年末の中古レコード・セールにて

  • モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第7&6番 カントロフ (Vn) ハーガー/オランダCO (Denon COCO-70455)
  • モーツァルト:ディヴェルティメント第8,9、12、13、14番 ベルリン・フィルハーモニー管楽アンサンブル (Orfeo PHCF-5309)
  • ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第13&14番 バルヒェットQ (Green Door GDCL-0082)
  • ブラームス:弦楽六重奏曲第1&2番 コチアンQ シュカンパ (Va) コホウト (Vc) (Denon 33CO-2141)
  • ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集 ブレイニン (Vn) ルードヴィヒ (Pf) (Preiser PR 90703)
  • フォーレ:ラシーヌ讃歌、小ミサ、恵み深き御母マリア、サルヴェ・レジナ、見よ、忠実な僕を、マドリガル、金の涙、小川、タントゥム・エルゴ、アヴェ・ヴェルム・コルプス オールディス/グループ・ヴォーカル・ド・フランス他 (EMI CC33-3510)
年末の大掃除を一段落させて阪神百貨店の「中古&廃盤レコード・CDカウントダウンセール」を覗きに行くのが(そして、それを全て聴き終えるのが2月にずれこむことも)、ここ数年のお決まりのパターンになっている。といっても、隅々までじっくりチェックするほどの時間も気力もないので、主にCDをざっと眺めて目に付いたものを適当に拾い上げてレジへ。結果として今回は、ごくオーソドックスなクラシック音楽ファンのようなチョイスになった。

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲は、第6番と第7番が偽作と考えられており、録音も極端に少ない。学生時代にティボーの弾いた第6番を聴いたことがあるくらいで、音盤は全く所持していなかったので、稀少盤ではなかったものの、いい機会だと思ってカントロフの有名な録音を。モーツァルトというよりは、ヴィオッティやローデのようなヴァイオリンの魅力が前面に押し出された音楽という印象で、美しく楽しい作品ではあるものの、モーツァルトに期待するのとは別の種類のように感じられる。カントロフの独奏は折り目正しい極めて清潔な演奏で、モーツァルトらしからぬ技巧的な箇所も軽々とモーツァルトのような自在さで奏でられるのを聴くと、作曲者が誰であるにせよ、これらの作品が十分に魅力的な楽曲であることを納得させられる。

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カラヤン時代末期のベルリンPOの首席奏者達によるモーツァルトの管楽アンサンブル集といえば、何よりもセレナード第10&11番の闊達で見事な演奏が印象深い。今回入手したディヴェルティメント集も編成こそ地味ながら、技術的な完成度のみならず愉悦に満ちた音楽の活力が同様に傑出している。WestminsterレーベルのウィーンPOのメンバーのような鄙びた味わいとは全く趣が異なるものの、これは一つの極致であろう。私は、どちらも好き。

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バルヒェットQのドヴォルザークには民族色があまり感じられないが、晩年の作品である第13&14番の解釈としては、このドイツ風の演奏スタイルがより相応しいのかもしれない。スケルツォ楽章はいささか武骨にも思われるが、とりわけ緩徐楽章の滋味に富む音楽には思わず居住まいを正してしまう。現代の弦楽四重奏団の技術水準を考えるとオールドファッションな団体であることは間違いないが、音楽的な満足度は高い。

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録音当時(1987年)チェコの若手弦楽四重奏団の雄だったコチアンQと、解散目前の大御所スメタナQメンバーとの師弟共演によるブラームスの六重奏曲は、音楽的背景を共有する同一楽派ならではの、寛ぎを感じさせる柔らかな美しさとしなやかなアンサンブルが実に心地よい。とりたてて個性的な解釈はないが、それゆえに万人受けする仕上がりになっているようにも思われる。特に第2番の熱気は、聴き手の心を躍らせる。

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アマデウスQの1st Vnを務めたブレイニンといえば、非常に癖のある、それでいて人懐っこいロマンティックな歌に満ちた演奏が特徴的で、既に2世代ほど前の演奏家ではあるものの、今なおその魅力は色褪せていない。ヴィオラのシドロフ逝去に伴ってアマデウスQが解散してすぐに録音された彼のソロ・アルバム、それもベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集という大物があったことは、不勉強にして今まで全く知らなかった。

独奏ということもあって、より奔放な演奏を期待して聴き始めたのだが、率直に言って技術的な衰えが著しく、彼の魅力の片鱗は随所に窺われるものの、あまり楽しめなかった。どこか窮屈そうな音楽を聴くと、彼の奔放さはアマデウスQという受け皿があってのことで、ピアノ1台で受け止められるようなものではないのだろう(ルードヴィヒのピアノ自体は、格調の高い、立派で美しい演奏)。

ただ、3枚組の最後の1枚(第6、7、10番)だけは、音楽的な仕上がりが他の2枚と異なる。録音時期が最後だったのか、それとも最初だったのかはわからないが、この3曲に関しては、名演奏家が晩年に至った深く美しい境地を聴くことができる。

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「ラシーヌ讃歌」はフォーレの管弦楽曲集にも収録されているので、ふと「そういえばフォーレの合唱曲集は持ってなかったかな?」と思い、何も考えずに手に取ってしまったが、帰宅して棚を見たら思いっ切りダブり買い。大学時代に、当時の廉価盤「NEW ANGEL BEST 100 MORE 50」シリーズで架蔵済だったことを完全に失念していた。

こういう失敗が増えたなぁ……

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genre : 音楽

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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