スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

《時を得たメシアン Meantime Messiaen》第1回公演


大井浩明リサイタル・シリーズ《時を得たメシアン Meantime Messiaen》第1回公演
  • メシアン:幼な子イエスに注ぐ20のまなざし(第1~10曲)
  • 喜多敏博:クエリー・レスポンス~ピアノとライヴエレクトロニクスのための
  • メシアン:幼な子イエスに注ぐ20のまなざし(第11~20曲)
  • メシアン:音価と強度のモード【アンコール】
  • 宮尾幹成:Pièce pour le Tombeau d'Olivier Messiaen【アンコール】
2014年6月15日(日) 大井浩明 (Pf) 山村雅治 (朗読) 喜多敏博 (エレクトロニクス) 山村サロン

元来ピアノ音楽にはあまり熱心でない上に、メシアンの音楽も私の嗜好からは遠いところにある。ただ、苦手なものについてはなぜ苦手なのかを理論武装したい性質なので、メシアン初期の大作をまとめて体験できる(しかも家の近所で!)千載一遇の機会を逃してはならないと、芦屋の山村サロンへ。

メシアンという作曲家については、ずいぶん昔、かぶとやま交響楽団の第20回定期演奏会(1998)で「キリストの昇天」を演奏したことはあるものの、創作活動について俯瞰的な知識はもとより、伝記的なエピソードすら、恥ずかしながら全く知らない。プログラムノートは、簡潔ながら要点が精緻に論じられていて、演奏会に臨む取っ掛かりとしては十分過ぎる充実の内容(大井氏のブログでその全文を読むことができる)。

さて、メシアン初期の大作として名高い(私でも、題名くらいは耳にしたことがある)「まなざし」だが、本来はラジオ・ドラマとして構想されたという最近の知見に基づき、その台本として想定されていたテクストを各曲の前に朗読(日本語)してから演奏するというのが、今回の公演の目玉であった。朗読があろうとなかろうと、ピアノ演奏そのものに違いはないはずなのだが、朗読を通して提示される宗教的観点を心に留めながら聴くことで、響きの多彩な陰影のそれぞれに意味が付加されていくように感じられた。率直に言って2時間半を超える全曲を全く退屈せずに聴いたとまでは言えず、ときに「まなざし」ならぬ「まどろみ」になる瞬間はありつつも、その意味を沈思黙考しながらメシアンの響きに浸った時間は、とても贅沢で刺激的なものであった。

大井氏の演奏は、極めて見通しの良い、微細なニュアンスに至るまで考え抜かれた論理的なもの。一方で響きの変化や間の息遣いなどは自然でよくこなれたもの。

「まなざし」の前半10曲と後半10曲の間には、委嘱初演作品が演奏された。電子音楽についても知見を全く持ち合わせていないので、楽曲そのものや演奏(あるいはパフォーマンス)について言うべき言葉はないが、電子音とピアノの織り成す響きは、その前後のメシアン作品と不思議なほど溶け合っていたのが面白かった。

アンコールの「音価と強度のモード」は、「まなざし」とは異なるメシアンの音響世界を示唆するような演奏で興味深かったのだが、既にこの時点で3時間を超えていたにもかかわらず、舞台袖に下がらずに拍手を制して「そろそろ時間も迫っているのですが、今日はどうしても演奏しなくてはならない委嘱新作のアンコールがあります」と言って披露されたのが「メシアンへのオマージュ」という作品。「今日(6/15)は三位一体の主日といいまして、キリスト教ではとても大切な日とのことです。ただ、日本では日曜日に教会に行くような人は決して多数ではなく、ほとんどのお父さんは新喜劇を観たり、のど自慢を観たりとかしているわけで…」と、おもむろに演奏開始。まさか、のど自慢の鐘がメシアン風に響くとは。抱腹絶倒の作品と演奏で会場は大盛り上がりだったが、よく考えてみると、この演奏会を体験する前の私なら、その鐘の音がメシアン風だということを理解できなかったわけで、単なるイロモノではなく、一夜の、それも長丁場の演奏会を特別なものとして記憶に留めるに相応しい、素晴らしいアンコールであった。

結局、メシアンに夢中になったわけではないが、苦手な理由がわかり、苦手だと確信を深めたわけでもない。もう少し知りたい、というのが今の気持ち。幸い、このシリーズは後2回予定されている。
スポンサーサイト

theme : クラシック
genre : 音楽

comment

Secre

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
カテゴリ
タグツリー
★ トップ(最新記事)
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
人気記事ランキング
RSSリンクの表示
リンク
音盤検索
HMV検索
検索する

音楽関係のブログ(リンク・更新状況)
PopUp WikipediaⅡ
記事中の気になるキーワードをマウスで選択してください。Wikipediaからの検索結果がポップアップ表示されます。
Wikipedia
developed by 遊ぶブログ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。