【YouTube】Timofei Dokschitzer Trumpet Collection

気の赴くままにYouTubeをさまよっていると、ポーストニコヴァとロジデーストヴェンスキイの夫婦共演によるショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番の映像を見つけた。ただし、投稿者はあくまでも“ドクシーツェルの”演奏としてこの映像を投稿しているようだ。実は全く同じ顔ぶれによる録音も、ドクシーツェルをフィーチャーしたアルバム(Melodiya C10 28215 004 [LP])に収録されている(舞台上に数多くのマイクが林立していることを考えると、このライヴ録音と映像とは同一の演奏の可能性が高い)。

演奏はポーストニコワの個性が色濃く投影した、ロシア風の鈍重さが特徴的なもの。ドクシーツェルの華麗な名技が、そこに類稀なる輝かしさを与えている。ロジデーストヴェンスキイの手堅いサポートもあって、二つの異質な個性が合奏協奏曲の枠の中にうまく収まっている。

第1~2(1)楽章第2(2)~4楽章
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番
ポーストニコヴァ (Pf)、ドクシーツェル (Tp)、ロジデーストヴェンスキイ/パリO

このピアノ協奏曲の映像には、「Timofei Dokschitzer Trumpet Collection 9 & 10」というタイトルが付けられている。当然ながら1~8も投稿されているので、以下にまとめておく。
【No. 1】
ハチャトゥリャーン:「スパルターク」第3組曲より「エジプトの乙女の踊り」
メンデルスゾーン:無言歌第45番 Op. 102-3「タランテラ」
Сырба(不詳)
ハチャトゥリャーン:「スパルターク」第3組曲より「市場」
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
【No. 2】
ラフマニノフ:ヴォカリーズ
A. ルビンシテーイン:ヘ調のメロディ
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
【No. 3】
シチェドリーン:アルベニス風に
ショスタコーヴィチ:3つの幻想的な舞曲
クライスラー:愛の喜び
クライスラー:愛の悲しみ
クライスラー:美しきロスマリン
【No. 4】
ショパン:24の前奏曲より第4番
フィビフ:詩曲
ドクシーツェルの語り
ミャスコーフスキイ:「黄ばんだページ」より
リームスキイ=コールサコフ:歌劇「皇帝サルタンの物語」より「熊蜂の飛行」
【No. 5】
ドビュッシー:レントより遅く
ラヴェル:ハバネラ形式の小品
ドクシーツェルの語り
アルテュニャーン:トランペット協奏曲より第3楽章
V. ペトローフ:湖畔にて
【No. 6】
J. S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻より第8番前奏曲
J. S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻より第17番前奏曲
J. S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻より第22番前奏曲
J. S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻より第12番前奏曲
J. S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻より第20番前奏曲
J. S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集第2巻より第9番前奏曲
【No. 7】
J. S. バッハ:コラール「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」BWV659
J. S. バッハ:コラール「われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ」BWV639
J. S. バッハ:前奏曲とフーガ ニ短調 BWV539より前奏曲
ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ第4番より第3楽章
【No. 8】
カッチーニ(ヴァヴィロフ):アヴェ・マリア

No. 1No. 2
No. 3No. 4
No. 5No. 6
No. 7No. 8

金管四重奏に始まり、ピアノ伴奏、オルガン伴奏、ヴァイオリン・アンサンブルとの共演、声楽とオルガンとの共演など、質量ともに充実の動画である。まずは、これほどの貴重なコレクション(の一部?)を惜し気もなく公開してくれたことを、投稿者に感謝したい。

トランペットの技術的なことは分からないが、まさにこれぞロシアのトランペットという桁外れに力強くも甘美極まりない響きには、圧倒的な存在感と説得力がある。

ピアノ伴奏の小品集(他楽器用の作品の編曲物)も悪くはないのだが、No. 6以降に収められたバッハの前奏曲集やヘンデルが、トランペットという楽器の本来的な魅力を放っているように思われる。現代の基準からするとロマンチックに過ぎる演奏には様式上の問題があるものの、たとえばヘンデルに聴かれる濃厚なロマンには、多くの聴き手が本能的に惹きつけられるに違いない。路線は多少違うが、No. 5に収められているV. ペトローフの「湖畔にて」も印象的だ。どういう由来の曲なのかは知らないが、題名通り、湖の畔に立ってトランペットを吹くドクシーツェルの姿が、曲の安っぽい昼メロのような雰囲気を助長していてたまらない。

こうしたドクシーツェルの特質は、バロックを“騙った”「カッチーニのアヴェ・マリア」に凝集されている。単なるオブリガートの枠をはみ出してアルヒーポヴァと対等に渡り合うドクシーツェルのトランペットは、この楽器の最良の規範と言って構わないだろう。

ドクシーツェルについては「風のクラシック」というブログが詳しい。当然ながら、これらの映像についてもエントリーがある。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_Dokschitzer,T.A.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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