【楽曲解説】シューマン:弦楽四重奏曲第3番

Robert Schumann
ロベルト・シューマン(1810~1856)


Streichquartett Nr. 3 A-dur, Op. 41-3
弦楽四重奏曲第3番 イ長調 作品41-3



 シューマンが室内楽曲に集中的に取り組んだ1842年、いわゆる「室内楽の年」は、ウィーン古典派の弦楽四重奏曲の研究に始まりました。その最初の成果が、作品41としてまとめられた3曲の弦楽四重奏曲です。とはいえ、古典派の粋でもある弦楽四重奏曲というジャンルは、ロマン派の旗手を自認していたシューマンにとって以前からの関心事でした。特に1830年代半ば頃からフェルディナンド・ダヴィッド(メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の初演者)と親交を結ぶようになり、彼が主宰する弦楽四重奏団の演奏に触れたことは、シューマンに大きな影響を及ぼしました。とりわけ第12番と第14番をはじめとするベートーヴェンの後期作品には強く惹かれていたようです。いくつかのスケッチや習作の試みを経て、1842年の6月からわずか 2ヶ月足らずの期間で全3曲が一気に書かれました。初演は愛妻クララの誕生日に開かれた内輪の集いで、ダヴィッド四重奏団が行いました。初版譜には盟友メンデルスゾーンへの献辞が印刷されましたが、自筆譜には「愛するクララの誕生日に捧げられる」と記されています。
 第3番は、先行する2曲を通して古典派の書法を掌中に収めたシューマンが、その枠を超えて真にロマン派の様式を確立した、極めて独創的な作品です。旋律、和声、リズムの全てに斬新な書法が採られ、2つの中間楽章には性格的小品の形式が導入されています。また、第1楽章の冒頭で溜息のように奏される印象的な主題「Fis-H」は、移動ドで読むと「ラ-レ(la-re)」となり、愛妻クララ(C-la-ra)の音名象徴となります。このように音型や旋律に文学的な意味を秘める手法も、シューマンが導入した新機軸です。

シュペーテ弦楽四重奏団 第6回公演(2016年4月16, 23日)

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Schumann,R. 演奏活動_DasSpäteQuartett

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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