アレーンスキイ:組曲第1&3番他/リームスキイ=コールサコフ:交響曲第1~3番他

  • アレーンスキイ:組曲第1、3番、歌劇「ナルとダマヤンティ」序曲 スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO (Melodiya SUCD 10-00148)
  • リームスキイ=コールサコフ:交響曲第1番、第2番「アンタール」(1875年版) スヴェトラーノフ/ロシア国立SO (RCA 09026 62558 2)
  • リームスキイ=コールサコフ:交響曲第3番、音画「サドコー」、歌劇「ムラーダ」より「貴族たちの行列」、歌劇「プスコーフの娘」序曲、歌劇「皇帝の花嫁」序曲、歌劇「サルタン王の物語」より「3つの奇跡」 スヴェトラーノフ/ロシア国立SO (RCA 09026 62684 2)
6月25日および7月3日の続き。スヴェトラーノフが指揮した19世紀ロシアの音楽を3枚聴く。

モスクワ楽派の系譜を辿ると、チャイコーフスキイとラフマニノフとを繋ぐ位置にいるのがアレーンスキイとS. タネーエフである……と思っているのだが、恥ずかしながら両者ともにその作品をあまり知らない。「作曲者名A」の棚から順に音盤の物色を始めたら、いきなり目についたのが「Anthology of Russian Symphony Music」シリーズの第1巻である、このCDであった。アレーンスキイについては他に迷うような音盤もなく、すぐに確保。組曲は元来2台ピアノのための作品だが、アレーンスキイ自身が管弦楽編曲したもの。第1番は、いかにも若書きの冗長な作品だが、平明な旋律の美しさにアレーンスキイの個性を窺うことができる。代表作でもあるピアノ三重奏曲第1番などと同じ時期に書かれた第3番は、とても魅力的な作品である。第9変奏「夜想曲」などは、いささか俗っぽいが、でもたまらなく素敵で印象に残る。やはり同じ頃の作品であるチャイコーフスキイの主題による変奏曲(弦楽四重奏曲第2番の第2楽章を弦楽合奏用に編曲したもの)と同じく、憂愁の美しさが際立つ佳品と言ってよいだろう。「ナルとダマヤンティ」序曲も、とても良い。



リームスキイ=コールサコフは、たとえば「シェヘラザード」のような有名曲はそれなりに知っているものの、決して知られていないわけではない3曲の交響曲は聴いたことがなかった。スヴェトラーノフがソ連崩壊後間もない1993年にRCAレーベルに録音した2枚が揃って棚に並んでいたので、これもまた迷わず確保。

交響曲と「サドコー」は、いずれも20代の内に仕上げられた若書きの作品である。ただし、交響曲第3番だけは、彼がサンクト・ペテルブルグ音楽院の教授に就任して以降の作品である。音楽院に加わったリームスキイ=コールサコフは、“力強い一団”の特徴でもあったディレッタンティズムを完全に払拭しようと努めた。その表れの一つが、初期作品の度重なる改訂である。交響曲第1番、「サドコー」、そして「アンタール」(交響曲第2番)には複数の版が遺されている。

便利なことに、IMSLPのサイトで異稿のいくつかを閲覧することができる。リームスキイ=コールサコフの全創作を俯瞰するには初稿も聴いておきたいところだが、普通に鑑賞するだけならば最終稿だけで十分だろう。本盤でスヴェトラーノフが演奏しているのも、いずれも最終稿である。「アンタール」は第2稿(1875年版、ただし、ジャケットには1876年版と記されている)と表記されているのだが、スコアを見る限りは最終稿=第3稿(1897年版)である。IMSLPでは3つ全ての版が閲覧可能であり、第2稿と第3稿のファイルが入れ違いになっているなどの問題がない限りは、本盤が第3稿であることに間違いはない。インターネットを検索してみても、このスヴェトラーノフ盤は第2稿であるという情報しかなく、どうも釈然としない。

さて、本盤に収録されている作品はいずれも独特の東洋情緒を湛えた、いかにもリームスキイ=コールサコフらしいものばかりである。ただ、「シェヘラザード」でもそうだが、彼の音楽は旋律や構成よりも絢爛豪華な管弦楽の響きで聴かせる部分が多く、その意味では、改訂後とはいえ、散漫な印象しか残らないのも致し方のないところだろうか。しかしスヴェトラーノフの演奏は、こうした弱点を補って余りある素晴らしいもの。柄の大きな表情が、スコアを超えた効果をスコアから引き出している。版の問題を別にするならば、これらの作品については本盤さえ聴けば十分だ。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Arensky,A.S. 作曲家_Rimsky-Korsakov,N.A.

comment

Secre

No title

先日、6/15日 児玉宏/大阪交響楽団(旧名大阪シンフォニカー)の忘れられた作曲家シリーズでタネーエフ交響曲4番を聞いてきました。終楽章の打楽器の扱いが面白いと感じ取れましたが1回だけでは理解が難しかったのでCDをさがしてまた聴きたいと思っています。

Re: No title

あの演奏会、行かれたのですね。私も興味はあったのですが、都合がつかずに断念しました。読売新聞の夕刊に出ていた批評も好意的だったので、実に羨ましい限りです。

こうやって、聴いてみたい作曲家や作品の範囲を広げていくと際限がなくなって辛いのですが、一度興味を持ってしまった以上は、まさに地獄道ですね(^^;
プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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