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バルシャーイの10枚組BOX(Brilliant)


  • ルドルフ・バルシャーイ・エディション バルシャーイ/モスクワCO他 (Brilliant 9010)

3月22日の記事で紹介した買い物の残り。発売されてから既に一年近く経っているが、僕にとってバルシャーイ/モスクワCOの演奏は子供の頃の刷り込みであり(1997年8月25日の記事)、彼らの多彩なレパートリーをまとめて聴くことのできるこのセットを無視することは、どうしてもできない。

収録曲は、以下の通り:
【CD 1】
J. S. バッハ(バルシャーイ編):フーガの技法(1969.6.19)
【CD 2】
J. S. バッハ(バルシャーイ編):フーガの技法(1969.6.19)
グルック:バレエ組曲「ドン・ファン」より「ピチカート」(1965.1.20)
ラモー:協奏曲第6番(1956.9.23)
ラモー:ガヴォット(コルニェエフ (Fl) 1956.9.25)
リュリ:メヌエットとアリオーソ(1956.9.23)
マレ:3つの小品(1956.10.2)
パーセル:幻想曲第8&12番(1959.11.27)
【CD 3】
ハイドン:トランペット協奏曲 変ホ長調(ドクシーツェル (Tp) 1961.12.21)
ハイドン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調(モレイラ=リマ (Pf) 1974.6.28)
ハイドン:交響曲第100番「軍隊」(1973.8.9)
【CD 4】
モーツァルト:交響曲第29番(1963.10.14)
モーツァルト:ディヴェルティメント第17番(1968.4.9)
【CD 5】
モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調(1968.4.10)
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番(リル (Pf) 1970.7.1)
ベートーヴェン:交響曲第8番(1967.12.13)
【CD 6】
ドビュッシー:「子供の領分」より「小さな羊飼い」(1956.9.25)
プーランク:「6人組のアルバム」より第5曲「ワルツ」(1956.9.25)
ヒンデミット:「愛好家および音楽仲間が歌い、演奏する音楽」より第3曲「クープファルツからきた狩人」(1959.11.27)
マルティヌー:ディヴェルティメント(1959.11.27)
バルトーク:弦楽のためのディヴェルティメント(1960.12.3)
バルトーク(ヴェイネル編):子供のために(1962.3.3)
ブリテン:シンプル・シンフォニー(1962.3.3)
【CD 7】
ショスタコーヴィチ:交響曲第14番(ヴィシネーフスカヤ (S) レシェティーン (B) 1969.10.6)
ヴァーインベルク:シンフォニエッタ第2番(1967.3.7)
【CD 8】
ショスタコーヴィチ(バルシャーイ編):弦楽のための交響曲 Op.118a(1967.3.7)
ショスタコーヴィチ:前奏曲とフーガより第20&8番(1960.11.22)
ラーツ:弦楽のための協奏曲(1963.10.14)
B. チャイコーフスキイ:室内交響曲(1967.10.27)
【CD 9】
プロコーフィエフ(バルシャーイ編):束の間の幻影(1967.3.7)
プロコーフィエフ:子供の音楽より「おとぎ話」(1959.11.27)
メエロビッチ:室内管弦楽のためのセレナーデ(1967.3.7)
K. ハチャトゥリャーン:チェロ・ソナタより「アリア」(1967.3.7)
ロクシン:交響曲第7番(グリゴーリエヴァ (A) 1974)
【CD 10】
ブーニン:交響曲第5番(モスクワPO 1968~70)
ブーニン:室内管弦楽のための協奏曲(1962.3.29)
ストラヴィーンスキイ:弦楽のための協奏曲 ニ調(1960.11.22)
ストラヴィーンスキイ:ダンバートン・オークス(録音:1962.3.25)
Classic CaféというサイトのBarshai Discographyを見ると既発音源も多く含まれているようで、例によって、ライヴ録音とされていても収録年月日などのデータがどこまで正しいのかはわからない。以下、ディスク順に。

【CD 1】彼らの「フーガの技法」は、既にYedang盤を架蔵していたが、透徹したアンサンブルの見事さが際立つものの、全体としてはやや退屈さが否めないという感想は、今回改めて聴き直しても変わらなかった。“バルシャーイ編曲”とクレジットされているが、この曲集の内容と性格を考えるならば、そのことに大きな意味は見出せない。「2台のクラヴィアのためのフーガ」は省略されているが、これは純粋に編成上の理由だろう。なお、Yedang盤では1枚に収録されていたが、ここでは最後の一部が2枚目に分割されている。対位法第12と第13の正立形と倒立形とが別のトラックに分割されているため、トラック数も異なっている。さらに、最後の「5度の対位法による12度のカノン」と「3つの主題によるフーガ」の演奏順がBrilliant盤とYedang盤とでは逆になっているが、恐らくは未完のフーガが最後になる方が正しいように思えるものの、確たるところは分からない。

【CD 2】「フーガの技法」の結尾部分に続き、バロック期の作品が収録されている。いずれもモスクワCOが結成されてから間もない1956年の録音で、驚嘆すべきアンサンブルの質をもって彼らがデビューしたことを証明する貴重な記録といえるだろう。今となっては“正しくない”演奏様式なのだろうが、息遣いに至るまで徹底して整えられた人工美は、バロック音楽に相応しいようにも思われる。ただ、バルシャーイと奏者の両者の意識が技術的な完璧さに集中しているように感じられ、音楽に愉悦感がないのが惜しい。

【CD 3】ハイドンの3曲が収録されているが、残念ながら堅実であるという以上の特徴を感じ取ることはできない。中では、ドクシーツェルのトランペットが華麗な情感に溢れていて、すこぶる魅力的。もっとも、ロシア臭のきついハイドンなので、好き嫌いは分かれるだろう。

【CD 4】モーツァルトも、音楽の香りに乏しいのが惜しい。特に団体の技術の高さをこれでもかと見せつけるような交響曲第29番は、嫌みですらある。もっとも、スピヴァコーフ/モスクワ・ヴィルトゥオージも同種の曲で似たような演奏を聴かせることがあり、弦楽器奏者が思い通りになる手兵を得ると、ついついやってしまう音楽の傾向なのかもしれない。

【CD 5】モーツァルトのディベルティメントは、結成から10年以上を経て最盛期にあったこのコンビの凄味を端的に示している。弦楽四重奏以上に緊密なアンサンブルと言ってもよい。僕にとっては、カラヤン/ベルリンPOの怪演と並んで絶対にはずせない演奏である。悪趣味過ぎますかね?ベートーヴェンの2曲は、CD3とCD4のハイドンやモーツァルトに比べると演奏内容が格段に豊か。

【CD 6】編曲作品を含む小品を集めた1枚。こういう“軽い”曲でも精緻極まりない仕上げを追求しているのが、このコンビの魅力でもある。鋭利な刃物で一気に切り裂くような音のアタックゆえに、どの曲も同じように聴こえてしまうのは否めないが、減点材料にはならない。

【CD 7】ショスタコーヴィチの交響曲第14番は、Russian Disc盤などで知られている既発音源。ライヴゆえの瑕はあるが、冷徹な狂気の奔流に圧倒される名演。初めて聴いたヴァーインベルグのシンフォニエッタ第2番は、少々印象が薄いものの、とても美しい音楽。常に濁った情念の渦が感じられるのは、いかにもヴァーインベルグらしい。

【CD 8】バルシャーイが編曲したショスタコーヴィチ作品の初出音源が含まれた、このセットの中で最も楽しみにしていた1枚。その期待は十分に満たされた。特に弦楽四重奏曲第10番の編曲は、背筋に寒気が走るような怜悧さと濃密なロシア風の情感とが高い次元で共存する、非の打ちどころがない名演である。第8番と違って第10番にはこれといった録音がなかったので、この録音が現時点での決定盤となろう。24の前奏曲とフーガからの編曲も抒情的な雰囲気が豊かな演奏だが、編成ゆえか少々ロマンティックに過ぎるようにも感じる。ラーツ作品で惜しげもなく繰り出される圧倒的な名技と、ボリース・チャイコーフスキイ作品の多彩な響きや表情を見事に描き分ける音楽性の高さも驚異的である。

【CD 9】現代ソ連音楽集といった風情のこの1枚も楽しみにしていたが、肝心の作品がそれほど面白くなかったというのが正直なところ。中では、ロクシン作品が印象に残った。何度か聴き込めば、また違った風景が見えてきそうな気もする。ロクシンについて、詳しくはこちら

【CD 10】ブーニンの2曲は、ヴァーインベルグからユダヤ風の民族臭を抜いたような感じ。ショスタコーヴィチの影響があからさまだが、これはこれで十分楽しめる。ただ、どちらもバルシャーイ/モスクワCOのコンビで聴く必然性は、あまり感じられない。演奏そのものは、隅々まで引き締められた立派なもの。興味深かったのは、ストラヴィーンスキイの「ダンバートン・オークス」。この曲は、かぶとやま交響楽団の第29回定期演奏会で弾いたことがあるが、苦戦の末に、どこかゴツゴツした肌触りの演奏に仕上がった記憶がある。それは自分達の演奏技術の低さに起因するものでもあるが、いくつかの録音を聴いても似たような印象を受けたこともあり、そういう曲なんだと思っていた。ところがバルシャーイ/モスクワCOの演奏は、このイメージとは全く異なる、柔らかく滑らかで、鼻歌のようなお洒落さを感じさせるもの。最上の解釈、と言ってしまうにはまだ抵抗があるものの、このセットの中で最も衝撃を受けた演奏とは言える。

HMVジャパン
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_Barshai,R.B. 作曲家_Shostakovich,D.D.

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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