【ニコニコ動画】ヴェルビエ音楽祭2008より

ニコニコ動画には、2008年のヴェルビエ音楽祭の映像がいくつかアップされていた。

まずは、7月28日に演奏されたショスタコーヴィチのヴァイオリン・ソナタ。ジョセフォウィッツ (Vn) & ノヴァチェク (Pf)という、2006年に録音されたCDと同じ顔合わせによる演奏である。技術的には申し分のない出来。ヴァイオリン、ピアノ共に荒い音色を多用しているが、あくまでも意図的なもので、制御不能な汚い音とは別物である。が、しかし、不協和音の不快さのみを強調するような音色の使い方には納得がいかない。基本的な響きが陽性なので、苦味のような味わいは残らず、単なる刺激的な音響に留まる。タメというか間合いのようなものがなく、あれよあれよと音楽が進んでいくのも、個々の音の意味深さを感じさせるに至らない原因かもしれない。もっとも、こういうあっけらかんとした解釈も、現代風のショスタコーヴィチ解釈として積極的に評価してよいのかもしれない。僕は好まないが。

第1楽章


第2楽章


第3楽章


7月22日に演奏されたピアノ五重奏曲は、アルゲリッチ (Pf)、ベル & クラッゲルード (Vn)、バシメート (Va)、マイスキー (Vc)という豪華メンバー。技術的なことよりも、何をどう聴かせるかを知り尽くした、表現の引き出しの多彩さに感心しきり。僕の好みとはやや違う粘着質な節回しが気にはなるが、それはバシメートとマイスキーが入っている時点で想定内。まさに横綱相撲。

第1~3楽章


第4 & 5楽章+アンコール(第3楽章)


アルゲリッチのショスタコーヴィチは、他に2台ピアノのためのコンチェルティーノのライヴ映像もあった(YouTube)。演奏会の主催者が動画をアップロードしているようだが、テレビ等のための収録ではないようで、いかにもホーム・ビデオといったクオリティ。ただ、演奏内容は素晴らしい。アルゲリッチには同曲のライヴ録音(2006年)もあるが、相手が異なるとはいえ、基本的には同様の仕上がり。熱気溢れる自在な音楽の流れが圧倒的で、作品の魅力が存分に引き出されている。敢えて言うとすれば、上述した録音のジルヴェルシテインに比べると、バルドッチは受け身に徹しているように感じられるのが惜しい。

ショスタコーヴィチ:コンチェルティーノ
アルゲリッチ & バルドッチ (Pf)
(2008年2月2日 イタリア、リヴォルノ)
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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