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【YouTube】ショスタコーヴィチ:カンタータ「祖国の詩」

Part 1Part 2

YouTube等の動画共有サービスに投稿されている動画をこのブログで取り上げる場合は、映像がある物だけを対象とし、入手がさほど困難ではない商品化された映像や、TVで放送されてからあまり年月が経っていないものは除外するようにしてきた。

今回、その原則を破って紹介するのが、カンタータ「祖国の詩」の音源である。

録音が存在するショスタコーヴィチ作品の中で、実演も含めて一度も聴いたことがない唯一の作品がこの「祖国の詩」であった。ヒュームのカタログやフェイの評伝には存在が明確に記されていることから、少なくとも発売する段階まで準備が進んだことは確かだろう。しかし、市場でこの音盤の情報が出ていることを目にしたことはなく、所有している人がいるという話も聞いたことがないので、実際に発売されたのかどうかすら確認できない、まさに“幻の音盤”である。

1947年の革命30周年を記念して作曲されたという「祖国の詩」は、おそらく音盤用に録音されたものがラジオで放送されたという記録は残っているものの、ホールで“初演”されたという記録も残っておらず、直後にジダーノフ批判が起こり、そこでこの曲もフレーンニコフに糾弾されてしまったため、完全にお蔵入りしてしまった“幻の作品”でもある。

それだけに、この音源をYouTubeで見つけた時には、驚きよりも疑念の方が強かったほど。革命後の30年間を代表する大衆歌曲(「憎しみのるつぼ」「パルチザンの歌(野越え山越え)」「呼応計画の歌」「聖なる戦い」「スターリンの意志が我らを導いた」「祖国の歌」)のメドレーであるという情報に照らし合わせると、おそらくはこの音源が「祖国の詩」であることに間違いはないだろう。また、説明文にある演奏者(レーメシェフ (T)、マクサコヴァ (MS)、A. イヴァーノフ、ガムレケリ (Br)、ミハイロフ (B)、K. イヴァーノフ/ボリショイ劇場O & Cho.)はヒュームのカタログにある音盤情報と一致することから、おそらくは同一の音源なのだろうと推測される(現段階では確認できないが)。スクラッチノイズがほとんど感じられないので、SPからの盤起こしの可能性は低く、どこかに埋もれていたマスターテープを誰かが発掘したということになるのだろうか。どのような経緯でYouTubeに投稿されるに至ったのか興味はあるが、あまり深く詮索せず、素直に投稿者の厚意に感謝しておくことにしよう。

さて、音源と作品の背景はこのくらいにして、とりあえず聴いてみた感想などを。基本的には流行歌のメドレーなので、ショスタコーヴィチの個性が存分に発揮されているとは言い難い。ただ、フルートとピッコロ、トランペット、ヴァイオリンといった楽器の独特の組み合わせが織りなす、ショスタコーヴィチの体制翼賛作品に特有のヒステリックな響きは、心許ない録音の向こう側からはっきりと聴こえてくる。やる気の感じられない空虚な轟音が鳴り響く「聖なる戦い」は、その典型であろう。

個々の歌の繋ぎの部分にもそれなりに凝った響きがあったりするが、興味深いのはコーダに交響曲第3番のコーダが流用されていることだ。交響曲第3番も相互に関連のないメロディが次々とつながっていくメドレー的な構成であり、こうした音楽の締めくくり、いわば「めでたしめでたし」的なフレーズとして、このフレーズが使われているのかもしれない。

いずれにせよ、音源が存在することは明らかになったので、いずれ近い内にCD化されることを切に望みたい。

ちなみに、モスクワ放送のISを彷彿とさせる「祖国の歌」の導入には、思わず「こちらはモスクワ放送局です」と続けてしまいたくなるのだが、今となってはこの種のネタが通じる人も少なくなったのだろう。あぁ、昭和は遠くなりにけり。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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