読書の秋・演奏会の秋

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  • 朝吹英和:時空のクオリア, ふらんす堂, 2008.
  • 片山杜秀:音盤考現学(片山杜秀の本 1), アルテスパブリッシング, 2008.
  • 片山杜秀:音盤博物誌(片山杜秀の本 2), アルテスパブリッシング, 2008.
文学、というか文芸一般には非常に疎く、要するに文学音痴なので、詩の類は必要に迫られない限りまず読むことがない。その“必要”というのも十中八九は音楽絡みなので、邦人作家の作品に触れることは、極めて稀である。

先日、職場に一冊の本が届いた。まったくもって失礼ながら、送り主の名前に見覚えはなく、しかも俳人だと知るに至り、一体なぜ?と暫し考え込んでしまった。しかし、ざっと目次に目を通し、兎に角も読み始めてみると、そうした疑問は霧消。それはクラシック音楽作品、あるいは作曲家を題材にしたエッセイ集で、特に「伍藤暉之とドミトリー・ショスタコーヴィチ、その交響的序論」「『静寂のうちに、ものがたる余裕』――森永かず子のエッセイに寄せて」という2編のエッセイにて、ショスタコーヴィチを取り上げていた。

もっとも、文中でショスタコーヴィチやブルックナーをはじめとする作曲家達の生涯や代表作に触れられているとはいえ、本書を音楽書に分類するのは適当でないだろう。著者の音楽に対する造詣の深さはどのページからも読み取ることができるが、本書を通じて感じるのは俳句という形態を通して示される言葉(日本語)の持つ多様な広がりの素晴らしさだ。したがって、文中で展開されている音楽論の是非を問うことは、そもそも無意味だろう。音楽を説明するための言葉ではなく、音楽が表現しているであろう意味世界を、俳句を通して思索する。全編を貫くそんな雰囲気が、とても心地好い一冊である。たっぷりと時間をかけて味わうように読みたい。

『レコード芸術』誌の連載記事「傑作!?問題作!?」をまとめた片山杜秀氏の著作は、刊行から半年以上も経ってようやく購入。。まさに博覧強記と形容する以外にない氏の真骨頂と言って過言でないだろう。とにかく面白い。話の切り口も面白ければ、主張そのものも面白い。シチェドリーンは、なるほどこう聴くのか!ミャスコーフスキイの交響曲に、こういうストーリーを見出すことができるのか!などなど。文中に出てくる音楽や映画の全てを知らないことを、これほどまでに口惜しい気分にさせてくれる本も珍しい。僕の関心がある分野が占める割合は決して大きくないが、こういう本は常に手の届くところにおいておきたいものだ。

片山杜秀の本(1)音盤考現学片山杜秀の本(1)音盤考現学
(2008/01/19)
片山 杜秀

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片山杜秀の本(2) 音盤博物誌片山杜秀の本(2) 音盤博物誌
(2008/05/24)
片山 杜秀

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話は変わるが、2週続けてオーケストラの本番だった。
宝塚市交響楽団第44回定期演奏会
  • モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲
  • ベートーヴェン:交響曲第1番
  • チャイコーフスキイ:交響曲第6番「悲愴」
  • タラのテーマ(映画「風と共に去りぬ」より)【アンコール】
2008年11月16日(日) 堤俊作(指揮) 兵庫県立芸術文化センター大ホール
かぶとやま交響楽団第38回定期演奏会
  • ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
  • メンデルスゾーン:劇音楽「真夏の夜の夢」より
  • アイヴス:交響曲第1番
2008年11月22日(土) 中村晃之(指揮) 伊丹アイフォニックホール
宝塚市交響楽団は創立25周年、かぶとやま交響楽団の方は創立20周年の記念演奏会と銘打たれていたが、両者ともに記念だから何か特別なことを…という意識はなかったと思われる。どちらもエキストラという立場での出演なので、演奏会そのものにコメントすることはないが、どちらもそれぞれにハードなプログラムではあった。前者の演奏会終了後、打ち上げの二次会で堤先生から日が変わるまで色々なお話を聞かせていただいたのは、思わぬ収穫だったけど。しかし、「悲愴」に「新世界より」って……コバケンでもあるまいし、我ながら似合わないなぁ。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏活動_宝塚市交響楽団 演奏活動_かぶとやま交響楽団

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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