弦楽四重奏曲のセット2題(買い物録その3)

  • アマデウス四重奏団 RIAS録音集第IV集(ブリテン:弦楽四重奏曲第2番、ティペット:弦楽四重奏曲第2番、パーセル:シャコニー Z 730、ファンタジア Z 738、ファンタジア Z 740、シェイベル:弦楽四重奏曲第3番「抒情的四重奏曲」、バルトーク:弦楽四重奏曲第4,6番) アマデウスQ (audite 21.429)
  • イタリアの弦楽四重奏曲(ボッケリーニ:弦楽四重奏曲集 Op. 8、39、41、64、52、バッジーニ:弦楽四重奏曲第1~6番、ヴェルディ:弦楽四重奏曲、プッチーニ:「菊」、ザンドナーイ:弦楽四重奏曲、レスピーギ:ドリア旋法の弦楽四重奏曲、弦楽四重奏曲、マリピエロ:弦楽四重奏曲第1~8番) ヴェネツィアQ (Dynamic CDS 486/1-10)
6月16日のエントリーおよび18日のエントリーの続き。

7月10日のエントリーで紹介した書籍に刺激され、ウィーン古典派以前の弦楽四重奏曲を聴きたくなった。

auditeレーベルからリリースされているアマデウスQの初出放送録音集は、いずれも彼らの活動初期の記録であるが、第I~III集がモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトといったオーソドックスな内容であるのに対し、この第IV集は(当時の)現代曲にパーセルという、彼らとしては、少なくとも音盤上では珍しいプログラムである。いずれの曲も彼らが初演者ではないものの、ブリテンやティペットとは縁が深かったようで、この録音時点で作曲家との親交があったかどうかは分からないが、他の有名なレパートリーと同様に共感に満ちたアマデウス節で歌い上げられている。

当時としては技術的に明晰な演奏であったのだろうが、今となってはおっとりとした鈍さを感じさせる前時代的な雰囲気が支配的であることに加え、アマデウスQの代名詞とも言えるブレイニンの奔放さが控え目であり、全体として物足りなさが残る。とはいえ、目当てのパーセル(ブリテンの作品との関連でプログラムに収められたのだろう)は、その前時代的なロマンティックさに満たされた演奏がとても美しい。現代のピリオド的な観点からすれば間違った演奏になるのかもしれないが、どこか懐かしさを感じるせいか、理屈を超えて胸を打たれる。

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上述した書籍で最も興味を惹かれたのが、ボッケリーニ。Peters版の曲集は持っているが、それすら弾き通した記憶はなく、そもそもどの曲が有名なのかすら知らない有様。弦楽五重奏曲についてはボッケリーニ五重奏団の音盤(Testament)を架蔵しているものの、弦楽四重奏曲は何かのカップリングですら持っていないことに気付いた。

ということで、とりあえず安価でまとまった量を聴いてみようと、ヴェネツィアQによる「イタリアの弦楽四重奏曲」というBOXセットをオーダー。ヴェルディ、プッチーニ、レスピーギの曲以外は全て初めて聴くものばかり。さすがにまだ全ての曲や楽章を個別に認識できはしないが、ボッケリーニの歌に満ちた豊かな内容に圧倒された。今までの不明を恥じるばかりである。耳慣れたソナタ形式とは異なるが、尽きることなく湧き出るような歌の奔流が実に魅力的で、このセットに収録されている曲あるいは曲集が一般にどう評価されているのかは分からないが、質量ともにハイドンの弦楽四重奏曲と肩を並べる楽曲群であると感じた。情熱的な歌の魅力という点では、アリアーガを経てシューベルトに至る、ウィーン古典派とは別の源流と言えるのかもしれない。

ボッケリーニに比べると、他の作曲家の作品はいずれも、それぞれに個性的な美質を有しつつも、いかにも“亜流”感が否めない。好事家のコレクション・アイテムといったところか。中では、マリピエロの8曲が聴き応えがある。ミヨーの作品群と同様、隠れた佳曲として、もう少し広く聴かれても良いような気がする。

ヴェネツィアQは、堅実なアンサンブルで伸びやかな歌を聴かせてくれている。個別にはさらなる深刻さや鋭さが欲しいと思わせるところもあるが、全体として、これら演奏頻度の低い曲のファースト・チョイスとしては申し分のない水準である。

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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