ルツテインのショスタコーヴィチ&スクリャービン/アレーンスキイ:歌劇「ラファエロ」

  • ショスタコーヴィチ:ピアノ・ソナタ第2番、スクリャービン:4つの前奏曲 作品22、練習曲 作品8より、左手のための夜想曲、ピアノ・ソナタ第4番 ルートステイン (Pf) (Orion ORS 82429 [LP])
  • アレーンスキイ:歌劇「ラファエロ」 スミルノフ/モスクワ放送SO & cho.他 (Melodiya 33 D 035027-28 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.からの3月到着分。随分と放置しておいたものだ。反省。

ルツテインという女流ピアニストの名は初めて聞いたが、ライナーノーツの情報によると、1974年にアメリカに亡命するまでレニングラード音楽院で教鞭をとっていたらしい。派手さはないが、穏やかながらも芯のしっかりとした音楽が奏でられており、その優しい肌触りには惹かれるものがある。ショスタコーヴィチのソナタは随分とロマンティックな解釈で、とりわけ第2楽章などはスクリャービン晩年のソナタのようにも聴こえるほどだが、これはこれで、ロシア・ピアニズムの系譜を意識させるようで面白い。ショスタコーヴィチらしさは希薄だが。


ヴィクトル・スミルノフという指揮者は、ショスタコーヴィチの「馬あぶ」組曲のCDの存在で知ったものの、バイオグラフィはほとんど不明である。このCD、MARANSというレーベルからリリースされたらしいが、限りなく私家盤に近いようで、僕がその存在に気づいた時には既に入手至難な状態になっていた(どなたか、情報等をお持ちでしたら教えてください。ただし、コピー等は求めておりません)。このCDでカップリングとして収録されていたアレーンスキイの歌劇のLPがリストに掲載されていたので、注文してみた。

歌劇「ラファエロ」は、その名の通り、ルネサンス期を代表するイタリアの画家ラファエロ・サンティ(1483~1520)にまつわるエピソードを題材とした、1幕の短い作品である。ビビエーナ枢機卿の姪と婚約していながら、聖母子像のモデルであるパン屋の娘フォルナリーナと恋に落ちたラファエロは、枢機卿の怒りを買ってしまうが、描き上げられた聖母子像の素晴らしさに結局は許される、といったような話。ラファエロとフォルナリーナ(マルゲリータ・ルーティ)との関係については、「一語楽天・美は乱調の蟻」というブログの記事(///)に詳しい。1894年4月にロシア中の画家が集った会議にて初演されたとのこと。アレーンスキイはイタリア語版とロシア語版の両方を作ったが、本盤はロシア語歌唱による全曲盤である。

ちなみに、この作品のリハーサル中、アレーンスキイは当時勤めていたモスクワ音楽院の女子学生と恋仲になり、ちょっとしたスキャンダルになったという。その結果、音楽院を辞職する羽目になったそうだが、作品中のラファエロに良からぬ影響でも受けたのだろうか。

アレーンスキイらしい憂いを湛えつつも澄み切った抒情は、本作でも存分に発揮されている。アレーンスキイの旋律は器楽に適しているのだろうか、歌手よりもオーケストラに耳を奪われてしまう。随所で遠慮なく暴発しつつ、甘美な音楽を臆面もなく高らかに歌い上げるスミルノフの指揮は、いかにも旧き佳きソ連の流儀である。もちろん、ドルハーノヴァをはじめとする歌手陣も立派な出来である。劣悪と言ってよい録音状態には不満が残るが、ロシア音楽が好きなら一度は聴いておいて損のない作品、そして演奏である。

こうなると、「馬あぶ」も聴きたくなってしまう…

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Arensky,A.S.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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