『驚異のデュオ』

  • ヴァーインベルグ:交響曲第4番 コンドラーシン/モスクワPO (MK C 311-312 [10"mono])
  • スヴィリードフ:パルティータ、7つの小品 V. ブーニン (Pf) (Melodiya C10-17129-30 [LP])
  • シチェドリーン:24の前奏曲とフーガより(ハ長調、ニ短調、ト長調)、トロイカ、バレエ「せむしの仔馬」より3つの小品、2つのポリフォニーの小品、ピアノ・ソナタ第1番、ユーモレスク、アルベニス風に シチェドリーン (Pf) (Melodiya 33D 014081-82 [LP])
  • シチェドリーン:ピアノ協奏曲第1&2番 ペトローフ、シチェドリーン (Pf) スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO (Melodiya 149 001 [LP])
  • L. モーツァルト:12の二重奏より、ハイドン:3つの二重奏より、レーガー:古風な様式による組曲より、バルトーク:44の二重奏より、シニートケ:モーツ=アルト クレーメル、グリンデーンコ (Vn) (eurodisc 200 083-405 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.からの10月到着分。ここのところ中古LPばかりで、すっかり新譜とはご無沙汰で、HMVのウィッシュリストもひたすら増え続ける一方。来年はLPを控えてCD中心にしようかな。

今月もまた、ヴァーインベルグの交響曲を入手。今回聴いた第4番は、ヴァーインベルグ入門にはもってこいの聴きやすく、それでいて作曲家の個性が十二分に刻まれた逸品であった。冒頭からユダヤ風の音調が支配的で、哀しくも力強く、綿々と続く決然とした楽想はヴァーインベルグならではのもの。それでいて、聴き映えのする格好良さが全曲を貫いている。反面、胃がキリキリするような切実さは後退しているようにも思えるが、作品全体の完成度が高いので気にはならない。コンドラーシンの芝居っ気たっぷりの切れ味の良さも、作品とよく合っている。

スヴィリードフのピアノ作品を聴くのは初めて。パルティータは、その名の通りバロック風の荘厳な雰囲気が漂う7曲から成る組曲。師匠であるショスタコーヴィチの影響も確かに認められるが、現代的ながらも平易な旋律と和声感覚は、明らかに後年の作品に通ずるスヴィリードフ独自のものである。ショスタコーヴィチに師事する以前の作品である7つの小品は、同時期のプーシキンの詩による6つの歌曲とよく似た、スヴィリードフ最初期の素朴な魅力に満ちた音楽。楽曲構成などはパルティータに及ばないものの、親しみやすい素敵な作品である。V. ブーニンの力強い演奏は、これらの作品の姿を適正に伝えてくれる。

シチェドリーンの自作自演をまとめて聴くのも初めて。気の利いた小品も楽しいが、いささか直截的な洒落っ気がトッカータ風の奔流に乗って繰り広げられるソナタも、若いなぁと思いつつ、独特の格好良さに惹かれてしまう。

ピアノ協奏曲第1番も、こうした格好良さという点ではなかなかのもの。緩徐楽章のちょっとした和声などにシチェドリーンらしさの片鱗が窺えるが、さすがに最初期の作品だけあって、シチェドリーン以外の雑味の方が多い印象。音楽的には、第2番の方が圧倒的に面白い。シチェドリーンのピアノはタッチの色彩感に不足するものの、ショスタコーヴィチの神経質な皮肉とは異なり、斜に構えていながらも豪胆に笑い飛ばすような雰囲気に、自作自演ならではの味わいがある。

かつて日本でも「驚異のデュオ」というタイトルでLPが発売されていた、クレーメルとグリンデーンコのアルバムは、ちょっとした思い出の一枚。A面に収録されているL. モーツァルトとハイドンの2曲は、当時習っていたヴァイオリンの先生が、弟と一緒にやりなさいと課題で与えてくれた曲で、その模範演奏としてこのレコードを貸してくれたことがある。カセットテープにダビングしたので、今でもどこかにあるはずだが、いずれにしてもそれ以来、25年近く聴いていなかったものだ。今、改めて聴いてその完成度の高さ、音楽的な内容の豊富さに吃驚。寸分の違いもないイントネーションやアンサンブルも、それだけで芸術と言ってよい水準ではあるが、ヴァイオリン二重奏という音域的にも音色的にもある程度の限界がある編成のスコアから、常識では考えられないほどの多彩さを読み取り、引き出す二人の才能が、まさに“驚異”。どの曲も素晴らしいが、作品の好みでレーガーの2曲をアルバム中のベストとして挙げておく。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Weinberg,M. 作曲家_Sviridov,G.V. 作曲家_Shchedrin,R.K. 作曲家_Reger,M.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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