グラズノーフ:弦楽四重奏曲第5番/オフシャニコ=クリコフスキイ:交響曲第21番/ヴァーインベルグ:セレナード

  • グラズノーフ:弦楽四重奏曲第5番、エレジー、ベリャーエフ四重奏曲(終楽章) ショスタコーヴィチQ (Melodiya C 10-06663-64 [LP])
  • オフシャニコ=クリコフスキイ(ゴリトシュテイン):交響曲第21番、ヴァーインベルグ:セレナード ムラヴィーンスキイ/レニングラードPO、ガーウク/モスクワ放送SO (Westminster XWN 18191 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.からの7月到着分の内、まずは2枚を聴いた。

ショスタコーヴィチQによるグラズノーフの弦楽四重奏曲全集は、第5番を含むこの1枚で蒐集完了。全7曲の弦楽四重奏曲だけではなく、グラズノーフの全作品を通しても最高傑作の一つに挙げられる曲だけに、ようやく聴くことができて嬉しい。第5番だけならばCD化もされているのだが、カップリングの小品も全て聴きたかったので、LPを探し続けている内に時間が経ってしまった。

期待以上に美しく充実した音楽に、すっかり魅了された。同時期の交響曲第5番や「ライモーンダ」のような歌謡的な綺麗さはそれほど感じられないが、弦楽四重奏ならではの線的な旋律線の絡みが雄大で情感豊かな表情を織りなしているのが、たまらなく素晴らしい。グラズノーフが陥りがちな組曲的な散漫さもなく、全曲を通して間然とするところがない。創作のほとんどが器楽作品に集中しているグラズノーフの、まさに最高傑作と呼ばれるに相応しい作品である。併録の小品は、共にベリャーエフにゆかりのある作品だが、さすがにこの傑作の後では聴き劣りがするものの、特に「エレジー」は慎ましくも忘れ難い瞬間が少なくない佳曲である。



19世紀ウクライナの大地主ニコラーイ・オフシャニコ=クリコフスキイが、自身の所有する農奴オーケストラを寄贈したオデッサ劇場のために作曲した交響曲第21番は、実のところ、ウクライナの作曲家ミハイル・エマヌィロヴィチ・ゴリトシテインがその由来までをも捏造した“偽作”である。「1809年作曲」であるとの設定と、ト短調という調性とから、モーツァルトの交響曲第25番や第40番を彷彿とさせる箇所が随所に聴かれる。ゴリトシテインの意図はさておき、単なるパロディではない、しっかりと作られた作品であることには違いない。ムラヴィーンスキイの整然とした演奏は、この珍品を後世に伝えるに十分なもの。

ヴァーインベルグのセレナードは、モルダビア狂詩曲などと同じ作品番号が与えられた作品。民族的な音調を持った作品群をひとまとめにしたようにも思えるが、この辺りの詳しい事情については、残念ながらよく分からなかった。第1楽章こそ穏やかだが、すぐにテンションの高い騒ぎが始まる辺り、いかにもヴァーインベルグらしい。こういう熱狂をはらんだ音の奔流こそが、ショスタコーヴィチの劣化コピーと揶揄されることもあるヴァーインベルグの、ショスタコーヴィチとは異なる個性の一つである。他に録音が存在するかどうか分からないが、少なくとも今よりは広く知られてもよい佳曲である。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Glazunov,A.K. 作曲家_Weinberg,M.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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