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フラグスタートのワーグナー/スヴェトラーノフのタネーエフ

  • フラグスタート・リサイタルVol.3(ワーグナー:オペラ・アリア集、ヴェーゼンドンク歌曲集、マーラー:歌曲集) フラグスタート (S) スヴァンホルム (T) クナッパーツブッシュ、ショルティ、ボールト/ウィーンPO フィエルスタート/ノルウェー国立放送O (Decca 480 1796)
  • タネーエフ:交響曲第4番、歌劇「オレステーヤ」より「デルファイのアポロ寺院」 スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO (Waner 2564 69899-3)
  • タネーエフ:カンタータ第2番「詩篇の朗読」 コズローヴァ (S) コトーヴァ (A) アントーノフ (T) ベロークリンキン (B) スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO、ユルローフ記念アカデミー・ロシア共和国cho (WCR 2564 69442-9)
かぶとやま交響楽団の第42回定期演奏会に、エキストラ出演することになった。プログラム中、ワーグナーのヴェーゼンドンク歌曲集は全く聴いたことがなかったので、音盤を物色しにTower Records難波店へ。目的の曲が決まっている場合は、ネットで検索して発注するのが楽なのだが、演奏者の名前だけで良さそうな音盤を選択できるほどワーグナーには親しみがないので、店頭在庫の中からという制約条件を付けて選んでみようかという、いわば消極的な動機である。1年近く店に足を運んでいなかったので、ポイントカードが期限切れ寸前だったことは会計時に気づいた。ほんの少しだけ得した気分。

店頭にあった数種類の内、ルートヴィヒ&クレンペラー盤とフラグスタート&クナッパーツブッシュ盤の2枚が目に留まった。どちらもワーグナーを得意とした演奏家であることくらいは知っていたので迷ったが、フラグスタートは一度も聴いたことがなかったことと、オーケストラがウィーンPOであることから後者に決めた。収録曲は、以下の通り:
【CD 1】
ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」より「館の男たちがすべてこの部屋に集まっていました」(クナッパーツブッシュ/ウィーンPO)
ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」より「寒い冬の日々に私が憧れていた春こそあなたです」(クナッパーツブッシュ/ウィーンPO)
ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」より「ジークムントは私の名」(スヴァンホルム (T)、ショルティ/ウィーンPO)
ワーグナー:楽劇「ローエングリン」より「ひとり曇りし日に」(クナッパーツブッシュ/ウィーンPO)
ワーグナー:楽劇「パルジファル」より「私はあの子が母の胸にすがるのを見た」(クナッパーツブッシュ/ウィーンPO)
ワーグナー:楽劇「神々の黄昏」より「魂の昇華を願い炎に身を投げる壮大な鎮魂歌」(フィエルスタート/ノルウェー国立放送O)
【CD 2】
ワーグナー:ヴェーゼンドンク歌曲集(クナッパーツブッシュ/ウィーンPO)
マーラー:亡き児をしのぶ歌(ボールト/ウィーンPO)
マーラー:さすらう若人の歌(ボールト/ウィーンPO)
結論から言えば、大満足。技術的な安定感もさることながら、楽曲の隅々まで知り尽くした自信と余裕が全て音楽に対してプラスに作用した、まさしく名演である。原曲のピアノ版を知らないのでモットルによるオーケストレイション(第5曲「夢」だけはワーグナー自身の手による)の是非を論じることはできないが、編曲自体は何の変哲もない平凡なものであるにも関わらず、全曲通してありとあらゆる音に玄妙な陰影が施され、繊細かつ息の長い甘美な歌心には抗う術もなく惹き込まれてしまう。歌手とオーケストラの双方が極めて高い次元で寄り添って紡ぎ出す音楽は、ただひたすら美しい。

マーラーの歌曲集も名唱だが、やはり1枚目に収録されているワーグナーの楽劇からの抜粋が見事である。フラグスタートの気高い貫禄は、ワーグナーという名が持つ独特のイメージそのものと言ってよいだろう。それにしても、これが還暦過ぎの歌手による歌唱とは、俄かには信じ難い。

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せっかく店に入って、目的の1枚だけでわき目もふらずに帰るのはもったいない。スヴェトラーノフのオフィシャル・コレクションがワゴンに並んでいたので、何となくタネーエフの2枚を選んでみた。

知る人ぞ知る交響曲第4番は、ハ短調という調性とも相まって人工的な仰々しさが気にならなくもないが、陳腐すれすれの情感がそれを補って余りある佳品である。とりわけ緩徐楽章の美しさは、ラフマニノフの第2番、グラズノーフの第5番、ミャスコーフスキイの第17番などのそれと同じく傑出している。こういう曲をやらせたら、スヴェトラーノフの右に出る者はないだろう。第2楽章の綿々たる抒情は言うまでもなく、両端楽章の颯爽たる轟音の格好良さには惚れ惚れとする。

「デルファイのアポロ寺院」は、タネーエフの代表作である歌劇「オレステーヤ」の間奏曲。ワーグナーの「タンホイザー」序曲を彷彿とさせる、ロシア臭の薄い作品である。ロシアの野生味に満ちたオーケストラの威力がもの凄く、良くも悪くも楽曲そのものより演奏に対する興味の方が上回る。

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もう1枚は、カンタータである。「詩篇の朗読」という副題からも、多分に宗教的要素を意識した作品だろうことは推測できるが、器楽を用いていることから、実際にロシアの教会で奉神礼などの際に演奏されることを想定してはいないだろう。恐らくは、対位法を駆使した西ヨーロッパの宗教曲に倣って作曲されたのだろうと思われる。

甘美な旋律美は感じられるものの、ロシア色はそれほど強くなく、対位法の扱いなどにもタネーエフらしさが表れている。ただ、宗教曲という性格上、仕方のないことではあろうが、劇的な変化に富んだ構成……とは言い難く、魅力的な箇所が少なくないにもかかわらず、冗長さは否めない。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Wagner,R. 作曲家_Taneyev,S.I.

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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