『ギリシャ正教(講談社学術文庫)』/『我主イイススハリストスの新約』/『北槎聞略(岩波文庫)』


  • 高橋保行:ギリシャ正教, 講談社学術文庫, 1980.
  • 我主イイススハリストスの新約, 正教會, 1985.
  • 正教会聖歌集, 1985.
  • 桂川甫周・亀井高孝(校訂):北槎聞略―大黒屋光太夫ロシア漂流記―, 岩波文庫, 1990.
5月22日の記事でも簡単に触れたが、ロシア音楽史を自分の中で簡単に整理してみようと、今まで断片的にしか知らなかったロシア史やロシア文化について、やや集中的に勉強してみた。中でも正教に関する事柄は、キリスト教自体にほとんど馴染みがなかったこともあって、僕にとってはすこぶる新鮮で面白く、妻には「洗礼でも受けるつもり?」と呆れられるほど、没頭してしまった。4月25日の記事で紹介したクレマンの著作に続き、今度は講談社学術文庫に所収されている高橋氏の著作を読了。正教会について日本語で読めるまとまった本は、専門書を除くと、事実上この2冊だけのようだ。

翻訳であることも影響しているのだろうが、やや客観的で理詰めな印象のあるクレマンの本と比較すると、この本はより主観的で情緒的だ。また、奉神礼についてのやや具体的な記述をはじめとする、祈りや信仰の細かなことについても紙数が割かれているので、ごく一般の正教徒の日常を脳内で仮想的に体験できるような気がする。正教がロシア文化の根幹を成していることを、今回の読書を通して、より深く理解できたように思う。



さて、正教会について少し知識がついてくると、聖書からの引用なども正教会の訳でしたくなってくる。調べてみると、日本ハリストス正教会の訳は新約のみとのこと。ネットで軽く探したくらいでは、普通に売っているところを見つけられず、今でも手に入るのかどうかすら定かではない。結局、教会に直接問い合わせるしかないだろうとの結論に至る。

6月25日の記事にも書いたが、御茶ノ水へ行く用事があったので、ついでに東京復活大聖堂(ニコライ堂)にも足を運んだ。大聖堂すぐ横の事務局の扉を開けると、出版物や頒布品がコンパクトなスペースに並んでおり、いともあっさりと聖書を手にすることができた。

東京復活大聖堂

せっかくなのでショーケースを眺めてみると、聖歌をまとめた2枚組CDがあったので、これもついでに購入。グレゴリオ聖歌とビザンツ聖歌の違いもはっきりと分からないほど、教会音楽については初心者以前の状態であるだけに、このCDの内容を論評することは、現時点では避けておきたい。

正教会聖歌集


閑話休題。大学受験は日本史を選択したのだが、当時はさして興味を持つこともなかった大黒屋光太夫という名も、彼がエカテリーナ2世に謁見しており、宮廷で歌劇などを観たのではないかということを知ると、俄然気になって仕方なくなる。帰国した彼の話を書き留めた『北槎聞略』は、岩波文庫から出版されていたものの、今は品切重版未定とのこと。そのまま神保町へと足を伸ばし、勘に任せて探してみようと、まずは巌松堂をのぞいてみた。

一軒目でいきなり見つけることができたのは、神のお導きか……アミン。

文語体の文章も、聞き書きの比較的くだけた文章のせいか、最初の数ページで慣れてしまえば、あとは苦もなく読み進めることができる。細かな風俗や事物に関する記述はともかく、自身が体験した出来事の記述は、非常に面白い。娼館のくだりなどは実に生き生きとしており、話し手の光太夫にしろ、聞き手の甫周にしろ、男っていうのはいつの時代もしょうがないなぁと思ったりして。

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theme : 読んだ本。
genre : 本・雑誌

tag : その他_正教会

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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