ショスタコーヴィチのピアノ・ソナタ(フドレーイ)とスヴィリードフの歌曲(オブラスツォーヴァ)

  • ショスタコーヴィチ:ピアノ・ソナタ第1&2番 フドレーイ (Pf) (Melodiya C10 18977 007 [LP])
  • スヴィリードフ:ブロークの詩による歌曲(A. ブロークの詩による9つの歌、「ペテルブルグの歌」より) オブラスツォーヴァ (MS) スヴィリードフ (Pf)他 (Melodiya C10 20793 007 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.からの12月到着分。

フドレーイによるショスタコーヴィチのピアノ・ソナタは、シニートケ作品など(当時の)現代曲を得意としたピアニストらしく、過度の感情移入や飾り気といったものが排された、淡々とした音楽の運びながらも透明で澄んだ響きの多彩さをじっくりと聴かせる演奏である。当然の帰結として、第2番は優れた仕上がりである。もちろん第1番も楽曲の構造がクリアに呈示されていて悪くないが、この曲の場合はもう少し芝居がかった演出があってもよい。


スヴィリードフの歌曲集は、そのほとんどが作詞者の別に応じてまとめられているだけであり、いわゆる連作歌曲のような内容的に各曲が関連し合う類のものではない。したがって、作品全集に記されている「A. ブロークの詩による9つの歌」といったタイトルが、単なる出版時に便宜的にまとめられたものなのか、作曲家自身による何らかの意図を反映したものなのかは判然としない。作曲家本人のピアノによるこのアルバムも、2つの歌曲集からの選曲されており、「9つの歌」全てが取り上げられているものの、曲順は任意に並び替えられている。この辺りが、スヴィリードフの全創作を俯瞰し難い要因の一つだろう。

それはさておき、楽曲自体は、いずれも素晴らしい珠玉の歌ばかり。オブラスツォーヴァの鋭く突き刺さるような、暗い色調を帯びた歌声は、ロシア歌曲の真髄と言ってよい。ラフマニノフを想起させるような鐘の音を執拗に奏でるピアノ伴奏もまた、ロシアの魂を強烈に感じさせる。わかりやすいメロディ・ラインではあるが、この強烈なロシア臭は決して万人受けする類のものではないだろう。だが、だからこそ、ロシアを代表する傑出した歌曲(集)なのだと、スヴィリードフの作品を偏愛する私は、主張したくなってしまうのだ。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Sviridov,G.V.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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