バルビローリ、ボレイコ…・HMV(1月分)

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  • ベートーヴェン:交響曲第5番、ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 バルビローリ/ハレO (BBC BBCL 4193-2)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第4番、組曲「ムツェンスク郡のマクベス夫人」 ボレイコ/SWRシュトゥットガルト放送SO (hänssler CD 93.193)
  • グラズノーフ:ピアノ作品全集第4巻(3つの小品、黒鍵の舟歌、2つの即興曲、牧歌、勝利の行進曲、ヴォルガの舟歌、宗教的旋法で、パ・ド・カラクテール、ピアノ・ソナタ第2番) クームズ (Pf)他 (Hyperion CDH55223)
  • Live at the BBC 1989 ピアソラ六重奏団 (Intuition INT 3226-2)
  • 再生のシンフォニー 日比谷公会堂のショスタコーヴィチ NHK BS-hi 2008.2.10
  • サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団演奏会(リャードフ:交響詩「キキーモラ」、チャイコーフスキイ:ピアノ協奏曲第1番、ショスタコーヴィチ:森の歌) ヴィルサラーゼ (Pf) テミルカーノフ/サンクトペテルブルクPO NHK教育 2008.2.18
HMVから届いた4枚の内、2枚はショスタコーヴィチ生誕100年時の新譜。今さら……という気もするのだが、リリースが集中していたがゆえに買いそびれている盤が多く、こうやって気が向いた時に買い集めておかないと。

まずは、バルビローリのショスタコーヴィチ、ということでそれなりに話題になったアルバム。存分に心を込めて歌い切った演奏は、バルビローリの本領発揮といったところ。全体の高揚感もなかなかで、聴きやすい音楽に仕上がっている。が、良くも悪くもまろやかな響きが支配的で、ショスタコーヴィチの鋭い痛みや風刺といった側面が埋没させられていることも否めない。第3楽章など、とても美しい瞬間はあるものの、あくまでもバルビローリを聴くべき演奏と言えるだろう。録音状態は、あまり優れない。ベートーヴェンからは、特筆すべき印象は受けなかった。

もう一枚は、ボレイコの“プラウダ批判”アルバム。オーケストラの特性でもあるのか、落ち着いた渋い音色と、端正に整えられたアンサンブルが印象的。音量的には、鳴らすべきところで鳴らしているのだが、全体のテンションはむしろ地に足がついた雰囲気と言うべきだろう。響きのせいもあって、ショスタコーヴィチの鋭さよりも、マーラーのロマンティシズム(こう表現して良いのかはわからないが)を強く想起させるような仕上がりになっているのが面白い。「ムツェンスク郡のマクベス夫人」組曲は、T. ザンデルリンク盤(DG)に続く2枚目だが、“世界初録音”と表記されている。この録音が初演ライヴなのかどうかは、よくわからない。演奏内容は、交響曲第4番と同様だが、こちらは、よりショスタコーヴィチ臭が強いだけに、よくまとまった演奏という段階に留まってしまった感も否めない。

グラズノーフのピアノ独奏曲全集、ようやく最終巻を入手。資料的にどこまで網羅し切っているのか、詳しいことまではわからないが、作品番号順にグラズノーフの楽曲を追っている程度の僕にとっては、これだけの曲数を、この演奏水準でまとめてくれているだけで、文句のつけようがない。音楽としては、ピアノ・ソナタ第2番が収録曲中で一頭抜きん出た内容ではあるが、編曲物を含む他の収録曲も、グラズノーフらしい魅力が散りばめられている。

ピアソラ最晩年の六重奏団は、ガンディーニのピアノが(その素晴らしさは認めつつも)好みでないせいか、そう頻繁に聴くことはない。僕がピアソラに開眼し出した頃は、六重奏団のアルバムといえばプグリエーセとの『Finally Together』と『現実との57分間』の2枚に止めを刺すというのが定説で、その後間もなくリリースされたこの『Live at the BBC』は『現実との57分間』と収録曲の一部が重複していることもあって、ついつい買いそびれていた一枚である。「ミケランジェロ'70」以外は、どれも六重奏団での録音が残されている曲ばかりであり、際立って個性的なアルバムだとは思えないが、それでも貴重な記録には違いない。

録画したまま放っていた2つの番組を処理(?)する。一つ目は、昨年末のショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクトから第4番。このプロジェクト、全てを聴くことは最初からあきらめていたものの、どれか一回くらいは聴きに行きたいと考えていたのだが、結局時間を作ることができずに断念。ネットで好意的な評を見かける度に悔しい思いをしていたので、録画とはいえ、これで少しは無念が晴らされるだろうと思って観たのだが……。井上氏らしいケレン味に満ちた、ライヴならではの演奏はとても楽しく、刺激的ではあるが、録音には不向きな日比谷公会堂のデッドな響きもあって、楽器を掻き毟るように演奏している弦楽器奏者の映像と、聴こえてくる音との間にギャップがあり過ぎて、素直に音楽に没入できなかった。脳内で色々と補正する限り、必ずしも僕の好みの解釈あるいは響きではないものの、演奏者と同じ空間にいたならば間違いなく興奮せずにはいられなかっただろうと思えるだけに、却って実演に足を運べなかった悔しさが募る結果になってしまった。もっとも、井上氏自身がそういう演奏・音楽を志向しているのだから、当然といえば当然なのだが。井上道義オフィシャルサイトを見ると、全公演の記録がCDでリリースされそうな気配ではあるが、今回のようなフラストレーションがたまりそうな予感がして悩ましい。まぁ、発売されれば買うに決まってますがね(^^;

もう一つは、テミルカーノフ/サンクト・ペテルブルクPOの日本公演(2006年)。テレビの番組表では「チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 他」としか記されてなかったので、以前にBSで放映された「森の歌」だったらよかったのに……と思いつつも、とりあえず録画しておいて大正解。実はお目当ての演奏会だったというオチ。もっとも、演奏そのものは、率直に言ってそれほど印象深いものではなかった。ヴィルサラーゼのピアノは素晴らしかったが、オーケストラからはこれといったオーラが感じられないままに終始する。アンサンブルやピッチの不揃いといったライヴゆえの瑕はともかく、テミルカーノフの指揮からも(本来の彼なら持っているはずの)音楽的な制御力が伝わってこない。「森の歌」をこういうメンバーによる実演の映像で観ることができる意義は確かにあるのだけれど、この内容ではやっぱり物足りない。ちなみに、ニコニコ動画にこの「森の歌」全曲がアップされているので、紹介しておきます。




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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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