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DSCH社の新全集第32/33巻


  • ショスタコーヴィチ:タヒチ・トロット、D.スカルラッティの2つの小品、ジャズ・オーケストラのための第1&2組曲、荘厳な行進曲、ドイツ行進曲、ソヴィエト民警行進曲, 新全集第32巻, DSCH, 2006.
  • ショスタコーヴィチ:ステージ・オーケストラのための組曲(ジャズ・オーケストラのための第2組曲), 新全集第33巻, DSCH, 2006.
2010年12月2日の記事に引き続き、DSCH社の楽譜を2冊購入した。新全集は何といっても校訂報告が充実しているので、交響曲や協奏曲のような有名曲の楽譜も見逃せないが、楽曲の背景等に関する情報が絶対的に不足している隠れた(?)小品の楽譜も喉から手がでるほど欲しい。とりあえず今回は予算も考えて、ジャズ組曲の類が収録された2冊を選択した次第。

とりわけ、僕にとってはスコアを初めて見る作品がその大半を占める第32巻は、手元に届くのが待ち遠しかった。だが、実際に中身を見てみると、各曲の解説については、いずれも期待していたよりも簡単なものばかりだったのは少々残念。もっとも、こうした小品の全てにも交響曲同様の背景があるはずはないし、音だけで知っていた作品の譜面を見ることはそれだけで十分に刺激的だ。

「タヒチ・トロット」については、2007年6月21日の記事で有名なエピソードが“神話”であったことについて簡単にまとめたことがあるが、本書の解説では、当該エピソードの信憑性について簡単な指摘があるにとどまっている。G. マクバーニーがオーケストレイションを施した「ジャズ組曲第2番」は初出版ということもあり、解説も含めて資料的な価値が高い。また巻末には、2曲のジャズ組曲のスケッチのファクシミリが掲載されているのも、非常に興味深い。「荘厳な行進曲」に、調性も編成も異なる別稿が存在していたことも、本書で初めて知った(別稿の楽譜も収録)。

この巻で特に注目していたのは、「ドイツ行進曲」。これは、アルンシタームが監督した映画「戦争屋」(1951年に制作中止)という映画のために作られた音楽である。タイトルから何となく金管楽器中心の重厚な行進曲を想像していたのであるが、実際はピッコロ、フルート、クラリネット、打楽器という小編成による、何とも薄っぺらな音楽。よく考えてみると、当時のソ連で戦争→ドイツとくれば、揶揄するような表現になるのも当然で、交響曲第7番の第1楽章展開部の例のボレロ冒頭とよく似た編成および響きであるのも納得できる。

一方の第33巻は「ステージ・オーケストラのための組曲」一曲だけで、全音から出版されている国内版があれば特に必要はないのだが、全音版の解説は大輪公壱氏による独自のものだったので、校訂報告を一応確認しておきたいと考え、ついでに注文してみた。残念ながら、原曲の出典などに関する新たな情報は得られなかった。自筆譜の書架番号が示されていることから、この組曲がショスタコーヴィチ自身の手によるのは確かなようだが、作曲に至った背景は明らかでない。ほとんどの曲で原曲(?)の出典が示されているものの、この組曲を単なる“編曲集”とみなしてよいかどうかは、現時点で分かっている情報だけでは判断しかねる。また、出典が不明な第4曲はこの組曲のために書き下ろされたものなのか、第5、6曲のように作曲時期や編曲者などの情報が判然としない軽いピアノ曲集に収録された小品が本当にショスタコーヴィチ自身の作品であるのかなど、細かい疑問も解決されないままだ。もっとも、この平明で楽しい作品に対して、こんなうるさいことを言うのも無粋極まりないとは思うが。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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