ショスタコーヴィチの自作自演ライヴ&弦楽四重奏曲第4番の世界初演ライヴ他

  • ショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガより第3、5、8、12番、弦楽四重奏曲第4番、ピアノ五重奏曲 ショスタコーヴィチ (Pf) ベートーヴェンQ (Moscow Conservatoire SMC CD 0058)
  • ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第2番、プロコーフィエフ:協奏交響曲 ハレル (Vc) シュウォーツ/ロイヤル・リヴァプールPO (Avie AV2090)
  • J.C.バッハ:ピアノ・ソナタ 変ロ長調 Op.17-6、ペルゴレージ:ソナタ 変ロ長調、ソナタ ト長調、モーツァルト:きらきら星変奏曲、メンデルスゾーン:カプリッチョ Op.5、ブラームス:間奏曲 Op.119-3、カバレーフスキイ:ソナチネ第1番、ショスタコーヴィチ:24の前奏曲より第2,3、24、10、12、21、5番 バレンボイム (Pf) (Guild GHCD 2390)
実は7月8日のエントリーで紹介した音盤よりも先にTower Records Onlineへオーダーしていたのだが、入荷に時間がかかったアルバムが一つあり、手元に届く順序が逆転してしまった。もっとも、ここで紹介するまでに二ヶ月近くも放置していたことの方がはるかに問題なのだが。

このオーダーの目当ては、モスクワ音楽院レーベルのショスタコーヴィチの自作自演集である。どの曲も既にショスタコーヴィチ自身(あるいは初演者)による演奏は音盤として存在しているが、このアルバムに収録されている録音は全て初出である。また、弦楽四重奏曲第4番は世界初演時のライヴ録音である。

24の前奏曲とフーガからの4曲は第4四重奏曲の初演と同日の演奏であり、おそらくは前座として演奏されたのだろう。四重奏曲の雰囲気に近い内容を持つ4曲が選ばれている。率直に言って技術的には万全ではなく、聴き苦しい瞬間も少なくないが、穏やかで思索的な曲調の中に情熱的な推進力が秘められていることを感じさせてくれる。

弦楽四重奏曲第4番の初演ライヴは、今となっては古めかしい演奏ではあるが、独特の張りつめた緊張感の中に、懐かしさを感じさせる旋律の歌いまわしに、このやや地味な作品の魅力がぞんぶんに発揮されている。この水準の演奏で初演されたことは、作曲者の望みに適うものであったと思われる。終楽章のテンポは他の多くの演奏に比べて早め(タネーエフQがほぼ同じテンポを採っている)だが、音楽の舞曲的性格の表出に優れていて、説得力がある。

ピアノ五重奏曲は、同じ顔合わせによる3種類目の録音で、有名な2番目の録音の5年後に行われたライヴ録音である。テンポは2番目の録音とほぼ同じで、彼らの中でこの作品の基本的な解釈が固まったことの証左だろう。作曲家自身の演奏であることも考えるならば、この演奏をもって決定的な楽曲解釈としてもよい。ショスタコーヴィチのコンディションも良かったのか、技術的な破綻はほとんどない。第3楽章のうねるような音響も印象的だが、早めのテンポにも関わらず噛みしめるように繰り返されるフーガ主題が聴き手に深く訴えかける第2楽章が特に素晴らしい。



ハレルによるショスタコーヴィチとプロコーフィエフの協奏曲集は、ショスタコーヴィチの生誕100年の辺りにリリースされた音盤だが、価格が高めだったこともあって後回しにしている内に買いそびれていたもの。何となく目についたので、一緒にオーダー。

オーケストラの音色に華やかさがないせいか全体として地味な演奏だが、独奏とオーケストラとのアンサンブルも含めて丁寧に整えられた仕上げは非常に好印象。ハレルの余裕を感じさせるスケールの大きな音楽は、それでいて細部に至るまで意思の通った格調の高いもの。ただ、両曲ともにけばけばしいまでの色彩感を求めたくなる瞬間があるのも事実。

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7歳でピアニストとしてデビューした神童バレンボイムが、12歳の時に録音した初めてのアルバムにはショスタコーヴィチの作品が収録されている。一度だけ中古LP業者のカタログで見かけたものの入手できず終い。そのアルバムが、バレンボイムの生誕70年を記念してCD化された。

まずは、周到な配慮が見られる選曲に感心する。当時の教師の助言によるものか、マネージメントを担当していた誰かによるものか、はたまた本人の考えなのか、いずれにせよ、いたずらに超絶技巧の披露に偏ることのない選曲は、真に傑出した才能に相応しい。そして、ここに収録された演奏が、既に成熟した大人の音楽であることに驚かされる。国も時代も多彩なプログラムだが、それぞれの様式を適切に把握し、しかも格調の高い音楽を聴かせているのは、年齢を度外視しても凄い。

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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