御茶ノ水界隈を散策


  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第14番、ナシーゼ:交響曲第3番「室内交響曲」 スークQ ビエロフラーヴェク/ムジチ・デ・プラハ (Panton 11 0603 G [LP])
  • バルトーク:弦楽四重奏曲第4番、ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第7番、ストラヴィーンスキイ:弦楽四重奏のための3つの小品、ヴェーベルン:弦楽四重奏のための6つのバガテル スロヴァキアQ (Supraphon SUA ST 50629 [LP])
  • モーツァルト:交響曲第38番、マーラー:交響曲第4番 ギューデン (S) ワルター/ウィーンPO (DG 435 334-2)
  • グバイドゥーリナ:オッフェルトリウム、T. S. エリオットへのオマージュ クレーメル (Vn) デュトワ/ボストンSO ウィトルシー (S) ファン・クーレン (Vn) T. ツィマーマン (Va) ゲリンガス (Vc) ポッシュ (Cb) ブルンナー (Cl) ヴラトコヴィチ (Hr) トゥーネマン (Fg) (DG POCG-3137)
  • スクリャービン:24の前奏曲、ショスタコーヴィチ:24の前奏曲 橋本京子 (Pf) (Live Notes WWCC-7526)
御茶ノ水で仕事があったので、久し振りにこの界隈を散策した。ちょうど神保町では古書祭りをやっており、何か掘り出しものでもあれば……といった気分だったが、書籍の方は残念ながら収穫なし。もっとも、2時間足らずでこの付近をしゃぶり尽くすことなど到底不可能なのは初めから分かっていたこと。もっぱら雰囲気を楽しんでいただけなので、十分に楽しい時間を過ごすことができた。

新世界レコード社の名を無意識に探しつつ、古書センタービルのエレベータに乗り、富士レコード社へ。漫然とエサ箱を適当に漁っていたら、スークQによるショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲の録音中、唯一持っていなかった第14番を収録したアルバムを発見。この団体の他の演奏と同様、地味ながらも温もりのある美しさを湛えた佳演である。上品な抒情は、この作品が持つ魅力の全てではないものの、ある一面を見事に表出している。併録のナシーゼ作品は、繊細で透き通った響きの質感が印象的な音楽。

気が抜けていた割には随分良い買い物ができたと満足してエレベータに向かうと、「あ、ちょっとすみません」と店員さんに呼び止められた。「もしよかったら、この団体の名前、教えてもらえませんか?」と、今買ったばかりのLPの商品カードを差し出された。なるほど何という団体か見当もつかなかったのだろう、「Sukovo Quartet」と書いてある。「スーク四重奏団ですよ」と言うと、「あぁ!スークなんですか!」と、ものすごくすっきりした顔で深々とお辞儀をされた。チェコ語なんて全く分からないのに、こんなことでお礼を言われるのは、何か妙な気分。

JRの改札を通る前に、Disk Union お茶の水クラシック館も覗いてみた。普段から通い詰めているのならともかく、数十分程度エサ箱を眺めるだけでは、掘り出し物なんて見つけられるわけがない。結局LPは1枚だけ、それも、既に別ジャケットで持っているものを購入。このスロヴァキアQのアルバムは、本ブログでも簡単に触れたことがあるが、安定した技術に加え、おっとりとした歌心と、地に足のついた高揚感とのバランスがとても良い。バルトークには多少の物足りなさを感じるものの、他の作品については、特に過不足のない立派な演奏だと言ってよいだろう。

LPを集中して漁る気力はもう残っていなかったので、後はCDの棚を漫然と眺めてみた。すると幸運にも、長らく探していた音盤を2枚発見できた。

まず1つ目は、ウィーンPOの150周年記念シリーズから、ワルター指揮の1955年11月6日のライヴ録音である。このシリーズでは、カラヤン指揮のブルックナーの交響曲第9番を所有かつ愛聴しているが、モーツァルトの交響曲中でも突出して「プラハ」が好きなだけに、このアルバムはずっと気にかかっていたのだった。早速聴いてみたが、目当ての「プラハ」は、出だしの調子が非常に悪く、機器の調整が不調だったのか録音状態にも感心できない。楽曲の佇まいに不釣り合いな壮麗さを持った演奏は、いかにもオールド・スタイルではあるが、指揮者との呼吸やオーケストラのアンサンブルが落ち着いた第2楽章以降、特に第3楽章ではウィーンPOの魅力を楽しむことができる。ただ、「プラハ」の演奏としては、僕の大好きなクリップス/アムステルダム・コンセルトヘボウO盤(Philips 422 476-2)に及ばない。一方のマーラーは、とても素晴らしい演奏である。僕にとって第4番は、極言すれば興味のない作品であったのだが、こんなにも魅力的な音楽だったことを、この演奏で初めて知った。もちろん、ライヴゆえの瑕は多々あるし、録音だって褒められたものではない。しかし、全編に満ちている音楽の香りは、それらを補って余りある。

もう1枚は、クレーメルによるグバイドゥーリナ作品集。発売当時は随分と話題になった盤であり、DGということもあっていつでも手に入るだろうと油断していたら、いつの間にか店頭では見かけなくなっていた。盤面の状態は優れなかったが、その分安かったし、とにかく楽曲を一度は聴いてみたかったので、迷わず購入。このアルバムについては、クレーメルが自伝(『クレーメル青春譜』アルファベータ,2007)の中でも語っているが、確かに作品、演奏共に素晴らしい内容である。独自の響きと、時に暴力的なまでの力強さ、そして不思議に透き通った音楽世界が印象的で、クレーメルの自在な演奏はそれらを余すところなく表出し切っている。

最後に、フル・プライスで購入するのに躊躇していたショスタコーヴィチ作品のCDが廉価で並んでいたので、これもこの機会に購入してしまった。ところが、これが案外悪くない内容で、かなりのお買い得感があった。スクリャービンにはやや薄く、ショスタコーヴィチにはやや濃い、といった感じだが、強烈な個性を感じさせないながらも美しく端正な仕上げには好感が持てる。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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