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今さらですが、9月の買い物(その2)

  • アウアー, L.・馬場二郎(訳):ヴアイオリン奏法, アルス, 1922.
  • Песни Нашего Кино 30-60е Годы, Композитор・Санкт-Петербург, 2003.
  • Рахманова, М. П. (сост.), Шостакович - Urtext, Дека-BC, Москва, 2006.
12月11日のエントリーの続き。といっても前日のことになるが、仕事を終えて夜に人と会うまでの小一時間、神保町で申し訳程度の買い物をした。

まずは古賀書店。大正11年発行の音楽書が目についたので、帰りの新幹線で読もうと確保。「オイジェヌ・エザア-エ」「ヴヰオートーン」って誰や?みたいな面白さもあるが、内容は現代においても普遍的な意義を持つ読み応えのあるもの。簡潔ながら、自分の悪癖を気付かせてくれる含蓄のある記述が少なくない。左手と右手の技術について一通りの解説がなされているが、それ自体はごく一般的な記述に留まっていると言ってよいだろう(もちろん、傾聴すべき指摘に満ちていることは言うまでもない)。

しかし、この本の真骨頂は、アウアー自身の楽歴を通して醸成された音楽感に関する記述である。確固たるそれがあってこそ、あれほどまでに個性豊かな弟子達を育てることができたのだと納得させられる。時代を感じさせるところもあるが、次の一節などは特に印象に残った。長くなるが、引用しておく:「傅説は、過去の死んだ形式主義を以て現在の生きた魂を壓倒いたします。實際、古典樂派の作品に對する解釋―其既定速度、其明暗法、其表現法等―に關するさうした固定的な觀念は總て形式的になつてしまひました。自分の個性を以つて生々した意味をそれ等の諸點へ與へた人達は、もう此世から消え去つて居るのです。今日の提琴家は、恰度一人の個人です。各々は、過去の人達と同じやうに、自分自身の途を持つて居ます。それ故、彼等は自分達が奏かなくてはならないと眞實と感じるやうに奏き、彼等が―そして私達が―理解する、通りの美を私達に與へてくれませう。私達は先づ、彼等をして、彼等自身を表はせませう。そして、決して、その意味を失つた規則に、その人達の演奏を拘束させないようにしてやらうではありませんか?彼れ等をして、藝術家が持つあの最もい個人の資質―彼自身の様式―を、過ぎ去つた日から傅へられて來た、既に薼に歸つて居る戒律で妨げなくてもすむように、自由にさせて置うではありませんか?美は、私達が是非共持たなければならない寶です。傅説は私達が必要なしとしなければならないものです。今假りに、一提琴家自身の音樂本能―彼の樂想の自由―が、『此樂曲は、二百年前には、かう云ふ風に演奏されたのであるから、今日も、斯様然々な形式では演奏されなければならないのである』と云ふ宣告書で困惑させられた場合、彼がこれから練習乃至は研究しようとする古い樂曲の意味に對して、何うして自分自身の解釋を下す事が出來ませう!」(pp.241~242)。

調べてみると、この本は同じく大正11年に荒川金之助訳(洋楽研究社)でも出版された後、阿部謙太郎訳で『新版 ヴァイオリン奏法』(平原社, 昭和15年)が出版されている。戦前においてもわが国でヴァイオリンが盛んに学ばれていたことを窺わせるが、平成10年にも内田智雄訳(シンフォニア)で復刊されていることからも分かるように、今なお多くの示唆に富む名著である。



次は、ナウカ・ジャパンへ。音楽書の棚に限定してチェックしたのだが、これといって目ぼしい物はなく、並んでいた楽譜をパラパラとめくっていると、「30~60年代の映画主題歌集」といった感じの楽譜を発見。大して期待もせずにページをめくると、1ページ目がショスタコーヴィチの「呼応計画の歌」。これは運命に違いないと、そのままレジへ。

収録曲は以下の通り:
  1. 呼応計画の歌/Песня о встречном(映画「呼応計画」より):ショスタコーヴィチ
  2. 陽気な連中の行進曲/Марш весёлых ребят(映画「陽気な連中」より):ドゥナエーフスキイ
  3. 何と多くの素敵な娘たち/Как много девушек хороших(映画「陽気な連中」より):ドゥナエーフスキイ
  4. 風よ歌え/Песня о веселом ветре(映画「グラント船長の子供たち」より):ドゥナエーフスキイ
  5. 船長の歌/Песенка о капитане(映画「グラント船長の子供たち」より):ドゥナエーフスキイ
  6. Спи, мой мальчик(映画「サーカス」より):ドゥナエーフスキイ
  7. Если Волга разольется(映画「Вратарь」より):ドゥナエーフスキイ
  8. 歌よ広がれ、この海原に/Лейся песня на просторе(映画「七人の勇者たち」より):プシコフ
  9. Тайга золотая(映画「Тайга золотая」より):プシコフ
  10. Тучи над городом стали(映画「銃をとる人」より):アルマン
  11. 三人の戦車兵/Три танкиста(映画「トラクター仲間」より):ポクラス兄弟
  12. モスクワの歌/Песня о Москве(映画「豚飼いと羊飼い」より):フレーンニコフ
  13. 愛を呼ばずとも/Звать любовь не надо(映画「わが愛」より):ドゥナエーフスキイ
  14. 抒情歌/Лирическая песенка(映画「四つの心」より):ミリューチン
  15. 暗い夜/Темная ночь(映画「二人の兵士」より):ボゴスローフスキイ
  16. 出発の時/Пора в путь дорогу(映画「空の忍び足」より):ソロヴィヨーフ=セドーイ
  17. 幸せな航海を/Потому что мы пилоты(映画「空の忍び足」より):ソロヴィヨーフ=セドーイ
  18. 昔ながらに/Каким ты был(映画「クバンのコサック」より):ドゥナエーフスキイ
  19. おお、カリーナの花が咲く/Ой, цветет калина(映画「クバンのコサック」より):ドゥナエーフスキイ
  20. 忘れないで/Не забывай(映画「Испытание верности」より):ドゥナエーフスキイ
  21. Молчание(映画「Веселые звезды」より):ドゥナエーフスキイ
  22. 小舟/Лодочка(映画「真実の友人たち」より):フレーンニコフ
  23. なぜ心はかくもかき乱されるのだろう/Что так сердце растревожило(映画「真実の友人たち」より):フレーンニコフ
  24. 主題歌/Песня верных друзей(映画「真実の友人たち」より):フレーンニコフ
  25. モスクワ郊外の夕べ/Подмосковные вечера(映画「スパルタキアードの日々」より):ソロヴィヨーフ=セドーイ
  26. 春はいつ来るのか、それは知らない/Когда весна придет, не знаю(映画「ザレーチノィ通りの春」より):モクロウーソフ
  27. Пять минут(映画「カーニバルの夜」より):レーピン
  28. Песенка о хорошем настроении(映画「カーニバルの夜」より):レーピン
  29. Романс Рощина(映画「Разные судьбы」より):ボゴスローフスキイ
  30. Песня выпускников(映画「Разные судьбы」より):ボゴスローフスキイ
  31. Веселый марш монтажников(映画「Высота」より):シチェドリーン
  32. 心さわぐ青春の歌/Песня о тревожной молодости(映画「遠い彼方へ」より):パフムートヴァ
  33. 白樺/Березы(映画「平和の始めの日」より):フラートキン
  34. Прощайте, голуби(映画「Прощайте, голуби」より):フラートキン
  35. 愛の歌/Песня о любви(映画「Простая история」より):フラートキン
  36. スヴェトラーナの子守歌/Колыбельная Светланы(映画「軽騎兵のバラード」より):フレーンニコフ
  37. Хорошие девчата(映画「娘たち」より):パフムートヴァ
  38. 古い楓/Старый клен(映画「娘たち」より):パフムートヴァ
  39. ヴォルガは流れる/Течет Волга(映画「ヴォルガは流れる」より):フラートキン
  40. 友の歌/Песня о друге(映画「埠頭への道」より):A. ペトローフ
  41. Песня о голубых городах(映画「Два воскресенья」より):A. ペトローフ
  42. モスクワを歩く/Я шагаю по Москве(映画「モスクワを歩く」より):A. ペトローフ
  43. Ты не печалься(映画「Большая руда」より):タリヴェルディエフ
  44. 別れのワルツ/Вальс расставания(映画「女たち」より):フレーンケリ
  45. ロシアの曠野/Поле(映画「予期せぬ出来事」より):フレーンケリ
  46. 主題歌/Главная песня (Обыкновенное чудо)(映画「ありふれた奇跡」より):グラトコフ
  47. 名も無き丘の上で/На безымянной высоте(映画「Тишина」より):バースネル
  48. 祖国は何から始まるか?/С чего начинается Родина?(映画「楯と剣」より):バースネル
  49. ついこの間のこと、ずっと昔のこと/Это было недавно, это было давно(映画「友と歳月」より):バースネル
この一覧では、Googleで検索して簡単にヒットするような日本語訳がある場合のみ、日本語で曲名や映画のタイトルを記しておいた。映画の内容が分からないままに適当な訳をつけることに意味はないと考えるからだが、ここで何より大切なのはロシア語タイトル。これをYouTubeの検索窓にコピペすれば、全ての歌を聴くことができる。私なんかは聴いたことのない曲の方が多かったが、映像を観れば一目瞭然、ロシアはもちろんのこと、日本でも愛唱されてきた歌ばかりであることが分かる。いずれ劣らぬ魅力的な歌ばかり。是非、それぞれにお気に入りの一曲を見つけていただきたい。


この後、久し振りに会う知人と軽く一杯。ご厚意で本を頂いた。いまだに目次と写真をざっと眺めただけ。早く、ロシア語をすらすら読める語学力を身につけたいところ。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : USSR大衆歌曲.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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