ライヴ・イン・トーキョー1988

  • ミルバ&アストル・ピアソラ ライヴ・イン・トーキョー1988 (B.J.L DDCB-13012/13)
このアルバムは凄い。凄いとしか言い様がない。音楽でしか表現し得ない感情、感覚の諸相が、このわずかCD2枚の中に凝縮されている。

ピアソラ4度目の来日公演におけるライヴ録音だが、その一部分は、1997年12月7日の『芸術劇場 ピアソラのすべて』(NHK教育)で放映されたのを観たことがある。この番組を録画したVHSは今でも僕の宝物だが、まさかその公演の全曲目がCDとしてリリースされるとは想像だにしていなかった。音源を発掘し、世に出すにあたっては関係者の並々ならぬ苦労があったようだが、関係各位に心の底から感謝したい。

それにしても、このアルバムは凄い。このわずか2ヶ月後にはピアソラの心臓手術のために、五重奏団が解散されてしまう。ピアソラの音楽人生を振り返るならば、この日本公演をピアソラの集大成、あるいは到達点と捉えることも可能であるし、事実、このアルバムに収録された演奏は、そう称するに相応しい境地に達している。ミルバとの公演は1984年に収録されたCDとVHSで楽しんできたし、それらも演奏家達の真価を知らしめるに十分な名盤であったのだが、このアルバムはそれを軽く凌駕する、ピアソラが遺した全録音の中でも一二を争う超名盤である。

今からピアソラを聴こうとするならば、迷わずこの『ライヴ・イン・トーキョー1988』から聴くべきである。凄い、本当に凄いアルバムである。

HMVジャパン


このアルバムの圧倒的な印象の前では、すぐにピアソラ以外の音楽を聴く気にはなれない。YouTubeにもピアソラ関連の動画が少なからずアップされているが、初演者でもあるクロノスQによる「Four for Tango」の動画が2種類あったので紹介しておきたい。どちらもテレビ番組の類のための収録だと思われるが、確かなところは不明。演奏内容に大差はないが、あえて言えば左側の演奏の方が生々しい熱気が感じられる点で僕の好み。もちろん、右側のどこか醒めた雰囲気も悪くない。

ピアソラ:タンゴのための4人
クロノスQ
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theme : ワールド・ミュージック
genre : 音楽

tag : Tango_Piazzolla,A.

comment

Secre

“凄い”

という言葉が連発された熱いブログに押され、拝読した後は尾を引くように“音楽でしか表現し得ない感情、感覚の諸相”を自分も体験したいという想いが強くなり、amazonで検索、先日遂に届いてからというもの、ライナーノーツも読まないまま毎晩のように聴いています。

抑えられない強い感情が身体ごとぶつかってくるような感覚と言いますか、この生(なま)のような音楽と声には惹かれるものがあります。上手な言葉が見つからず、ただ「グッとくる」としか発せられないのが正直なところでしょうか。音楽の専門学に明るくない僕も楽しんで聴いています。

この素晴らしいアルバムを紹介していただき、ありがとうございます。

Re: “凄い”

ウルスリさん いつもありがとうございます。

気に入っていただけたようで、何よりでした。理屈抜きで本能に直接訴えかけてくる凄みは、クラシックとかタンゴとかいう表面的なジャンル分けとは無縁の、圧倒的な説得力を持っていますよね。

もちろん、こうした濃密な情感を表出するための“技”も随所に聴き取れるわけですが、それを分析的に聴くのはいかにも相応しくない、そんな音楽だと思います。コメントから察するに、ウルスリさんも同じように感じていらっしゃるようで、なんだか嬉しいです(^^)
プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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