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【楽曲解説】ベートーヴェン:大フーガ

Ludwig van Beethoven
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770~1827)


Grose Fuge B-dur Op. 133
大フーガ 変ロ長調 作品133



 ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲は、ハイドンやモーツァルトに代表される4楽章制の形式感から、ときに大きく逸脱していることがその特徴の一つです。中でも、6楽章から成る組曲風の第13番 作品130(1825)は、そうした後期四重奏曲の極致と言ってもよい自在さ、あるいは支離滅裂さを呈しています。全曲を締めくくる終楽章に740小節を超える長大なフーガが配置された楽曲構成は、当時の聴衆のみならず音楽家にも理解し難いものだったようで、後日ベートーヴェン自身が用意した別のフィナーレ(それでも493小節もある)と置き換えられ、当初のフーガは「大フーガ」というタイトルの独立した楽曲として別の作品番号が与えられました。現在では第13番の終楽章として演奏されることも少なくありませんが、本日は単独で演奏いたします。

 フーガの形式に対する異様なまでの執着は感覚的な心地よさを犠牲にすらしており、必ずしも耳に優しい音楽ではありません。暴力的な力強さで提示されるフーガ主題は、それぞれ異なる別のフーガ主題と組み合わされて3つの二重フーガを形成します。個々の動機は全曲を通して緊密に関連付けられていますが、一聴して把握できるような類のものではありません。それよりも、序奏→提示部第1主題(第1フーガ/急)→提示部第2主題(第2フーガ/緩)→展開部(第3フーガ/急)→経過部(第2フーガ)→再現部(第3フーガ)→経過部(第1フーガおよび序奏の断片)→結尾部(序奏および第3フーガ)という、ソナタ形式風の形式感を意識しながら、全体の劇的な構成を楽しまれるのがよいでしょう。

 とかく教条主義的に尊崇されることの多いベートーヴェンの後期四重奏曲の中でも異形の大作としてとりわけ特別視される作品ですが、無遠慮に叩き付けられる感情の奔流に身を委ねながら、それに抗うばかりか支配すらしようとする得体の知れない意志の強さを感じ取っていただければ、ロマン・ロランの「勝利の音楽」という一面的な捉え方では単純に割り切ることのできない、極めて人間臭い何かをこの音楽の中に見出していただけるのではないかと思います。

シュペーテ弦楽四重奏団 第4回公演(2014年4月12, 26日)

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Beethoven,L.v. 演奏活動_DasSpäteQuartett

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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