ショスタコーヴィチ:交響的断章(未完)の総譜


  • ショスタコーヴィチ:交響的断章(未完), DSCH, 2008.
  • ショスタコーヴィチ:2台のピアノのための小協奏曲 作品94, DSCH, 2007.
  • ショスタコーヴィチ:ポルカ 作品22-30(バレエ「黄金時代」より), DSCH, 2007.
  • ショスタコーヴィチ(H. グリークマン編):3つの幻想的な舞曲 作品5, DSCH, 2007.
  • Дмитрий Шостакович: Исследования и материалы. Вып. 2, DSCH, 2007.
10月10日の記事で取り上げた、ショスタコーヴィチの交響曲断章(1945年)のスコアが届いた。早速、序文を読んでみたのだが、証拠の多く(たとえば、五線紙の種類とか、インクの種類とか)は素人が検証し得る範疇を超えているものの、様々な状況証拠だけでも、この未完の断片が交響曲第9番の初稿に違いないという論述には十分な説得力がある。「近年になって発見された、交響曲第9番として書き始められたと思われる、未完の断片」というのが、このスコアに対する呼称として(現時点では)適切だろう。スコアそのものについては、やや単純ながらも鮮やかな楽器法と、有無を言わさぬ推進力が印象的で、展開部の開始部分で筆が止まっているのは、いかにも残念。せめてこの楽章だけでも完成させて欲しかった……いやいや、やはり当初の構想通り、合唱入りの終楽章まで実現して欲しかった……などと、夢想ばかりが膨らんでしまう。ちなみに、フィッツ=ジェラルド盤はスコアの最後の部分に数小節の終結部(?)を付加していた。世界初演時のロジデーストヴェンスキイがどのように処理したのかは分からない。

さて、せっかく楽譜を取り寄せるのに、この1冊だけでは送料がもったいない。ついでに、同じDSCH社の楽譜の内、普及版(ペーパーバック)の数冊を適当に追加注文した。少し気になったのが「コンチェルティーノ」。全音出版社などから出版されている旧選集準拠の楽譜と音型が違う箇所がある(1st Pf:111小節、1st Pf:201小節)。丁寧に比較対照したわけでないので他にもあるかもしれないが、少なくともこの2箇所については明らかに音型が異なる。ショスタコーヴィチ父子による自作自演では、旧選集版と同じ音型が演奏されており、原典版(DSCH社の性格からして、そうでなくてはならないだろう)にはどのような根拠があるのか知りたいところだ。残念ながら、普及版には校訂報告はなく、この疑問を解決するには全集第113巻の出版を待つしかないのだろう。ちなみに、単純な記譜違いもある(1st Pf:244小節の2拍目裏のリズム)。

『研究と資料集』とでも訳したらよいのだろうか、DSCH社から刊行されている書籍の第2巻も購入。第1巻の方は、ショスタコーヴィチの備忘録などが掲載されていて非常に興味深い内容なのだが、第2巻は主として研究論文集である。ショスタコーヴィチ初期の映画館でのアルバイト時代の話題や、サッカーへの傾倒ぶりに関する話題、アサーフィエフがショスタコーヴィチについて語った論文や、メイエルとの書簡集など、なかなか興味深い内容となっているが、何せロシア語なので、まだまともに読んではいない。それはともかく、第1巻をどうしたら入手できるのか、未だ手がかりがない。何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、どうか教えてください。
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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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