バルシャーイのヴィオラ小品集/フォミーン:喜歌劇「替馬所の御者達」

  • N. ティトーフ(ボリソーフスキイ編):ロマンス、ブラーホフ(ボリソーフスキイ編):カンツォネッタ、ヴェルストーフスキイ(ボリソーフスキイ編):2つの主題による変奏曲、J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番より「シャコンヌ」 バルシャーイ (Va) デデューヒン、ヤンポーリスキイ (Pf) (Melodiya D-2396-7 [10"mono])
  • フォミーン:喜歌劇「替馬所の御者達」 チェルヌシェーンコ/レニングラード音楽院O他 (Melodiya C10 19625 009 [LP])
11月頭にArs Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.へ注文した品が届いた。その中から、まずは2枚を聴いてみた。

バルシャーイのヴィオラ小品集は、僕にとっては期せずして彼の追悼盤のようになってしまった。バルシャーイがヴィオラ奏者として活躍していた時代の録音なのだろう(原盤はSP?)、録音状態はかなり悪い。だが、バルシャーイのヴィオラにはそれを補って余りある甘美な美しさがある。A面の3曲は、グリーンカ登場以前の作曲家達による小品を、ベートーヴェンQの初代ヴィオラ奏者ボリソーフスキイが編曲したもの。いずれも歌謡性に富んだ、仄かに感傷的で平明な旋律に胸を打たれる。バルシャーイの演奏は、これらの魅力を完璧に引き出していると言ってよい。モスクワ室内Oを指揮した時に聴かれる透徹した機能美とは異なり、臆面もなく青臭い感傷を歌いあげるような弾き方に、20世紀中頃のロシア人演奏家に共通する時代の香りを感じる。「シャコンヌ」には、こうしたバルシャーイの美質が存分に発揮されている。現代でこういう演奏をする人は(プロでは)皆無に等しいだろうが、このどこか人懐っこい多彩な表情が持つ説得力は今でも色褪せてはいない。

なお、A面2曲目の作曲者としてクレジットされているP. ブラーホフは、兄のピョートル・ペトローヴィチなのか、弟のパーヴェル・ペトローヴィチなのか、イニシャルだけでは分からない。



フォミーンの代表作である「替馬所の御者達」(全1幕)は、対訳はおろか解説の類が一切なく、男性によるナレーションが話の筋などを補っているようだが、LP1枚、計40分弱の録音がオリジナルの形をどれほど伝えているのかは分からない。いかにも宮廷音楽風の序曲から始まるが、2曲目の合唱が始まると突如としてロシア風の感傷的な節回しが現れる。18世紀西ヨーロッパの音楽の枠組みにありながら、ロシア国民楽派の萌芽とでも言うべき音調が盛り込まれている点で、大変興味深い作品である。

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tag : 演奏家_Barshai,R.B. 作曲家_Fomin,E.I.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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