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『ピアニストが語る! 音符ではなく、音楽を! 現代の世界的ピアニストたちとの対話 第二巻』(アルファベータブックス, 2015)

2014年6月29日のエントリーで紹介した、『ピアニストが語る!』シリーズの2冊目。前巻と同様に14人のピアニストが取り上げられているが、ロシア・東欧系の演奏家が多かった前巻とは異なり、第2巻ではフランスのピアニストが半数を占めるため、ネームバリューという点では本巻の方が“大物揃い”と言えるかもしれない。原著をそのまま邦訳しているのではなく、演奏家が主たる音楽教育を受けた国、あるいは楽派ごとに配列し直しているので、著者の関心や意図をより明確に読み取ることができるように配慮されているのは、第1巻と同様である。

第1巻で取り上げられたピアニストのほとんどが、自身のバックボーンにある“楽派”に対する深い見識を披露していたのに対し、第2巻ではほとんどが「楽派という考え方にはあまり意味がない」という立場をとっているのが、大変に興味深い。これは、それぞれの冒頭に置かれたポゴレリッチ(第1巻)、ツィメルマン(第2巻)の立ち位置にも象徴されており、日本語版の編集の妙でもあろう。

全体を通して第1巻ほどのインパクトはないが、どのピアニストについても読み飛ばすことができない真摯で含蓄のある内容にまとめられている点では前巻と同様であり、ピアノ音楽に限らず、広く音楽に関心を持つ読者に訴えかける一冊であることもまた、前巻と同様である。

印象に残った言葉は数多くあるが、とりわけ私個人の関心に合致したのは、次の3箇所。どういう文脈で、何を言おうとしているのかは、是非本書を読んでみて欲しい:
  • 「バルトークは≪交響曲第七番「レニングラード」≫を聴いて、ナチス滅亡への想いに呼応して、あの旋律を≪管弦楽のための協奏曲≫の中で使ったのです――それが、バルトークの真意だったのです!」(ジェルジ・シャーンドル, p.83)
  • 「ショスタコーヴィチはピアノ演奏があまり得意ではなかったのです。」(ウラディーミル・アシュケナージ, p.157)
  • (フォーレの作品について)「演奏者が表現できるのは作品の半分だけで、あとの半分は聴衆が発見しなければならないのです。演奏者は聴衆に招待状を送ることができるだけで、聴衆は自分で彼の世界に入って行かなければなりません。」(ジャン=フィリップ・コラール, p.372)

第3巻の企画も進んでいるようだが、本巻にもまして、地味なピアニストが中心になるようである。しかしながら、むしろそのことが本著の真価を知らしめる内容になるのではないかと、今から期待が募る。そして、予定通り原著の全訳=全4巻の出版が叶うよう、祈念したい。

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theme : クラシック
genre : 音楽

comment

Secre

No title

バルトークのオケコンの件でショスタコーヴィチ交響曲7番を揶揄していたという通説、今回のシャンドールによる異説のほう、納得です、情報と言うものは当てにならないもので当事者に聞くのがやはり信用できる、
全編演奏者でしか語ることの出来ない本音が語られひきつけられた。これを引き出したのは著者の学識と誠意だろう。次巻が待ちどおしい。秋に聞きにいく予定のジメルマンとアシュケナージのコンサートが一層期待できそう。

同じアルファーベータ社の「指揮者が語る」は別の著者で冒頭にカラヤンのインタビューがあり彼のイメージとは違う面を見いだせる。〔自己正当化もあると思うが)ザンデルリンクが語るムラヴィンスキーの主席就任の顛末と互いの微妙な関係らも興味深くこの本も評価したい。

Re: No title

オケコンの話は、確かに後のソ連とハンガリーの関係を念頭に置いてしまえば“揶揄”と思うのも致し方ないとは思いますが、作曲当時の情勢を考えれば、バルトークの諷刺がショスタコーヴィチに向くのは不自然ですよね。シャンドールの話には、十分な説得力がありますね。

演奏家のインタビュー物は、インタビュアーの力量と見識によるという前提はありますが、とても面白いですね。
プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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