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ハイティンク/CSOの第4番、ロジデーストヴェンスキイのタヒチ・トロット

  • マーラー(シュタットルマイヤー&クレメラータ・バルティカ編):交響曲第10番、ショスタコーヴィチ:交響曲第14番 コルパチェヴァ (S) クズネツォフ (B) クレメラータ・バルティカ (ECM 2024)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第4番 ハイティンク/シカゴSO (CSO-Resound CSOR 901 814)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第12、6番、J. シュトラウスII:ポルカ「まあ、つべこべ言わずに」、J. シュトラウスII(ショスタコーヴィチ編):ポルカ「観光列車」、ユーマンス(ショスタコーヴィチ編):タヒチ・トロット ロジデーストヴェンスキイ/フィルハーモニアO、BBC SO (BBC BBCL 4242-2)
今年の1月に注文(3月4日の記事)して以来、本年2回目のHMVでの買い物。すっかり新譜から縁遠くなってしまい、今回注文したものも、少し前に話題になったものばかり。あんまり放置しておくと次から次へと廃盤になってしまうので、入手容易な内に揃えておかないと。

クレメラータ・バルティカによるマーラーの10番は、2007年6月16日の演奏会の録画でも観たが(2007年9月21日の記事)、イージーリスニング的な軽さはあるものの、これはこれで独自の澄んだ美しさを持っていて悪くはない。ただ、2001年の録音ということなので、上述した演奏会での演奏に比べて、技術的にも音楽的にも彫琢されていない部分が残っているのは致し方のないところだろう。ショスタコーヴィチも目指している方向は同じように聴こえるのだが、さすがにこの複雑なアンサンブルを指揮者無しで捌くのには無理があったようで、終始安全運転に徹してしまった感じ。ライヴ録音ということで、その傾向に一層拍車がかかったのだろう。クレーメルの芸風とこの作品との相性は悪くないと想像していただけに、期待はずれの感は否めない。悪くはないが、積極的に評価したい要素もない。歌手は安定した歌唱を披露しているが、安全運転のアンサンブルに取り込まれているのが惜しい。本来ならば、もっと立派な歌唱が可能だろう。ショスタコーヴィチ・ファンの間でもほとんど話題にならなかったのも当然か。

一方、ハイティンクの4番は賛否両論といった感じで、最近の新譜の中では随分と注目された一枚と言ってよいだろう。結論から言うと、とても立派な演奏だとは思うが、僕の好みではない。シカゴSOという名器を操り、憎らしいまでの余裕に満ちた音楽が奏でられる。スケールは極めて大きく、終結の静寂に向かって、楽章単位ではなく全曲を通したクライマックスの構成がなされているので、たとえば第1楽章展開部のフーガで暴発するようなことはない。全体にゆったりとしたテンポは、この作品の抒情的な側面を、今まで誰もやったことがないような感じで顕にしている。この演奏は、ハイティンクが辿り着いた一つの極致に違いないし、作品の本質に鋭く迫っていることに疑う余地はない。オーケストラの響きも極上。だが、後先考えないやみくもな勢いというのが、やはりこの作品には不可欠ではないだろうか。ここまで“大人”な音楽に仕上がってしまうと、違和感の方が先に立ってしまう。ボーナスDVDは、シカゴSOが行っている「Beyond the Score(スコアを越えて)」というレクチャー企画に基づいた、交響曲第4番にまつわる社会背景に関するドキュメンタリー(マクバーニーとギルマーによるレクチャー、および当時の映像の合間にハイティンク/シカゴSOの演奏風景が挿入される構成)。日本語字幕もあるが、行頭の文字が抜け落ちるなどの表示上の問題もさることながら、日本語として成立してない部分が多いのは残念。これらの問題は、ボーナス・ディスクということで、修正の予定は一切ない模様。ボーナス、というわりにはしっかりとした作りではあるものの、ごくありきたりの内容なので、コアなファンにとってはあまり見どころはないだろう。この他に、字幕はないが、ハイティンクとマクバーニー(クリエイティヴ・ディレクター)へのインタビューも収録されている。ハイティンクのインタビューには、ショスタコーヴィチと会った時のことなど、興味を惹かれる部分もあるのだが、マクバーニーの方は、何を今さら……というような話が延々と続くだけで、初めてこの交響曲に接する人以外にはありがたみはないだろう。

ロジデーストヴェンスキイのアルバムは、凄いという噂を耳にしていた「タヒチ・トロット」が目当て。第12番は第4番(BBC BBCL 4220-2)と共にエジンバラ音楽祭で行われた西側初演の記録であるが、これは以前にもリリースされていたことがあり、再発である。演奏は滅法粗く、とってつけたような勢いといい、どうにも冴えない。この印象は、随分と音質が向上した今回のCDを聴いても変わらなかった。一方、第6番は第12番よりも格下のオーケストラであるにもかかわらず、とても素晴らしい仕上がりである。第1楽章の冒頭から燃焼度の高い集中力が途切れることなく、全曲を一気に聴かせる。第2楽章以降はそれほど速いテンポではないのだが音楽が弛緩することは全くなく、アクの強い節回しが悉くツボにはまる、ロジデーストヴェンスキイの真骨頂が存分に発揮されている。最後の小品3曲は、1981年8月14日のプロムスのライヴ録音。最初のJ. シュトラウスのポルカは、続くショスタコーヴィチへの前ふりなのだろう。ディスクには「Nichevo Polka」(ニチェヴォー:Ничегоとは“大したことはない”といったような意味)と表記されているが、これはおそらくはロジデーストヴェンスキイが「軽いポルカを演奏します」みたいに言ったのを曲名と勘違いして記録したのではないかと思われる。実際には、喜歌劇「理性の女神」の中の「まあ、つべこべ言わずに」というポルカ。意味深な曲名のようにも思えるが、タイトルに意味を持たせるつもりであったならば「Nichevo Polka」なんて記録されている訳もなく、特に勘ぐる必要はないだろう。で、ショスタコーヴィチ編曲の「観光列車」。さりげない序奏に続く、弾けるような快速テンポの主部に、いきなり惹き込まれる。編曲の妙を強調しながら(聴衆もそれをよく理解していることが、笑い声などの反応からわかる)も、音楽の流れはあくまでも自然。名演である。「タヒチ・トロット」も期待通り。ショスタコーヴィチの仕掛けを面白おかしく聴かせているだけでなく、他のどの演奏よりも美しい響きを引き出しているところが何よりも素晴らしい。有名なリフレインを演奏に合わせてハミングする聴衆との一体感も曲の雰囲気に相応しく、聴いているだけで幸せな気分になれる、本当に素敵な記録である。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 演奏家_Rozhdestvensky,G.N.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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