フェステティーチQのハイドン全集他

  • ショスタコーヴィチ:交響曲第15番、劇音楽「ハムレット」(抜粋) プレトニョフ/ロシア・ナショナルO (PentaTone PTC 5186 331)
  • ハイドン:弦楽四重奏曲全集 フェステティーチQ (Arcana A 378)
アリアCDから9月末に届いたもの。全部聴き通すのにかなり時間がかかってしまったせいで、ぎりぎりではあるが、何とか年内最後のエントリー。

プレトニョフのショスタコーヴィチは5年ほど前にリリースされたものだが、ありがたいことにセールで比較的安く入手できた。PentaToneレーベルのショスタコーヴィチ・シリーズは、ロシア・ナショナル管弦楽団が固定で、曲によって指揮者が異なるというのが面白いところ。プレトニョフは、第11番も担当している。

いかにもプレトニョフらしい妙に人工臭のある無機質な肌触りでありながらも内面的な燃焼度が高い、幻想的な高揚感とでもいった独特の雰囲気が、この作品の佇まいと非常によく共鳴している。私は、この交響曲にブルガーコフの『巨匠とマルガリータ』と同じ世界観を感じるのだが、プレトニョフが紡ぎ出す淀みのない流れは、いかにもロシア的な幻想世界を描き出していて秀逸。カップリングの選曲意図はよくわからないが(冒頭のファンファーレが交響曲の第1楽章第2主題の入りと似ているとか、交響曲が『ハムレット』的な内容を持っているとか、邪推はできるけれども)、初期の才気走った作品にもかかわらず、晩年の交響曲と同種の幻想性と妖艶さを漂わせた解釈が興味深い。両曲共に、技術的な完成度は十分に満足できる水準である。

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フェステティーチQのハイドン全集は、19枚組の大物。作品71以降の5枚はリリースから間もなく入手済みだったが、Arcanaレーベルの供給状況が不透明なこともあって、バラで全巻揃えるのは困難だと判断し、比較的安価だった全曲セットをこの機会に購入してみた。

“全曲”といっても、アリタリア社が出版した弦楽四重奏曲全集に基づいているので、作品1と2(もちろん作品3も)、「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」は収録されていない。

こうして58曲をまとめて聴いてみると、改めてハイドンの創作力の凄さに吃驚せざるを得ない。最初のセットである作品9や率直に言って出来が良いとは思えない作品17でさえ、随所に凝った工夫がなされていて(聴くのではなく弾くことによってこそ感心するような類のものだが)、どのセットのどの曲を聴いても“大外れ”がないという点で奇跡の作品群であることを、こうして今回集中的にまとめて聴くことで再認識させられた。

フェステティーチQの演奏は、基本的な解釈(アーティキュレイションや装飾等の処理)において模範的であるだけでなく、古典派の枠を超越しているかのようなハイドン独特の野趣溢れる情熱的な勢いや抒情が余すところなく表出されているという点で、真に規範とされるに足る内容である。技術的にも音楽的にもこの水準であれば、ピリオド楽器なのかモダン楽器なのかは一切問題とはならない。どの曲にも満足したが、あえていうならば作品50の6曲は、この充実の全集の中でもとりわけ出色の出来だろう。

なお、大部の解説の日本語訳(質素な作りではあるが)が同封されているのも嬉しい。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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