【YouTube】ショスタコーヴィチ:交響曲第12番(ドゥダメル/ヴァスケス指揮)

11月26日の記事以来、しばらく集中的にYouTubeにアップされているショスタコーヴィチ作品の動画を紹介してきたが、今回で一段落をつけたい。最後に紹介するのは、“ベネズエラのショスタコーヴィチ”2種である。といっても、演奏されている楽曲は同じ。

「エル・システマ(El Sistema)」とは、貧困層の青少年を音楽教育を通じて健全に成長させようという教育プログラムである。ベネズエラは、これを国家的なプロジェクトとして推し進めている。そこで教育を受けた若者達の中から特に優秀な奏者を選抜したユース・オーケストラが、その水準の高さで世界的に注目されている。以下に紹介する2種の演奏はどちらも、このプログラムで教育を受けた指揮者と、ユース・オーケストラによるものである。

まずは、既にベネズエラを代表する音楽家と言ってもよいだろう、ドゥダメルの指揮によるテレサ・カレーニョ・ユースSOの演奏から。ドゥダメル/シモン・ボリバル・ユースOについては、2009年5月2日の記事でショスタコーヴィチの交響曲第10番の動画を紹介したことがある。ここで演奏しているオーケストラ、同じユース・オーケストラと言っても、実は高校生の選抜オーケストラとのこと。ちなみにテレサ・カレーニョとは、ベネズエラ出身の女流ピアニストらしく、彼女の母方の遠い親戚には、シモン・ボリバル(ラテン・アメリカ独立の指導者)がいるらしい(詳しくは中南米ピアノ音楽研究所というHP内のテレサ・カレーニョの項を参照されたい)

さてこの演奏、技術的な問題が多々あることはもちろん事実だが、純粋すぎるほどの音楽への献身ぶりが極めて印象的で、その燃焼度は凡百の演奏の及ぶところではない。映像を見てまず驚くのはオーケストラの人数で、教育目的であることを考えればスコア通りの編成でないことは理解できるものの、ショスタコーヴィチで倍管編成というのは、十分にインパクトがある。もっとも、個々の使用楽器の水準はまちまちで、人数に比例した音量、あるいは音圧があるわけではない。ただ、これだけの人数が揃って音楽に没頭しているのだから、それが音楽に反映しないわけがない。この演奏をショスタコーヴィチの交響曲第12番の正統的な解釈であるとか、代表的な名演だと言うつもりはないが、少なくとも僕にとっては、この交響曲を初めて“良い曲”だと思わせてくれた演奏と言うことはできる。

第1楽章(1)第1楽章(2)
第2楽章(1)第2楽章(2)
第3楽章第4楽章
ショスタコーヴィチ:交響曲第12番
ドゥダメル/テレサ・カレーニョ・ユースSO(2009年7月10日)


一方、彼らの“兄貴分”の演奏は、指揮者の資質のせいか、はたまたオーケストラの共感の度合いに差があったのか、上述の演奏に共通する性格ははっきりと聴き取れるものの、随分と常識的なおとなしい仕上がりとなっている。こうなると、技術的なアラが気になったり、散漫になりがちな音楽の運びに不満が募ってしまう。もっとも、これは聴いた順番が悪かったのかもしれないが。

第1楽章(1)第1楽章(2)
第2楽章(1)第2楽章(2)
第3楽章第4楽章
ショスタコーヴィチ:交響曲第12番
C. ヴァスケス/シモン・ボリバル・ユースO
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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