いまさらながらサヴァリッシュの追悼番組を観て

  • 追悼 ヴォルフガング・サヴァリッシュ(マエストロの肖像「ヴォルフガング・サヴァリッシュ 音楽に愛された男」) (録画 [NHK BSプレミアム(2013.3.5)])
  • N響指揮者サヴァリッシュをしのんで (録画 [NHK ETV(2013.3.10)])
訃報に接してから、3ヶ月が経ってしまったが、録画したまま放置していたNHKの追悼番組2つを、ようやく視聴。

BSプレミアムで放映されたドキュメンタリーの方は、2003年1月28日に放送されたものの再放送である。R. シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」とワーグナーの楽劇「神々の黄昏」のライヴ映像と、サヴァリッシュのインタビューを中心に、フィラデルフィアOの音楽監督として晩年を迎えるに至るまでの音楽家生活を辿る内容である。バイエルン国立歌劇場の退任間際には不愉快な状況もあったようだが、基本的には順風満帆な人生を、ひたすら生真面目に生きてきたサヴァリッシュの姿が、語弊を恐れずに言えば“さして面白くもなく”描かれる。良くも悪くも、多くの日本人が抱いてきたであろうサヴァリッシュ像を覆すようなものではないが、ヨーロッパでの絶頂期の様子を改めて並べられると、「N響の指揮者」として知らず知らずの内に過小評価していたことを反省させられる。まとまった形の演奏シーンはほとんどないが、断片であるにしろ、聴こえてくる演奏はいずれも立派で格調高いものばかり。

もう一つは、「追悼番組」として新規に構成されたもの。一部は先のドキュメントの際に収録されたと思われるインタビュー映像が使われているが、N響に関する応答を集中的にピックアップし、そこにN響団員のインタビューを織り交ぜている。ベタな構成だとは思うが、多くの日本人(もちろん僕も含む)にとってサヴァリッシュを追悼するに相応しい内容である。番組後半は、サヴァリッシュとN響との最後の公演(2004年11月13日)からベートーヴェンの交響曲第7番の全曲。この演奏会はサヴァリッシュの初来日のプログラムを再現したもので、これが最後の顔合わせになることを両者が理解していたという点で、演奏者達にとっても特別な演奏会であったことは明らか。率直に言えば、壮年期の颯爽とした演奏を聴いて偲びたい気もしたが、指揮者の肉体的な衰えを献身的にフォローしているオーケストラの姿は実に感動的で、これはこれで胸に迫るものがあった。

オペラをほとんど聴かない僕にとって、サヴァリッシュの名演といえばドレスデン・シュターツカペレとのシューマンの交響曲全集である。四十九日もとうに過ぎ、いささか時機を逸した感はあるが、毎週土曜日夜のN響アワーで当たり前に映っていた姿を思い起こして感傷的な気分に浸りつつ、今から第2番でも聴いてみようかな。
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genre : 音楽

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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