シベリア・ヴァイオリン・アンサンブル

  • フレーンニコフ:バレエ「軽騎兵のバラード」より3つの小品、バレエ「愛のための愛」より愛の賛歌、コミック・オペラ「ドロテア」より第2幕への間奏曲、コミック・オペラ「黄金の孔子」より「オスタップ・ベンデルのタンゴ」、K. カラーエフ:組曲「7人の美女」 パルホモフスキイ/シベリア・ヴァイオリン・アンサンブル (Melodiya C10 25391 003 [LP])
  • カルロヴィチ:セレナーデ第2番、ショスタコーヴィチ(バルシャイ編):室内交響曲 ライスキ/ライスキCO (Poljazz PSJ 184 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.からの1月到着分。

シベリア・ヴァイオリン・アンサンブルという団体は初めて聴いたが、編成はおそらくボリショイ劇場ヴァイオリン・アンサンブルと同様だろう。フレーンニコフとK. カラーエフの舞台作品から旋律の美しい作品を集めた選曲は通好み……と言いたいところだが、コアなファンしか喜ばないと言った方が正しいか。響きには少々野暮ったさがあるものの、この音盤を手にするような聴き手にとっては、むしろその田舎臭さが美質として肯定的に捉えられるはず。技術的な不満も、もちろんあろうはずがない。

A面は、1980年前後に作曲されたフレーンニコフの作品集である。シェイクスピアの「から騒ぎ」に基づくバレエ「愛のための愛」だけはあらすじを把握しているが、その他の作品はどんな話なのか、知らない。唯一「黄金の孔子」については、イリフ=ペトロフの「12脚の椅子」と同じ主人公(オスタップ・ベンデル)が出てくるということだけは分かった(ここ参照)。もっとも、たかだか数曲の抜粋を聴くのに全てのあらすじを把握する必要は、必ずしもないのだが。

K. カラーエフの作品を聴くのは、たぶん初めて。この「7人の美女」というバレエは代表作の一つらしい。ここでは、12曲を抜粋して組曲としているが、この抜粋が作曲者によるものか、編曲者によるものか、あるいは演奏者の希望によるものかはわからない。歌謡曲的な俗っぽさを強く感じさせるフレーンニコフに比して、K. カラーエフの作品は繊細で品のある美しさが印象的。当時のソ連での社会的地位を反映してB面となったのだろうが、音楽的な内容から言えばこのK. カラーエフの作品が本アルバムのメインと言って差し支えない。標題の「7人の美女」というのは、曲名から推測すると、インド、ビザンティン、ホラズム、スラヴ、マグレブ、支那、ペルシャという、いずれもアジア地域の古代文明のあった地の美女のことらしい。いかにもアゼルバイジャン出身の作曲家らしい選択とも言えるが、各国の民族音楽を直截的に反映したような音楽ではない。あくまでも、それぞれの国のイメージをカラーエフなりに表現したということなのだろう。オリジナルのオーケストレイションで聴くと、また印象が異なるかもしれないが。とにかく、気に入った。

今回届いた残りの一枚は、2007年1月31日の記事で紹介したものを、うっかりダブり買い。気に入った演奏なら慰めにもなるが、一度聴いてお蔵入り……に近い音盤なので、わりとショック。

【2009年2月3日:追記】
妻とのたわいもない会話の中で、この「7人の美女」の話題が出た。話している内に、家にある「がんばれ、ドナルド」というVHSソフトに収録されている「ドナルドのゲーム、ゲーム、ゲーム。」という短編の中で、ドナルドが「7人の美女」というお話を読むシーンがあることに気づく。きっと由緒正しい(?)原作があるのだろうと、調べてみた。

その結果、ペルシアの叙事詩人ニザーミー(1141~1209)による『七王妃物語』が元になっていることがわかった。ササーン朝ペルシアの王、バハラーム5世が7人の王妃を迎え、曜日毎にそれぞれの王妃を訪ねて、そこで王妃が語る様々な話を集めた、といった感じの内容のようだ。「シェエラザード」(『千一夜物語』)のようなものなのだろう。邦訳もあるようだが、今のところは、読もうとまでは思わないかな。
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tag : 作曲家_Khrennikov,T.N. 作曲家_Karaev,K.A.o.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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