニノフ:弦楽四重奏曲第1番、ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第10番 ヴィーハンQ (Universal 472 460-2)
  • Volkov,S.:Shostakovich and Stalin,Alfred A. Knopf,New York,2004.
  • バック・トゥ・バッハ ~クレーメルの世界~(2008年2月4日放映 [NHK-BS2])
  • ギドン・クレーメルの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ(2008年2月4日放映 [NHK-BS2])
ロシア室内楽ファン倶楽部というWebサイトを閲覧していたら、未架蔵の音盤を発見。わりと凝った選曲でもあるし、早速、同サイトで紹介されていたCDmusic.czというチェコの業者から購入してみた。ヴィーハンQは、チェコのポスト・スメタナQ世代の中でも人気、実力共に抜きん出た存在である。音程の取り方や音色、歌い回しなどは、いかにもチェコの団体といった感じ。独特の素朴さを漂わせながらも滑らかで抒情的な音楽は、ロシア情緒とは異質ながらも、不思議と懐かしい。こうした美質は、ラフマニノフの、特に1曲目で存分に発揮されている。いわゆるショスタコーヴィチらしさとは異なるが、どこかふくよかなショスタコーヴィチも悪くない。中でも第3楽章以降の切々とした音楽は、特筆すべき仕上がりと言ってよいだろう。タネーエフは作品の冗長さが気になって、あまり楽しめなかった。

米Amazonで購入してから1年半近く経って、ようやくヴォールコフの「ショスタコーヴィチとスターリン」を読了。なんだかんだと後回しにしている内に未読のままお蔵入りになってしまうことだけは避けたかったので、意を決して一気に通読してみた。扱おうとしているテーマそのものは興味深いのだが、皇帝ニコライ1世とプーシキンとの関係や同時代の文学者なども取り上げて、より広範な文化論的な体裁を整えただけの内容には、基本的に『証言』の焼き直し以上の価値は認められない。

この本に限らず、“スターリン圧政下の”芸術論を読むと、いつも不思議に思うことがある。たとえば、「ムツェンスク郡のマクベス夫人」に対するプラウダの批判社説が実際にオペラを観たスターリンの感想に基づいて書かれたとすることに何ら異議はないのだが、プラウダ批判にせよジダーノフ批判にせよ、事の発端がスターリンの“思いつき”であったとしても、それを“理論化”して政治的・社会的な意義を持たせるための過程やシステムまでも、スターリン個人に帰結しているのはなぜなのだろう?なんでもスターリンのせい、というのは、“偉大なる父にして教師である万能の人”というスターリン崇拝と本質的に同じことだ。ジダーノフ批判後、ソ連作曲界の潮流がどう変化したのか。それをたとえば“体制翼賛的”な主題を持った作品ばかりが発表されたと総括するのは簡単だが、作曲技法のような、より具体的かつ技術的な側面からの論考を読んでみたいものだ。

Shostakovich and Stalin: The Extraordinary Relationship Between the Great Composer and the Brutal DictatorShostakovich and Stalin: The Extraordinary Relationship Between the Great Composer and the Brutal Dictator
(2004/03)
Solomon VolkovAntonina W. Bouis

商品詳細を見る


リアルタイムで観ることができず、“とりあえず”予約しておいたテレビ番組の録画が結構たまってきた。DVDに保存しがてら、クレーメルのドキュメンタリー&バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータを観る。特にドキュメンタリーは、文句なしに秀逸な内容で、夢中になって一気に観てしまった。標題にあるバッハに関する部分以外にも見所満載で、特定の数箇所だけピックアップするにも、どこを選んで良いのか迷ってしまうほど。無伴奏パルティータの演奏も、もちろん素晴らしい。クレーメルならではの多彩な響きと鋭敏なリズム感が織り成す独自の表現世界を、全編通じて堪能することができる。もっとも、3曲一気に視聴するのは少々ヘヴィーではあるのだが。なお、このドキュメンタリー&パルティータはDVDで商品化されている(HMV)が、残念ながら日本語字幕はない。

YouTubeを見ていたら、極めて貴重な動画がアップされているのを発見。最晩年のショスタコーヴィチが「鼻」「弦楽四重奏曲第15番」「ミケランジェロの詩による組曲」という3つのリハーサルに臨んだ姿が中心の記録映画「作曲家ショスタコーヴィチ」である。一部はChandosのDVD/CD-ROMに収録されてはいたが、全編を見たのはこれが初めて。もっとも、Hulmeのカタログには60分だと記されているのに、ここでアップされている分の合計時間は45分程度。若干のカット等があるのかもしれないが、少なくとも今は確かめようがない。また、英語字幕すらもないので、インタビュー部分などはちんぷんかんぷんではあるのだが、それでもこのショスタコーヴィチの姿はたまらなく感動的で、全てのショスタコーヴィチ・ファンに観てもらいたい動画である。アップしてくれた方に感謝。

Part 1Part 2
Part 3Part 4
Part 5
映画「作曲家ショスタコーヴィチ」(1975年)
スポンサーサイト

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

comment

Secre

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
最新記事
カテゴリ
タグツリー
★ トップ(最新記事)
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
人気記事ランキング
RSSリンクの表示
リンク
音盤検索
HMV検索
検索する

音楽関係のブログ(リンク・更新状況)
PopUp WikipediaⅡ
記事中の気になるキーワードをマウスで選択してください。Wikipediaからの検索結果がポップアップ表示されます。
Wikipedia
developed by 遊ぶブログ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター