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【YouTube】ピアソラの黒歴史?

ピアソラにとっての理想的な演奏形態がキンテート(バンドネオン、ヴァイオリン、エレキ・ギター、コントラバス、ピアノ)であっただろうことは、短命に終わったコンフント9をひとまず考慮に入れなければ、衆目の一致するところだろう。もちろん、楽器編成が良かったというだけではなく、全てのパートに極めて優れた奏者を配置することができたことも、強調しておく必要がある。

一方、ピアソラにとって最も成功しなかった演奏形態となると、その実験的な意義については無視できないものの、70年代の電子楽器を用いたアンサンブルを挙げる人が多いのではないだろうか。僕も、その一人。ピアソラを聴き始めた当初、何も分からずにこのコンフント・エレクトロニコの海賊盤(?)を聴き、すっかり当惑してしまったのは懐かしい思い出だ(1997年7月18日の記事)。

コンフント・エレクトロニコは、1975年9月頃から演奏活動を開始したようだが、翌76年2月にはヴァイオリンのアグリが脱退してしまう。この編成で遺されている録音(海賊盤を含む)はいずれも、アグリの代わりにフルート(またはサックス)のシュネイデルが参加してからのものばかりである。したがって、アグリ時代の音源というのはそれだけで貴重なのだが、何とその映像がYouTubeにアップされている。それらは“リクエストによる埋め込み無効”になっているので、以下に動画へのリンクを張っておく。
この映像からの抜粋(?)がいくつかあるので、それらも紹介しておきたい。好みの曲だけを聴きたい場合は、その方が便利なことも少なくないだろう。

「Solitude」は、以下の動画の方が冒頭の欠落もなく、画質も良い。2つとも同一の動画だが、品質は左の方が良好。

Solitude


「Años de soledad」には、2つほど抜粋の動画があった。トリミングの仕方が異なるので、お好きな方をどうぞ。品質は「その2」の方が良好。
「Chiquilín de Bachín」には次の動画もあるが、品質が悪いのであまりお薦めできない。

Chiquilín de Bachín


「Bandoneón」は、次の動画の方が一つにまとまっているので良いだろう。

Bandoneón


これらの映像と同じライヴで収録されたのではないかと思われる「Amelitango」と「Whisky」の動画もある。「Amelitango」でアグリの出番はない。ライヴの1曲目として、「Solitude」の前に演奏されたのだろうか?また、「Bandoneón」と「Whisky」が演奏されていることに加えて、「Bandoneón」の前のスピーチで「Zita」という語が聞き取れることも合わせると、「トロイロ組曲」の全曲が演奏されたりしたのだろうか?想像は膨らむ。

AmelitangoWhisky


さて、これらの一連の演奏を聴いて思うのは、サウンドがいかにも古臭いということ。当時としては新奇性もあったのだろうが、“時代の最先端”という時代の刻印が強く、キンテートのような普遍性を獲得し得ていないことは否めない。ただ、アグリの存在は決定的で、彼のヴァイオリンが鳴った瞬間に、全てがピアソラ色になる。コンフント・エレクトロニコが成功を収められなかった最大の理由は、楽器編成よりも奏者の質、とりわけアグリの不在にあったのだろうと、この映像を視聴して強く感じた次第。

ピアソラの電子楽器時代は、彼の生涯を俯瞰するならば、やはり一種の黒歴史であろう。その幕開けを告げたのは、1974年のアルバム『LIBERTANGO』である。80年代のキンテートによってピアソラの代表作へと昇華した「Libertango」だが、このアルバムに収録された演奏では、バンドネオンの響きとコード進行の目新しさくらいしか感じられない。要するに、ピアソラ自身の創作が全くの不調だったという意味ではなく、彼の音楽を具現化するための適切な奏者に恵まれなかったという意味での“黒歴史”である。

ニコニコ動画に、発表当時に収録された「Libertango」の映像がアップされている。この映像の楽器編成は上述したアルバムを小型にしたような感じだが、アルバムに参加した奏者達の姿を見ることができるという点で興味深く、また貴重な映像である。何かの番組のようだが、動画の半分くらいはタイトルバックで、本編の「Libertango」よりもそのBGMである「Zum」の方が長いくらいだ。それでも、当時のピアソラの意欲と、それに反してイタリアのスタジオ・ミュージシャン達がピアソラの音楽を単なるムード音楽としか表現し得ていない様を窺い知ることはできる。

ちなみに、クレジットをよく見ると、マリンバ奏者があの悪名高きアルド・パガーニとなっている。こんな顔をしていたのか。

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theme : ワールド・ミュージック
genre : 音楽

tag : Tango_Piazzolla,A.

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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