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O. ディゴーンスカヤ:ショスタコーヴィチと「黒衣の僧」, DSCH社―(7)

歌劇「黒衣の僧」の第1場のスケッチは、物語中でコーヴリンとターニャが交わす最初の会話に付けた、歌詞付きの楽譜で構成されている。

K.
僕は子どものころから、ここでは煙でくしゃみをしたものですよ。でも、いまだにわからないなあ、この煙がどうして凍てから救ってくれるのか。

T.
雲のないときに、この煙が代わりをしてくれるのよ。

K.
じゃ、なんのために雲がいるんだろう

T.
どんよりと曇った日には、霜がおりないのよ

K.
なるほど!ほんとに、あなたももう大人になったんだ!僕が最後にここを立っていった時には、まだほんの子どもだった。つんつるてんの服を着て、僕は青鷺ってからかってた。

T.
そう、五年ですものね!ねえ、アンドリューシャ、ほんとのことを言ってちょうだい。あなたはわたしたちのことを忘れてたんでしょう。でも、わたしのたずねかたもおかしいわね……もう自分のおもしろい生活があるんですものね……



スケッチは、両面30段の37.5×24.8の総譜用五線紙の最初のページに青色のインクで書かれている。この五線紙には、特徴的な落丁がある(表紙から2枚目の下の2段が、マージンの前で切れている)。ショスタコーヴィチがこの五線紙を入手した時期、およびこれを使い切った時期については、はっきりとは分かっていない。しかしこれは、作曲家が「M.ツヴェターエヴァの詩による6つの歌曲」の管弦楽伴奏版(コントラルトと室内オーケストラのための)56と、そのピアノ伴奏版58の初版の校正57に使用した五線紙であった。また、「6つの歌曲」の管弦楽版について唯一現存する草稿である「ちがう、太鼓を打ったのだ…」59と、少し後に行われたベートーヴェンの「蚤の歌」のオーケストレイション60も、この五線紙に書かれている。

これらの事実は、「黒衣の僧」のスケッチが書かれた大体の日付を推定することを可能にする。「6つの歌曲」は、1974年1月9日に完成した。「6つの歌曲」のピアノ伴奏版の初版は、1974年6月3日に印刷されたと記されている。作曲家が書き込んだ日付によれば、「蚤の歌」のオーケストレイションは1975年2月9日に完成した。スケッチは、1973年後半から1975年前半にかけて書かれたと考えられる。 1975年の3月といえば、ショスタコーヴィチとアレクサーンドル・メドヴェージェフが歌劇の台本について打ち合わせと議論を開始した時であり、このことが作曲家に歌劇の仕事を始めさせる刺激を与えたと考えることは理にかなっている。

しかしながら、スケッチの文言は、1973年のものと考えられる歌劇の計画と同様にイリーナ・アントーノヴナ・ショスタコーヴィチによって書かれた台本の草稿の一つ61と、その大半が一致する。台本の文言には、削除や訂正、挿入がある。それらの一部は、スケッチの文言と似た箇所に該当する。つまり、スケッチの中に台本の文言を入れるために、作曲家の言葉でそれらの修正等がなされた可能性がある。

これらの検証によって、台本が書かれたと考えられる1973年にスケッチが書かれたものと推察できる。しかし残念ながら、より正確な作曲時期を明らかにするための証拠は、今のところない。

2つのショスタコーヴィチの自筆譜、すなわち、G. ブラガの「セレナータ」と歌劇「黒衣の僧」のスケッチは、初出版となる。

オーリガ・ディゴーンスカヤ





  1. ドミートリイ・ショスタコーヴィチ・アーカイヴス, f. 1. sec. 1. rec. gr. 202.

  2. Shostakovich D. Vokalnye sochineniya dlya golosa s fortepiano [Vocal works for voice with piano]. M. 1974.

  3. ドミートリイ・ショスタコーヴィチ・アーカイヴス, f. 1. sec. 1. rec. gr. 206, 207.

  4. ドミートリイ・ショスタコーヴィチ・アーカイヴス, f. 4. r. 2. rec. gr. 12. sh. 1.

  5. 本報の著者によって、ドミートリイ・ショスタコーヴィチ・アーカイヴスにある未整理の書類の中から2004年に発見・確認された。現在の書架番号は以下の通り:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ・アーカイヴス, f. 1. sec. 1. rec. gr. 68.

  6. ドミートリイ・ショスタコーヴィチ・アーカイヴス, f. 4. sec. 2. rec. gr. 12. sh. 1

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genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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