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【楽曲解説】ブラームス:弦楽六重奏曲第1番

Johannes Brahms
ヨハネス・ブラームス(1833~1897)


Sextett Nr. 1 B-dur für 2 Violinen, 2 Violen und 2 Violoncelli, Op. 18
弦楽六重奏曲第1番 変ロ長調 作品18



 ブラームスがベートーヴェンを崇拝するあまり、最初の交響曲を発表するまでに20年以上もの歳月をかけたことは有名ですが、それは弦楽四重奏曲においても同様でした。40歳になってようやく最初の弦楽四重奏曲が発表されましたが、それ以前に20曲にも及ぶ習作を破棄したとも伝えられています。とはいえ、卓越したピアニストであったブラームスが最初に手にした楽器はヴァイオリンとチェロだったこともあり、これらの楽器と深い関連を持つ室内楽は彼にとって決して苦手なジャンルではなく、むしろ創作の原点とも言えるものでした。
 現存する最初期の作品のほとんどがピアノ曲と歌曲ですが、22歳の時にシューマンの「マンフレッド」序曲を聴いて交響曲の構想を練り始めたブラームスは、2曲のセレナードによって管弦楽の可能性を探究し始めます。同時期に書かれたピアノ協奏曲第1番 作品15がいかにも交響曲的な重厚な風格を持つのに対し、当初は室内楽編成で書かれた第1番 作品11、そしてヴァイオリンを欠く変則的な編成をとる第2番 作品16と、2曲のセレナードで追求されたのは室内楽的な明晰さの中に中低弦を活かした独自の柔らかくも厚みのある響きでした。こうした試みの集大成が、1860年に作曲された弦楽六重奏曲第1番 作品18です。奇しくもベートーヴェンの初期弦楽四重奏曲集と同じ作品番号を持つ本作品は、室内楽分野におけるブラームス最初の成功作であると同時に、交響曲作家ブラームスの原点でもあります。
 ソナタ形式の第1楽章、変奏曲形式の第2楽章、スケルツォの第3楽章、ロンド形式の第4楽章と楽曲構成面ではオーソドックスな古典派の様式を踏襲しつつ、瑞々しくも深い陰影を伴ったロマンティックな旋律が全編に渡って流麗に紡がれていく様は、新古典派と呼ばれることもあるブラームスの面目躍如たるものがあります。ルイ・マル監督の映画「恋人たち」(1958)に用いられたことでも有名な第2楽章は、作曲後すぐにピアノ独奏用に編曲され(「主題と変奏」作品18b)、誕生日の記念としてクララ・シューマンに贈られています。

シュペーテ弦楽四重奏団 特別公演~アダルベルト・スコチッチ氏を迎えて~(2015年11月22日)

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Brahms,J. 演奏活動_DasSpäteQuartett

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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