エルサレムQのショスタコーヴィチ


  • ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン・ソナタ、ヴィオラ・ソナタ アンバルツミャン (Vn & Va) シェルジャコフ (Pf) (Phoenix PHCD 155)
  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第3番、シニートケ:ピアノ五重奏曲 グラフマン (Pf) モスクワQ (Fine Arts Classical FAC 9804-2)
  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第1、4、9番 エルサレムQ (harmonia mundi HMC 901865)
  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第6、8、11番 エルサレムQ (harmonia mundi HMC 901953)
6月7日12日23日7月2日の続き。Berkshire Record Outletから届いた音盤の内、残っていた4枚(全て室内楽作品)をまとめて聴く。

アンバルツミャンとシェルジャコフという、いかにも舌を噛みそうな名前の二人によるショスタコーヴィチのソナタは、ごく平凡な内容。特に、ピアノの表現意欲の希薄さが気になる。ヴァイオリン(ヴィオラ)の方は、左手の技術についての不満は特にない。楽器の質の問題なのかもしれないが、低音の力強さはあるものの全体に肌理の粗い音色で、特に高音の艶に不足するのは残念。こういう「それ誰?」というような音盤が“隠れた名盤”だと非常に嬉しいものだが、なかなかそうはいかないものだ。

モスクワQのショスタコーヴィチは、雰囲気のある音色と堅実な音楽の運びが立派だが、妙な間を入れる節回しの違和感が強く、素直に楽しむことができなかった。全体としては水準以上の仕上がりだけに、残念。一方、この団体が得意としているシニートケのピアノ五重奏曲は、繊細な美しさが際立つ好演である。もちろん、力感にも不足していない。

エルサレムQは、ジャケット写真を見る限りでは若者4人による団体のように見えるが、1993年結成ということなので“若手”と呼ぶのは失礼なのかもしれない。彼らのショスタコーヴィチは2000年録音の第3番以来となるが、少なくとも悪い印象はなかったので、カタログに既発売の2枚が並んでいたのを迷わずオーダーしたもの。ゆっくりとしたペースで発売されているので、いかにも全集になりそうな雰囲気ではあるものの、全集として完成するかどうかはよくわからない。出来は2枚目(第6、8、11番)の方が良かったが、以下に各曲の感想をまとめておく:
第1番:
作品の持つ寛いだ雰囲気よりも、颯爽とした鋭い意欲が押し出された演奏である。第4楽章などは楽しいが、第1楽章や第2楽章では少々やり過ぎに感じられるのが惜しい。
第4番:
表現意欲が空回りし、残念ながら徒に騒がしい音楽になっている。第4楽章をユダヤ情緒たっぷりに粘っこく演奏するのは面白いが、先立つ3つの楽章を同じようなアプローチで歌うことには賛同できない。
第9番:
1枚目のアルバムで最も素晴らしい出来である。丁寧に磨きあげられたアンサンブルと大柄な推進力が、作品の魅力を十二分に引き出している。
第6番:
軽やかな語り口が、とても心地よい好演。コクのある音色がその軽やかさに上品な深みを与えている。
第8番:
深刻な悲痛さよりも、情熱的な精神の力強さを感じさせる演奏に仕上がっている。荒々しい切迫感を持った音楽の勢いは、決して上滑りしていない。
第11番:
抒情的で透き通った音楽と響きの美しさが傑出した演奏である。滑らかに流れつつも、清冽な陰影のつけられた繊細な音楽の表情は、この団体の力量を示すに十分なものである。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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