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ロストロポーヴィチ・ソヴィエト・レコーディングス

  • Rostropovich The Russian Years 1950-1974 (EMI 7243 5 72016 2 9)
2月9日のエントリーの続き。購入してから半年が過ぎてしまったが、最後の1点は、「ロストロポーヴィチ・ソヴィエト・レコーディングス」(13枚組)。ショスタコーヴィチ作品が収録されたCD4とCD10、およびピアソラ作品が収録されたCD13は既に架蔵済みだが、聴いたことのない作品も数多く収録されていることもあり、せっかく見かけたのだから…と、この機会にBOXを購入。各巻の内容は以下の通り:
【CD1:小品集】
ストラヴィーンスキイ:歌劇「マヴラ」より「ロシアの歌」(デデューヒン (Pf) 1960年12月11日)
ストラヴィーンスキイ(ロストロポーヴィチ編):バレエ「妖精の口づけ」より「パ・ド・ドゥ」(デデューヒン (Pf) 1960年12月11日)
スクリャービン(ピアティゴルスキイ編):練習曲 作品8-11(ヤンポーリスキイ (Pf))
ミヨー(ロストロポーヴィチ編):「ブラジルの思い出」より第8曲「ティジュカ」(デデューヒン (Pf) 1960年12月11日)
ファリャ(ピアティゴルスキイ編):バレエ「恋は魔術師」より「火祭りの踊り」(デデューヒン (Pf) 1960年12月11日)
ドヴォルザーク:「森の静けさ」(ヤンポーリスキイ (Pf))
R. シュトラウス:「4つの情緒のある風景」より第2曲「寂しい泉のほとり」(ヤンポーリスキイ (Pf))
シンディング:組曲第1番イ短調「古い様式で」より「プレスト」
フォーレ(カザルス編):夢のあとに(デデューヒン (Pf))
ドビュッシー(ローレンス編):ベルガマスク組曲より第3曲「月の光」(デデューヒン (Pf))
ドビュッシー:夜想曲とスケルツォ(デデューヒン (Pf) 1968年11月11日)
シャポーリン(クバツキイ編):ロマンス「君を見る」(ヤンポーリスキイ (Pf))
ポッパー:「妖精の踊り」(デデューヒン (Pf))
シューベルト(ハイフェッツ/ロストロポーヴィチ編):即興曲 D.899(デデューヒン (Pf))
プロコーフィエフ:バレエ「シンデレラ」より「アダージョ」「ワルツ~コーダ」(デデューヒン/ジブツェフ (Pf))
プロコーフィエフ:歌劇「3つのオレンジへの恋」より「行進曲」(ジブツェフ (Pf))
ヘンデル:ソナタ ニ長調より「ラルゲット」(デデューヒン (Pf))
シャポーリン:エレジー(ヤンポーリスキイ (Pf))
シャポーリン:スケルツォ 作品25-5(アミンタェヴァ (Pf))
【CD2:ベンジャミン・ブリテンの作品】
無伴奏チェロ組曲第1番(1966年2月15日)
無伴奏チェロ組曲第2番
チェロ交響曲(ブリテン/モスクワPO 1964年3月12日)
【CD3:セルゲーイ・プロコーフィエフの作品】
チェロ・ソナタ(リヒテル (Pf) 1950年3月1日)
交響的協奏曲(グスマン/ソヴィエト国立SO 1972年12月27日;ロジデーストヴェンスキイ/ソヴィエト国立SO 1964年2月25日)
チェロと管弦楽のためのコンチェルティーノ(ロジデーストヴェンスキイ/モスクワ放送SO 1964年5月13日)
【CD4:ドミートリイ・ショスタコーヴィチの作品】
チェロ協奏曲第1番(ロジデーストヴェンスキイ/モスクワPO 1961年2月10日)
チェロ協奏曲第2番(スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO 1967年9月25日)
【CD5:ボリース・チャイコーフスキイの作品】
無伴奏チェロ組曲(1961年11月5日)
チェロ、ピアノ、ハープシコード、エレクトリックギターと打楽器のためのパルティータ(デデューヒン (Pf) B. チャイコーフスキイ (Cemb)他 1967年1月10日)
チェロ協奏曲(コンドラーシン/モスクワPO 1966年9月4日)
【CD6:ロシア以外の作品】
ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第1番より第2曲「プレリュード」(1962年2月6日)
レスピーギ:アダージョと変奏(コンドラーシン/モスクワPO)
オネゲル:チェロ協奏曲(ドゥブロヴスキイ/ソヴィエト国立SO 1964年2月14日)
R.シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」(コンドラーシン/モスクワPO 1964年3月12日)
【CD7:世界初演集】
ロペス=グラーサ:室内協奏曲(コンドラーシン/モスクワPO 1967年)
クニッペル:コンチェルト・モノローグ(ロジデーストヴェンスキイ/ソヴィエト国立SO 1964年2月25日)
ヴァーインベルグ:チェロ協奏曲(ロジデーストヴェンスキイ/ソヴィエト国立SO 1964年2月25日)
【CD8:19世紀の古典派とロマン派の作品】
ベートーヴェン:三重協奏曲(D. オーイストラフ (Vn) リヒテル (Pf) コンドラーシン/モスクワPO 1970年1月5日)
シューマン:チェロ協奏曲(ロジデーストヴェンスキイ/ソヴィエト国立SO 1960年11月30日)
チャイコーフスキイ:ロココの主題による変奏曲(ロジデーストヴェンスキイ/ソヴィエト国立SO 1960年11月30日)
【CD9:ロシアの作品】
タネーェフ:カンツォーナ(デデューヒン (Pf))
ミャスコーフスキイ:チェロ協奏曲(スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO 1964年1月14日)
グラズノーフ:コンチェルト=バラード(スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO 1964年1月14日)
【CD10:作曲家の自画像】
ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ(D. ショスタコーヴィチ (Pf))
カバレーフスキイ:チェロ・ソナタ(初版)(カバレーフスキイ (Pf) 1962年2月6日)
K. ハチャトゥリャーン:チェロ・ソナタ(K. ハチャトゥリャーン (Pf) 1967年1月10日)
【CD11:協奏曲集】
ティーシチェンコ:チェロと17の管楽器、打楽器とハルモニウムのための協奏曲(ブラジコフ指揮 1966年2月6日)
ハチャトゥリャーン:チェロのためのコンチェルト・ラプソディー(アミンタェヴァ (Pf) 1964年4月4日)
外山雄三:チェロ協奏曲(外山雄三/モスクワ放送SO 1967年1月13日)
【CD12:デデューヒンとのリサイタル】
ショパン:チェロ・ソナタ(デデューヒン (Pf))
ショパン:華麗なるポロネーズ(デデューヒン (Pf))
ミャスコーフスキイ:チェロ・ソナタ第2番(デデューヒン (Pf) 1967年1月10日)
シャポーリン:5つの小品(デデューヒン (Pf))
【CD13:1996年―献呈された作品】
ピアソラ:ル・グラン・タンゴ(ウリアシュ (Pf) 1966年11月22日)
ウストヴォーリスカヤ:チェロとピアノのための大二重奏曲(リュビモフ (Pf))
シニートケ:チェロ・ソナタ第2番(ウリアシュ (Pf) 1966年11月21~22日)
シニートケ:バレエ「ペール・ギュント」のエピローグ(ウリアシュ (Pf) 1966年9月17日)
以下、各ディスクの感想を簡単に。

【CD1】は小品集だが、いわゆる名曲集ではない選曲が面白い。ロシア=ソ連の作品が目につくものの、ミヨーやフォーレ、ドビュッシーなどもあり、ありとあらゆる曲を弾き尽くそうとするかのようなロストロポーヴィチらしさが反映されている。録音年が記されていないものも少なくないが、録音状態などから判断しても、ほとんどが1960年前後のものと思われる。やや荒っぽいもののロストロポーヴィチの達者な技術を堪能できるが、彼特有の柄の大きな音楽は、こうした小品に必ずしも相応しいと思えないのも事実。このBOXの露払い的位置付けの一枚なのだろう。残る12枚は全て、ロストロポーヴィチの独壇場。

【CD2】は、親交の深かったブリテンがロストロポーヴィチに献呈した3曲が収録されている。全てライヴ録音(組曲第2番の終演後の拍手は、どうも後付けくさく感じられるが)だが、中でもチェロ交響曲は世界初演ライヴという点で貴重。ロストロポーヴィチの圧倒的な表現力で奏でられるブリテン独特の闇の世界は、今なお格別である。

【CD3】も、友人として…ではなかったにせよ、親交のあったプロコーフィエフに献呈された3曲が収録されている。ソナタは、作曲家立会いの下での初演ライヴ(聴衆の中にはショスタコーヴィチもいた)。第2楽章終了後に拍手があるなど、その場の高揚した雰囲気がよく捉えられている。交響的協奏曲は、演奏ではなく収録音源のデータに問題がある。なぜ第1楽章と第2~3楽章とが別演奏なのか、その理由が分からない上に、クレジットされている演奏者名にも混乱がある。この点についてはHayesさんの「ロストロポーヴィチのBrilliant箱を検証する」という記事が詳しいので、参照されたい。録音はいかにも古めかしいが、演奏は文句無しに素晴らしいもの。

ショスタコーヴィチの2曲の協奏曲を収録した【CD4】は、第2番の初演ライヴもさることながら、第1番も常軌を逸した力感に溢れた名演。いまだに録音が多いとは言えないボリース・チャイコーフスキイの作品が3曲も収録されている

【CD5】は、このBOXセットの目玉の一つと言ってよいだろう。3曲全てがロストロポーヴィチに献呈されており、全てがその世界初演時の録音である。迸る表現意欲はもの凄く、勢い余って…という箇所もないわけではないが、単なる綺麗事に収まらない振幅の大きな表情は、いささか地味なボリース・チャイコーフスキイの音楽を広範な聴衆に説得力をもって伝えることに貢献している。ただ、パルティータについてはチェロが突出し過ぎの感が否めず、もう少しバランスに配慮して独特の色彩感を表出してもらいたかったところ。

【CD6】には、ロストロポーヴィチのレパートリーの広さを窺わせる作品群が収録されている。「ドン・キホーテ」は有名曲だが、それ以外は演奏頻度も知名度も低い作品ばかり(ブラジル風バッハ第1番は有名曲に入れてもよいと思うが、人口に膾炙しているのは第1曲だろう)。いずれもロストロポーヴィチ風のロマンティシズムに染められてはいるが、知らずに済ますには惜しいと思わせるだけの魅力を放っている。

手当たり次第にチェロのための新作を依頼しては、片っ端から初演していったという片鱗を窺わせる【CD7】は、作品自体の素晴らしさもあって、ヴァーインベルグの協奏曲が聴きものである。他の作品も演奏自体は立派なものだが、後世に渡って繰り返し演奏されるほどの訴求力がないのも確か。

多様な作曲家の作品を聴くことができるのもロストロポーヴィチのBOXならではと思いつつも、【CD8】のオーソドックスなクラシカル作品を聴くとほっとするのも確か。オーケストラのロシア臭に対する賛否はあるだろうが、卓越した技巧に支えられた荒っぽいほどの表現の振幅の大きさは、徹頭徹尾ロストロポーヴィチである。

【CD9】に収録されている作品はいずれも有名曲ではないが、まさに“お国物”と称するに相応しい、隅々まで堂に入った隙のない演奏が圧倒的で、隠れた名曲であるミャスコーフスキイやグラズノーフの大作の真価が余すところなく表出されている。

既に架蔵していた【CD10】は、作曲家自身のピアノで演奏した作品集。ショスタコーヴィチのソナタについては語り尽くされた感があるものの、カバレーフスキイの清澄な音楽も一聴の価値がある。K.ハチャトゥリャーンのソナタは、正直なところ、あまりピンと来ない。

【CD11】のティーシチェンコは、有名な録音と同一かどうかは比較検討していないので分からないが、少なくとも演奏の出来は同様に素晴らしい。ハチャトゥリャーンのコンチェルト・ラプソディーは複数の録音や映像で視聴したことがあるが、ピアノ伴奏版はこれが初めて。華麗な民族色が印象的な管弦楽伴奏ももちろん良いが、ピアノ伴奏の和声の煌めきも捨て難い。外山雄三の協奏曲は、時折日本風の調子が聴こえてくるものの、ロストロポーヴィチの演奏がそれを強調するようなものでないこともあってか、これといった特徴に乏しい凡庸な作品に聴こえた。

どんな作品(作曲家、時代、様式…)であれ、唯一無二のロストロポーヴィチ色に染めてしまうのが、良くも悪くもロストロポーヴィチの強烈な個性なのだろうが、【CD12】に収録された演奏にはそうした嫌味がほとんど感じられない。ここで聴かれるのは、大オーケストラをバックに、曲も共演者も聴衆もねじ伏せようとする強引さではなく、互いに心から信頼し合っている相手と寛いだ気分で音楽に没頭している心安らかさである。地味なミャスコーフスキイのソナタがとりわけ素晴らしいのは、当然の帰結であろう。

新作を精力的かつ貪欲に委嘱・初演してきたロストロポーヴィチらしく、【CD13】は(当時の)最新作を集めた最新録音ということで、「ボーナス・ディスク」と表記されている。いずれも後世に残る名曲揃いだが、シニートケの「ペール・ギュント」の「エピローグ」は、この巨大なBOXセットを締めくくるに相応しく、ひときわ美しい傑作である。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_Rostropovich,M.L.

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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