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『カバレーフスキイ こどもに音楽を語る』


  • カバレーフスキイ, D.・小林久枝(訳):カバレーフスキイ こどもに音楽を語る, 全音楽譜出版社, 1994.
仕事の関係でAmazonにて書籍を購入したついでに、一度読んでみようと思いながらも縁のなかったカバレーフスキイの本も注文してみた。

カバレーフスキイが主として初習者を念頭において作曲したピアノ小品の数々は、平易ながらも単に素朴であるに留まらない味わいの魅力もさることながら、技術面の教育(訓練?)効果に対して非常に配慮されていることで有名である(僕はピアノを弾くことができないので、どれほどの配慮があるのかは実感できないが)。一方で、作曲を通じてだけではなく、直接子供達と触れあう(本書では「話し合い」という語が用いられている)形での教育活動にも熱心だったようで、本書はその活動についてカバレーフスキイ本人が書き記したものである。

子供か大人かを問わず、専門的な話を広く大衆に伝えることには大小の困難が伴うものだが、本書は特にその点について示唆的な記述に富んでいる。もちろん音楽についての話題もその切り口が面白かったりするのだが、全391ページに及ぶ分量を通して読むと、正直なところ、少し飽きる。それよりも、ごくわずかではあるが自作についての言及もあり、カバレーフスキイについての貴重な日本語の情報源としての価値が上回るだろう。

カバレーフスキイといえば、その人柄について同時代人の多くに罵られている印象しかないのだが、本書を読む限りでは十分に立派な教育者の風情が漂っている。しかし、次の一節を目にすると、あぁ…やっぱり……と思わざるを得ない。

(前略)作詞者の名をたずねると、(中略)誰ひとり、ドルマトーフスキイという姓が出てこないのです。私は助け舟を出してやろうと思い、詩人のファーストネームを小声でささやきました。エヴゲーニイ……。するとすぐさま大声で、第一列目の子どもの一人が自分の“博識ぶり”を披露しました。「オネーギン!」。会場は笑いに包まれました(誰よりも大声で笑ったのは“博識家”自身でした)。その時上級クラスの一人が「エフトゥシェンコ」と訂正しました。今度は誰もにこりともしませんでした。(pp. 84~85)



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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Kabalevsky,D.B.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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