マキシム・ヴェンゲーロフ with ポーランド室内管弦楽団


マキシム・ヴェンゲーロフ with ポーランド室内管弦楽団
  • J. S. バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲(2nd Vn: 田中晶子)
  • モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番
  • マスネ:歌劇「タイス」より瞑想曲
  • チャイコーフスキイ:憂鬱なセレナード
  • チャイコーフスキイ:「なつかしい土地の思い出」よりスケルツォ
  • チャイコーフスキイ:「なつかしい土地の思い出」よりメロディ
  • チャイコーフスキイ:ワルツ=スケルツォ
  • サン=サーンス:ハバネラ
  • サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ
  • サラサーテ:ナヴァーラ(2nd Vn: 田中晶子)
  • ブラームス:ハンガリー舞曲第1番【アンコール】
  • ブラームス:ハンガリー舞曲第5番【アンコール】
2014年5月27日(木) フェスティバルホール
「ヴェンゲーロフ・フェスティバル2014」の大阪公演へ。ヴァイオリンを習ったことのある人なら誰でも知っているはずの有名曲ばかりが並んだプログラムを当代随一の人気ヴァイオリニストが演奏する、となれば、元来が出不精で天邪鬼の私にとっては関心外のコンサートだったのだが、ひょんなことで知人に誘っていただき、先月に引き続いてフェスティバルホールへと足を運んだ。

さて、何から書こう。

あんな音楽を聴かされた後では、巧いとか音が綺麗だとか、どの曲のどの部分が良かったとか、改めて記すのが馬鹿らしい。テンポ設定などの基本的な解釈は、どの曲もごくオーソドックスなもの。前半のバッハやモーツァルトでは、時代様式を踏まえた現代的な弾き方であったが、一昔前に流行ったこれ見よがしのピリオド奏法もどきとはもちろん異なる、完全に咀嚼されて確立された“模範的”な演奏。だから、解釈そのものが際立って独創的だったわけではない。凄かったのは、フレーズの動きや響きの移ろいに対するイマジネーションの多彩さだ。図々しい話ではあるのだが、この種の演奏会に行くと「いやぁ巧かったなぁ。あんなに弾けるのなら、俺だったらあそこはもっとあんな風に弾くんだけどなぁ」などと思ったりすることがある。だが、この夜のヴェンゲーロフの音楽は別次元。ヴェンゲーロフと同程度の技術を獲得するのは努力次第で可能かもしれないと妄想くらいはできるが、彼の音楽は天才のみに与えられた全く特別なもの。凡人には思いつくことすら想像もつかない。

バッハやモーツァルトのとりわけ緩徐楽章や「タイスの瞑想曲」での時間が止まったかのような恍惚とした美しさ、チャイコーフスキイの抑制されているのに濃厚で深い情感の味わい、サン=サーンスの上品な華麗さ、アンコールでの客席を昂奮させずにはいない扇情的な躍動感。それぞれの曲に優劣などつけようもない。全て素晴らしかった。

多彩なアーティキュレイションに加えて、大胆なアゴーギクを多用しているだけに、伴奏の苦労は少なくなかっただろう。指揮者なしのポーランド室内管弦楽団(モーツァルトのみホルンとオーボエが参加、それ以外は弦楽合奏)は、十分にその役割を果たしていたのみならず、全体としてはやや地味ながらも、要所でしっかりと存在感を示していた。ただ、弦楽合奏だけだと少々イージーリスニング風の響きになってしまうのが、私の好みではない。特にサン=サーンスなどは、やはり管楽器も欲しかったところ。もちろん、それはこの夜に奏でられた音楽の素晴らしさを貶めるものではない。

超一流の天才の凄さを思い知らされた二時間半でした。
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theme : クラシック
genre : 音楽

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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