【YouTube】シニートケのチェロ曲

ロストロポーヴィチやグートマン、イヴァーシキンなどの名チェリスト達が周りにいたせいか、シニートケの作品リストの中にはチェロのための作品も少なくない。中でも演奏頻度が高いのは、中期の傑作チェロ・ソナタ第1番だろう。初期作品に顕著な、うねるような音響の暴力的なまでの力強さはやや後退し、鎮魂歌風の深く沈むような緊張感を持った独特の雰囲気が、この時期の作品群に共通する特徴である。

ショスタコーヴィチの後期作品に連なるロシア音楽の香りが強い楽曲だが、シフとP. グルダというウィーンの音楽家達の手にかかると、意味ありげな雰囲気よりもメロディアスな魅力の方が前面に出て、その美しさが際立つ。

第1楽章第2楽章
第3楽章
シニートケ:チェロ・ソナタ第1番
シフ (Vc)、P. グルダ (Pf)


1994年に、自身が主催するチェロ・コンクールの課題曲としてロストロポーヴィチがシニートケに委嘱して作曲されたのが、チェロ即興曲である。シニートケの健康状態もあって、この時期以降の作品は極めて数が少なく、この曲も実質的に最晩年の作品と言って構わないだろう。

技術的に至難であることは一聴してすぐ分かるが、音楽に技巧的な要素は皆無で、即興曲という名の通り自由な形式で書かれた楽曲だけに、ある種の捉えどころのなさを感じてしまう。何度も聴き重ねていく中で、その音楽世界に馴染んでいくことが必要なのかもしれない。若手奏者のI. ルビンシテーインは、見事な技術をもって端正に音楽を作っており、非常に立派で好感の持てる演奏を繰り広げている。

シニートケ:チェロ即興曲 I. ルビンシテーイン (Vc)


シニートケといえば「多様式主義」という言葉がすぐに連想されるが、「古風な形式による組曲」もそうした作品の一つとして、広く知られた楽曲と言ってよいだろう。ヴァイオリンとピアノの二重奏が当初の編成だったが、その後シニートケ自身の手で様々な編成用に編曲されている。僕はヴィオラ・ダモーレと室内アンサンブルのヴァージョンを好んでいる。

チェロとピアノの二重奏用編曲は、シニートケ自身ではなく、シャフラーンによるものである。YouTubeには、そのシャフラーン自身による演奏の映像がアップされていた。2種類の動画があるが、収録曲に重複はない。残念ながら、第1曲「牧歌」はなかった。僕は、シャフラーンの音色や弾き方があまり好きではないが、この曲を楽しむ上でさしたる不満はない。

シニートケ(シャフラーン編):「古風な形式による組曲」より「バレエ」
シャフラーン (Vc)、不明 (Pf)
シニートケ(シャフラーン編):「古風な形式による組曲」より「メヌエット」「フーガ」「パントマイム」
シャフラーン (Vc)、A. ギンスブルグ (Pf) (1982年 モスクワ音楽院大ホール)
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Schnittke,A.G.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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