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『ロストロポーヴィチ伝』


  • ウィルソン, E.・木村博江訳:ロストロポーヴィチ伝 ―巨匠が語る音楽の教え、演奏家の魂, 音楽之友社, 2009.
夏頃には書店に並んでいたものの、決して安くない価格のために買いそびれていた本を読了。

著者のE. ウィルソンはチェロ奏者だが、ショスタコーヴィチに関心のある人達には演奏家としてよりも、『SHOSTAKOVICH A Life Remembered』(1994年初版)の著者としてその名が知られていることだろう。著者はモスクワ音楽院でロストロポーヴィチに師事しており、ロストロポーヴィチの“亡命”にも少なからず関わっている。本書の前半は、普通の伝記と同様にロストロポーヴィチの幼少期から音楽家としての名声を確立するまでの過程をほぼ編年体で追っているが、それは、たとえばヘーントヴァの評伝などの内容と重複するところが多く、正直言ってそれほど面白くはない。

本書の最大の魅力は、主にレッスンを通して著者自身が見聞きしたロストロポーヴィチの言葉の数々だ。いずれの言葉も、音楽を音楽以外の事象と結び付けて捉えるロシアの楽曲解釈の伝統を最良の形で示すだけでなく、人の生き方に対するロストロポーヴィチの信念が込められた含蓄のあるものばかり。音楽に関する記述の内容を即座に理解できるようなコアなファンでなくても、十分に面白く読むことができるだろう。もちろん、本文中に出てくる楽曲を全て知り、そのロストロポーヴィチ自身の演奏も知っているならば、本書の記述はより一層活き活きと読者に訴えかけてくることは言うまでもなく、また本書を読めばそれらを聴きたくなるに違いないのだが。

それにしても、ロストロポーヴィチが授業で要求した内容の非常にハイレベルなことには、改めて驚かされた。自分と同等以上の才能を相手にも求め、またそういう相手としか親交を結ぼうとしないエゴイズムに賛否は分かれるかもしれないが、常識的な人格者にあのような押し出しの強い圧倒的な演奏ができるとも思えない。ロストロポーヴィチと言うと、ともすれば精力的に国際的な社会活動を展開した反体制の闘士としての側面ばかりが強調されがちだが、あくまでも第一義的には20世紀最大のチェロ奏者にして音楽家である。本書は、そのことを改めて再認識させてくれる。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_Rostropovich,M.L.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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