スコチッチ氏のショスタコーヴィチ&プロコーフィエフ

  • ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ、2つの小品(アトヴミャーン編)、プロコーフィエフ:チェロ・ソナタ、子供のための音楽より「マーチ」「ワルツ」(ピアティゴルスキー編) スコチッチ (Vc) 丹生谷佳惠 (Pf) (ART UNION ART-3106)
歳と共に年末の慌ただしさが増し、12月はまるで暦にそもそも存在しなかったかのように過ぎ去ってしまった。正月休みが最短だったこともあってか新年を迎えたという感慨はそれほどないものの、自分にとっての2015年を振り返ると、やはりA.スコチッチ氏との共演が最大のイベントだったことは言うまでもない。この素晴らしい機会に恵まれたことについては、関係各位、そして演奏会を盛り上げてくださった来場者の方々にただただ感謝あるのみ。この場を借りて、改めて御礼申し上げます。

ということで本年最初のエントリーは、その思い出を噛みしめつつ、スコチッチ氏のロシアン・アルバムを取り上げたい。2006年に日本で録音された本盤は、恐らくはショスタコーヴィチの生誕100年にちなんだものだろう。ショスタコーヴィチとプロコーフィエフのカップリング自体に目新しさはないが、両者共に2曲ずつ洒落た小品も収録されているのが嬉しい。

今から10年近く前とはいえ、特に左手の技術的な切れ味はあまりない。また、ロシア流儀の張りのあるボウイングとも明確に異なり、控え目なピアノのせいもあってか、ロストロポーヴィチ的なロシア情緒は全くと言ってよいほどない。端正に整った佇まいを終始崩すことなく、自然なイントネーションを通して自ずからロマンチックな香りが立ち上ってくる演奏は、私自身が脳裏に思い描くショスタコーヴィチあるいはプロコーフィエフ像とは異質ながらも、これらの作品の魅力の一端をさりげなく伝えてくれる。

こうした美質は、ショスタコーヴィチの2つの小品の「アダージョ」(バレエ「明るい小川」より)で最大限に発揮されている。ソリスティックな押しの強さが皆無なので、聴く前は原曲をイメージして物足りないのではないかと危惧していたのだが、これほど美しい「小品」の演奏をすぐには思いつかない。

穏やかな新年の幕開けに相応しい音楽である。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Prokofiev,S.S.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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