「サンクト・ペテルブルグ・リサイタル」/アリャービエフの室内楽曲集

  • ボルトニャーンスキイ:チェンバロ協奏曲 ニ長調、V. マンフレディーニ:チェンバロ・ソナタ第3番、ボルトニャーンスキイ:チェンバロ・ソナタ ヘ長調、チェンバロ・ソナタ 変ロ長調、パイジエッロ:前奏曲とロンド、歌劇「岐路に立つアルチーデ」よりシンフォニア、グリリョーフ:前奏曲 変ホ長調、コズローフスキイ:「奥様、よろしいですか」によるポロネーズとトリオ、グリリョーフ:前奏曲 ニ長調、作者不詳:「カーチェンカは村一番のべっぴんさん」による7つの変奏曲、グリリョーフ:前奏曲 ハ短調、カラウーロフ:「みなしごのおまえよ」による10の変奏曲 ボーモン (Cemb) (Erato 2564 68967-6)
  • アリャービエフ:ピアノ三重奏曲、弦楽四重奏曲第3番、モスクワの思い出 アンバルプミャン (Vn) クニャーゼフ (Vc) ヴォスクレセンスキイ (Pf) モスクワ室内管弦楽団Q グラーフ (Vn) ヴェルビツキイ/ソヴィエト国立SO (Venezia CDVE 04369)
目当ての音盤があったので、久し振りにHMV ONLINEで買い物をした。まずは、ついでに購入した音盤2枚を聴いてみた。

「サンクト・ペテルブルグ・リサイタル」と題されたボーモンのアルバムは、18世紀後半のロシアを彩った鍵盤音楽をまとめた、なかなか興味深い一枚である。使用楽器は1770年製とのことで、まさに当時鳴り響いた音が再現されているのだろう。この時代の音楽様式や、いわゆる古楽器の演奏技術については、何かを語るほどの知識を持ち合わせていないので、演奏内容については、とても楽しんだ、とだけ記しておく。

ただ、エカテリーナ2世時代の宮廷楽長も務めたパイジエッロに始まり、ロシアにおける職業作曲家の祖とも言うべきボルトニャーンスキイからグリーンカ登場前夜を彩ったグリリョーフに至るまで、怒濤の西欧化圧力を受けた18世紀ロシア音楽の発展過程が手に取るように分かる選曲の妙に唸らされたことだけは、特記しておきたい。

HMVジャパン


歌曲の作曲家として高名なアリャービエフの室内楽曲集は、芸術音楽の世界では後進国であった18世紀ロシアにおいて、それまでの初期古典派の様式から一気に初期ロマン派の様式にまでロシア音楽を押し進めた、アリャービエフの歴史的な役割を再認識させるような音盤である。アリャービエフがシューベルトやメンデルスゾーンよりも年長であったことも考えると、収録された作品を聴くだけでも、その天分がいかに傑出したものであるかが理解されるだろう。

演奏はいずれも高水準のものだが、ヴァイオリン独奏の「モスクワの思い出」だけは、残念ながらとても聴き辛い録音である。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Alyabyev,A.A.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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