A. ロス:『20世紀を語る音楽』

  • A. ロス・柿沼敏江(訳):20世紀を語る音楽 1, みすず書房, 2010.
  • A. ロス・柿沼敏江(訳):20世紀を語る音楽 2, みすず書房, 2010.
アレックス・ロスの大著『20世紀を語る音楽』をようやく手に入れた。1年ほど前の新刊間もない頃に偶然書店で見かけ、ショスタコーヴィチに1章が割かれていることを立ち読みで確認してはいたのだが、その価格(第1巻:4,000円、第2巻:3,800円)ゆえになかなか手が出せずにいた。その後、新聞の書評などにも取り上げられ、その多くが好意的な評だったこともあり、いささか時機を感はあるものの思い切って購入した次第。

これだけの大著をもってしても、20世紀に生み出された音楽の多様さをもれなく網羅するには至っていないが、創造と市場の両面においてアメリカを中心に据えたストーリーは秀逸である。取り上げる作曲家(とその活動時期)と作品を注意深くも大胆に絞り込むことによって、音楽と社会、あるいはクラシック音楽と大衆の関係性が次第に変遷していく様が明確に描かれている。

本書で言及されている作品や作曲家の多くが、名前は知っているが聴いたことはないものであるため、その選択や記述の妥当性について詳細に判断することはできないが、ショスタコーヴィチ(とその周辺)に関する限り事実関係の誤認等はなく、またバランスのとれた論述がなされており、おそらくは全体を通して同様の信頼がおけるものと思われる。アメリカ人から見た共産主義国の作曲家という視点も面白かった。

僕自身がアメリカ音楽には疎いため、本書の大半を味わい尽くすことができなかったのは残念だが、これまで聴く機会のなかった作品群に対する指針を与えてくれる文献として、今後も折に触れて紐解くことになるだろう。

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theme : クラシック
genre : 音楽

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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