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徒然なるままに

国内外の情勢が混迷を極める中、2009年の政権交代は我が国に致命的な傷を与え、そして与え続けている。票になりそうな争点を付け焼き刃ででっち上げ、権力を簒奪した後は罵倒と詭弁と責任転嫁で、権力の座を刹那的に謳歌する。そんな現代のリーダー達に共通する決定的な欠陥は、民主主義の手続きを遵守できないことにある。

わが国が民主主義を標榜する以上は、いかなる政策であれ、民主的な議論を経た上で意思決定がなされなければならない。民主主義の本質は、手続きにある。だから、国の決定には相応の時間がかかるのだ。

マスメディアで繰り広げられているTPPを巡る議論は、悪夢の政権交代前夜を思い起こさせる。問題を農業保護の一点に矮小化させ、都合のよい数字のみを繰り返しつつ、正当な不安に対しては根拠のない希望的観測で言いくるめようとする。そこで語られるヴィジョンは、例外なくお花畑な夢物語だ。結局、「変化は善、現状維持は悪」という感情論しか判断材料がないから、大勢は恣意的に醸成された雰囲気に流される。「スピード感」という名の拙速が、それに拍車をかける。

世論がこのように形成され、そしてその世論に政治が過剰に左右されている以上、紛れもない国難である東日本大震災と福島第一原発事故に際して、あのような内閣を戴くしかなかったことは、必然の帰結だったのだろう。『亡国の宰相』(新潮社)は、当時の新聞報道を時系列に沿って並べただけの、ノンフィクションとしてはいささか粗雑な作りであるが、その紙数のほぼ全てがミスジャッジ、責任転嫁、保身の言動で埋め尽くされていることは、民主党政権の正体を(期せずして?)極めて明快に示している。



鳩山由紀夫元首相は、政権発足当初、自身の内閣を「オールスター内閣」と自賛した。大衆受けのする問題にしか興味のない、明らかに勉強不足な閣僚達の国会答弁は、ちょっとしたバラエティよりも笑えたものだが、その後の菅内閣と野田内閣の顔ぶれを見るにつけ、あの陣容が確かに政権与党の「オールスター」であったことに唖然とする。11月7日に放送されたNHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』で脚本家の三谷幸喜氏は、「プロフェッショナルとは、人の期待に応えるということ。自分がやりたいものをやるんじゃなくて、人が自分にやって欲しいものをやる。それが僕の中でのプロフェッショナル」といった趣旨の発言をしていた。この定義に従うならば、少なくとも現在の政権与党の中にプロフェッショナルは一人もいない。

少し前に話題となった元米国務省日本部長ケビン・メア氏の『決断できない日本』(文春新書)は、著者本人にとっては例の「ゆすり発言」に対する弁明の意義が強いのかもしれないが、多くの日本国民にとっては日本政府の稚拙極まりない外交対応が、交渉相手であるアメリカの立場から明快に述べられているという点で価値のある一冊であろう。淡々とした筆致であるがゆえに、現政権への政権交代を許してしまった過失の重みを痛感する。



それぞれ尖閣諸島中国漁船衝突事件と東日本大震災の後に刊行された佐々淳行氏の『彼らが日本を滅ぼす』と『ほんとに、彼らが日本を滅ぼす』(幻冬舎)には、わが国の官僚組織がいかに仕事をしてきたのか、その一端が力強く記されている。「悪い公務員」がいることは確かだが、それは「公務員が悪い」ということとは同義ではない。こんな論理がまかり通るのであれば、「テレビ局の人は痴漢をする」「芸能人は覚醒剤を常用する」「大学教授はセクハラをする」「会社員は不倫の末に妻を殺害する」……などのように、あらゆる職業が犯罪者集団ということになってしまう。役人さえ悪者にしておけば自分の株が上がると思っている政治家には官僚を使いこなすことはできないし、公務員というだけで脊髄反射的にヒステリックな反応をする市民が官僚の活力どころか機能すらも奪いつつあることを、いま一度考え直さなければならない。



結局のところ、現代社会はマスメディアの情報操作に隷属しているということなのかもしれない。恐ろしいのは、当のマスメディアが自身の発信する情報の質に無批判なことである。意図的なデマゴギーの類よりもむしろ、無意識の内に確定してしまったストーリーによってあらゆる情報が歪曲されることの方がはるかに悪質である。上述した『亡国の宰相』の中にある自民党所属の脇雅史参議院議員による4月18日の予算委員会の質疑の件を読んでいた時、この質疑の最後で脇議員が「総理は、歴史が私のことを判断してくれるというようなことをよく言われるんで、ちょっと歴史的なことをお話をさせていただきたいんですが、薬害エイズ事件でこういう本が出ています」として、菅首相(当時)と枝野官房長官(当時)に対して説教をしたことを思い出した。その本が、『安部英医師「薬害エイズ」事件の真実』(現代人文社)である。マスメディアにしろ知識人にしろ政治家にしろ、そして情報の受け取り手たる一般大衆にしろ、思い込みの真実(truth)に囚われて、そもそもの事実(fact)を誤認してしまうことの危険性を胸に刻む必要がある。

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theme : 日本を憂う
genre : 政治・経済

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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