ボリース・チャイコーフスキイ:ヴァイオリン協奏曲/アルヒーポヴァのスヴィリードフ

  • B. チャイコーフスキイ:ヴァイオリン協奏曲、ヴァイオリン・ソナタ ピカイゼン (Vn) コンドラーシン/モスクワPO B. チャイコーフスキイ (Pf) (Melodiya CM 04175-6 [LP])
  • スヴィリードフ:「父の国」より第2、8曲、イサーキアンの詩による3つの歌、劇音楽「オセロ」より「デズデモーナの柳の歌」、プーシキンの詩による6つのロマンスより「予感」「冬の道」、レールモントフの詩による8つのロマンスより「シルエット」「3曲」、ブロークの詩による9のロマンスより「Brought by the wind from afar」、劇音楽「白くまの子ウームカ」より「シベリアの歌」 アルヒーポヴァ (MS) スヴィリードフ (Pf) (Melodiya 33 C10-11981-2 [LP])
12月4日の記事の続き。ソ連時代を代表する作曲家のアルバムを2枚聴く。

ボリース・チャイコーフスキイは、園部四郎著『ロシア・ソビエト音楽史話』(創芸社, 1976)で「人気のある作曲家」と形容されていたり、実際に今も多くはないがコアなファンがいる作曲家である。避けていた訳ではないが、なかなか聴く機会に恵まれなかった、代表作の一つとも言われるヴァイオリン協奏曲の音盤をリストに見つけたので、喜び勇んで注文したもの。

一聴してたちまち心奪われて……とはならなかったが、不思議とそのまま放っておく気にはなれず、何度も繰り返し聴いてみた。結局、現時点で作品を咀嚼できたとはとても言えないが、現代風の苦みはあるものの平明な抒情と、息の長い劇的な構成に、非常な魅力を感じるに至っている。それは、とりわけコンドラーシンの名サポートによってもたらされる印象なのかもしれない。もちろん、独奏のピカイゼンもテンションの高い、鬼気迫る凄演を繰り広げている。

ソナタのゆったりとした雰囲気豊かな演奏は、作品の真価を余すところなく表出した素晴らしいもの。この曲はI. オーイストラフの音盤(2008年11月27日の記事)で聴いたことがあったが、本盤とは曲そのものが異なるかのように、味わい深さに雲泥の差がある。作曲者自身がピアノを弾いているということを抜きにしても、決定盤と言ってよいだろう。



基本的に歌曲は好きなジャンルでないのだが、スヴィリードフの歌曲には無条件に好きな作品が少なくない。さらに、アルヒーポヴァとスヴィリードフのデュオとくれば、注文している時点で期待に胸が膨らむというものだ。そして実際、その期待は存分に満たされた。

特に、「デズデモーナの柳の歌」、ブロークの詩によるロマンス、「シベリアの歌」といった初めて聴いた曲が、いずれも珠玉の作品であったことが嬉しい。仄暗い憂愁に覆われた簡潔ながらも訴求力の強い、まさにこれぞスヴィリードフの真骨頂と言ってよい。

ちなみに、アニメ映画「白くまの子ウームカ」は、YouTubeなどで観ることができるが、そのタイトルクレジットには、作曲家としてスヴィリードフの名はない。実際のところ、この音盤に収録された「シベリアの歌」が流れるシーンもない。おそらく、このアニメ映画とは別に実際の舞台で上演されたプロダクションがあり、「シベリアの歌」はその際に作曲されたのではないかと推測する。



このような佳品が少なくないにも関わらず、スヴィリードフについて我が国で知ることのできる情報が非常に限られているのは、とても残念である。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Tchaikovsky,B.A. 作曲家_Sviridov,G.V.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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